JIN -仁-#10

#10
仁は突然の頭痛に見舞われていた。その頭痛で思い出す。自分がこの頭痛のあとにタイムスリップ、この時代に飛んできたのだと・・。(もしあの時、現代で手術した包帯男が自分だったとしたら、自分を自分で手術したことになる・・。そして、あの声はたしかに坂本龍馬だった・・。どういうことなんだ?)写真の未来の姿は、またさらに薄くなっていた。(ほとんど消えかかっている!)そこへ、仁に客が来た。鈴屋の廓主・彦三郎だった。
「実は野風の身請けが決まったのです。2500両で野風の身を吉原より請け出し、妾にと望まれている方がおられまして。」「2500・・。」「これ以上ないような幸運なお話でございます。」彦三郎は、身請けの前に、体のおしらべがあると説明。それを仁にお願いしたいという話なのだ。「あの夜、野風は先生との思い出を作りたかったんだと思います・・。その思い出を最後に、身請け先に行くつもりだったのかと。」「・・えっ?」「身請け先はご家紋のご隠居様でございます。身請けされたら最後、広いお屋敷の塀の中。二度と先生に会うことはできません。どうか野風の最後の望みを叶えてやってくださいませ。」「・・・」渋い顔をして何かを思う仁。
咲はここのところ、仁になにか言いたげだった。だが、なかなか話せない。いつも写真を眺めている仁には、言いずらかったのだろうか・・?結局、話題は野風の話へ。おしらべをしなければ、未来は生まれてこない可能性があると仁は言うのだ。「咲さんのおっしゃったように、写真の未来は以前より薄くなってしまったようです。ただ、一瞬だけ色の戻った瞬間というのがあって。その時というのが、野風さんが身請けを前向きに考えてくれていた時のようで。つまり・・未来は、野風さんとその身請け先の方との間の子孫で、野風さんが身請け先にいかなければ、未来は生まれないってことじゃないかと。」仁の握る写真の未来は、ほとんど消えかかっている。「・・では、今も身請け話が飛んでしまう状態にあるということですか?」「考えたくないんですけど・・最悪、自害とか。」「えっ!?あの・・私もそのおしらべに同席することはできますか?」咲は野風の気持ちを知りたかったのかもしれない。咲は、野風が仁のことを好きなのを知っている、あきらめきれるのか?と聞いてみたかったのか・・。
その夜。仁はまた強烈な頭痛に突然襲われていた。(これはタイムスリップの予兆!?)頭を抱え、仁は思う。<今このまま現代に戻ってしまったら、消えかかっている未来はどうなるんだ!?予感がする・・何もかもが、もうすぐ終わる!>
後日。野風のおしらべがはじまった。野風の左胸に微妙なしこりを感じる仁。しかし、異常はないと診断結果を出した。「それは・・まことでありんすか?」野風は少し動揺した声で聞き返す。「・・はい。」仁も、どもって返事を返した。咲はそんなふたりを見ていて何かを感じた。さっき野風は言っていたのだ。(仁のことを簡単に忘れられないから、こうしておりんす・・)そう言って左胸を押さえていた。<野風はおしらべで異常が出ることを望んでいたのでは?>
ある日。縁側で仁をみかけた。また写真を眺めている。咲は思わず言ってしまった。「・・先生はずっとそうなのでしょうね。」「えっ?あっそうだ!何か話があったんじゃ。すいません、うやむやにしてしまって。なんだったんですか?」「・・なんだったんですかって・・。私は・・。」咲は怒るしかなかった。「たいしたことではございませんゆえ、どうぞそのままお忘れください!」咲は廊下を早足でその場を去った。(野風さんと話がしたい)
坂本龍馬が野風からの手紙を仁に持ってきた。仁に話もあるらしい。いつもの神田川が見下ろせる草原にふたりは座った。手紙には野風からの感謝の気持ちが綴ってあった。<これで心おきなく身請けの日を迎えられます>「これで野風とも会えんようになるのう。」龍馬がそう言うと、仁は切なそうな顔をした。「そんな顔するき、咲殿も怒るがぜよ。他のおなごのことば~かり気をとられちょるき。ヤキモチじゃ!」「ヤキモチって?なんでですか?」仁の反応に、龍馬の笑顔は硬直する。「・・まさか先生。気づいちょらんかったがぜ?」龍馬は仁の肩をガバッと掴み、「咲殿はどういてここまで先生に親切にしてくれたと思うちょるがじゃ?」「それは医術に興味があって。」「あほう!好いちょるからじゃ!いっしょになる気はないがかえ?咲殿と?」龍馬はペニシリンの件で、後日仁につきあって欲しいと告げて去っていった。仁は呆然としていたのだ。(言われてみれば思い当たることはいくつもあった・・)
咲は野風と話したくて吉原に来ていた。野風はすべてを咲に話す。もし、胸のしこりが原因で異常と診断されれば身請け話はなくなる。自分の母親も岩が原因で亡くなったので、もしかしたら自分もそうかと。だが、仁先生は異常はないと診断したのだ。身請け話はなくならなかったのだから、自分はこのままこの話を受ける以外に道はないのでありんす・・と笑う野風。「あちきは咲様が大好きでありんすよ。」
恭太郎も咲の護衛とお供で、吉原に来ていた。鈴屋の表の女郎部屋には、初音がうつむいて座っていた。恭太郎はその姿をせつなそうに見ている。戻ってきた咲はなにやら真剣な顔をしていた。ふたりが橘家に戻ってくると、仁友堂の看板が下げられていたのだ!
「先生!咲です、入ります!看板が・・!」慌てて咲が入ると仁が医術道具を整理していた。「ペニシリン製造所に診療所を移そうかと思いまして。」「では・・もうここへは戻ってこられないということですか!?」「・・すいません。いつもいつも急で。」咲は少し間を置いて、野風のしこりの事を話題にだした。「・・もう一度見てあげてください。」仁は少しとまどった後、しこりのすべてが岩とはかぎらず、悪性ともいえないと説明。それに、自分は乳がんの専門ではない・・。「それでも!いままでは立ち向かっていたではありませぬか!?先生は、野風さんを見殺しにしようとしたのではありませぬか!?未来さんのために!野風さんは先生の命を救ってくれたお人ではないのですか!?」「・・・」仁はうすく笑った。「・・鬼ですよね・・私は。」「・・いえ。でも咲はもう・・耐えられませぬ。医術は時として心までも裸にしてしまいます。咲はもう、むき出しの心を見ておられませぬ。」咲は去ってしまった・・。(仁先生はわかっていて異常なしとおしらべを診断していたのだ・・もうこれ以上は・・)
仁は橘家を出て行く。栄と恭太郎、そして、咲も見送りに表にでてきていた。咲は昨日のことが嘘のように穏やかな笑顔で仁に弁当を渡してくれた。「南方先生。いままでありがとうございました。先生と出会い、その医術を学べたことは私の宝でございます。私にとって医術は、生まれて始めて夢中になり、打ち込めたものでした。」これからは嫁ぎ先の夫や両親、いずれ子供に、この知識を使えれば。と咲は言った。「嫁ぎ先って?」「・・縁談がきていまして。言おう言おうと思っていたのですが・・。」「・・私は咲さんの顔を見ているといつもホッとしていましたから。きっとそういう家になるんじゃないでしょうか。」仁も笑うしかない。「咲さん。お幸せに。」「・・はい。」仁はみんなに頭を下げて背を向けた。もうここ、橘家を家として帰ってくることはないのだ。その離れて小さくなる後ろ姿を、咲は泣きながら見つめていた・・。「医術ではなく、南方先生ではないのか?おまえが夢中になったのは・・。」恭太郎の言葉に、咲は言った。「先生にはおられるのでございます。その方のためになら、鬼にもなろうという方が。あのおやさしい先生を、そこまでさせてしまわれる方が・・。私の出る幕などいつまで待ってもございませぬ・・。」
仁もわかっていた。咲がどんなに自分によくしてくれ、いつも支えになってくれていたのか。野風のことも、ただ未来に姿が似ていたからというだけで、接していたわけではない。魅力のあるひとりの女性だった・・。ふたりの存在がとつてつもなく大きかったと、仁はふつふつと感じてくることだろう・・。
龍馬の頼みで、長州の久坂玄瑞にペニシリンの効力をみせる仁。龍馬は攘夷派の人間達に、本当にペニシリンを売り込むつもりなのか?頭も切れて優秀な久坂だが、長州の攘夷派の棟梁的な存在でもある。龍馬の考えどうり簡単にその考えを変えるとは思えない。「いくらで買いとれるのじゃ?」「金やない。」龍馬は言った。「おまんらは長州をまとめて、ゆくゆくは幕府相手に戦をおこそうとしちゅうがじゃろ?けど、おまんらは必ず負ける!負ける戦は、はなから止めるがぜよ。そんな暇があったら異国相手にペニシリンを売りつけ、その金で海軍を作り、異国を打ち負かすぜよ!」龍馬は不毛な内乱で貴重な国力を削ぐ道よりも、国力をどうにかつけて、それから異国と相対する道を久坂に問うた。久坂は禁門の変でその命を落とすが、この頃はまだ龍馬のような考えは攘夷派の中にも浸透していない。明らかに歴史の針は早まっていたのだ。仁は焦りを覚えた。
仁は帰り道、竹薮で龍馬に言う。ペニシリンの件はここで手を引かせて欲しいと。命を粗末にしないことを天秤にかけて過激な行動を抑え、開国派と攘夷派の仲をとり持つ。たしかに龍馬の考えは革新的だ。だが・・<これでは歴史がどうなってしまうかわからない>死ぬべきだった志士が、もし生きてしまったら?という仮説をたてる仁に、龍馬は気づいてしまった!「先生・・。もしかして先生は、わしらの運命を知っちょるがぜ!?」「龍馬さん!」仁の叫びに、龍馬はそのまま剣を引き抜き後退、背後から迫って上段を振りかぶっていた刺客を刺し貫く!気づけば、多数の刺客に取り囲まれていた!刀をクルッと回し、構える龍馬。自分がおとりになるからその隙に逃げろ!と龍馬は言った。(これが歴史の針を早めたツケ・・)久坂は結局龍馬の存在を恐れて、刺客を放ったのだろう。龍馬は多勢相手にも果敢に斬り合いをする腕をみせる。龍馬は北辰一刀流免許皆伝だ!だが、さすがにあぶない!そこへ仁が後ろからその刺客に殴りかかった。「なにしちゅうがぜよ!?先生!」「龍馬さんは!こんなところで死んではいけません!」「もどるぜよ!先生!もどるぜよ!」今度は仁に刀が迫る。が、龍馬がそれを刀ではじき返した。だが!ふたりはそのまま神田川に真っ逆さまに落ちてしまった!
川から仁が浮かび上がる。「龍馬さん!龍馬さ~ん!!」龍馬の姿は消えていたのだ!

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • JIN-仁- 第10話 「坂本龍馬、暗殺…」

    Excerpt: 頭を抱えて倒れてしまった仁(大沢たかお)だが、脈も呼吸も正常で疲れが出たのではないかと診断する咲(綾瀬はるか)。 Weblog: 電視劇的随便日記 racked: 2009-12-14 21:52
  • 「JIN-仁-」 第10回

    Excerpt:  えええ~?!龍馬が消えた・・ってことは・・・包帯男は龍馬なの? じゃあ、何で未来に来た龍馬の頭の中にはホルマリン君が入ってたの? 一瞬、二人で一緒に落ちたから合体しちゃったのかと思ったよ・・(・.. Weblog: トリ猫家族 racked: 2009-12-14 22:30
  • TBS「JIN -仁-」第10話:坂本竜馬、暗殺…

    Excerpt: 最終回を前にして、仁と関わる登場人物たちそれぞれによる、クライマックスをより劇的に、そして、感動的に締めくくるための、静かなる“仕込み”のようなストーリーでした。 Weblog: 伊達でございます! racked: 2009-12-14 23:59
  • JIN - 仁 第10話

    Excerpt: さて、毎週日曜日はJINの放送ですまずは出演者の運勢から南方大明神こと 大沢たかおさんの運勢お武家のお嬢様 こと 綾瀬はるかちゃんの運勢枝豆坊や こと 伊澤柾樹くんの運勢謎の頭痛に襲われた仁先生、この.. Weblog: 星を枕に月を見る racked: 2009-12-15 00:08
  • JIN-仁- 第10話 龍馬暗殺!?

    Excerpt: 『坂本龍馬、暗殺…』内容突然、頭痛に襲われた仁(大沢たかお)ふと思い出す。。。タイムスリップをしたときのことをあの男。。。。自分ではないのか?でも、言葉は、、、龍馬(内野聖陽)そのものだった。じゃ、暗.. Weblog: レベル999のマニアな講義 racked: 2009-12-15 00:12
  • 『JIN-仁-』 第10話

    Excerpt: ってことは…あの包帯男は誰なの~?龍馬が消えて、仁が残るなんて。でも包帯から覗くあの目は絶対に大沢さんでしょ。刺客から仁を守る龍馬が叫んでた「先生。戻るぜよ!」を聞いて、もしかしてこの”あん世界”って.. Weblog: 美容師は見た… racked: 2009-12-15 01:20
  • JIN-仁- 第10話

    Excerpt: JIN-仁-の第10話を見ました。MISIA/逢いたくていま(CD)忘れかけていた頭痛に襲われた仁は突然意識を失って倒れてしまい、数日後目覚めた時にはタイムスリップした時のことを思い出して正体不明の患.. Weblog: MAGI☆の日記 racked: 2009-12-15 05:50
  • 「JIN-仁-」第10話

    Excerpt:    第十話仁は、忘れかけていた頭痛に突如襲われ、そのまま意識を失ってしまう。自分がタイムスリップしてしまった時のことを思い出し、正体不明のあの患者についても考えるのだが、その謎は解けぬままだった。そ.. Weblog: 日々“是”精進! racked: 2009-12-15 06:12
  • JIN-仁- 「坂本龍馬、暗殺…」

    Excerpt: 頭痛で気を失ってしまった仁(大沢たかお)。包帯を巻いた男は自分? しかし声は「…龍馬(内野聖陽)だった…」 咲(綾瀬はるか)が見つけた、問題の写真に目をやれば、また未来の影が薄くなってました .. Weblog: のほほん便り racked: 2009-12-15 07:37
  • 「JIN-仁-」第10話

    Excerpt: 龍馬が危ない!思わず助けに入った仁の運命は?!野風は身請けを受け入れ、咲も仁を忘れて縁談を受けようとしていた。仁はひたすら未来の無事を祈るばかり…。そんな時、龍馬の周りで歴史が大きく動き始めたことを知.. Weblog: fool's aspirin racked: 2009-12-15 07:53
  • 日曜劇場『JIN -仁-』第10話と、旗本の娘つながりで『坂の上の雲』第3回

    Excerpt:  仁に恋する咲ちゃんの想いはどうなるの?  もう”ホルマリン・ベビー”の謎なんてどうでもいいから、健気で、一途で、可憐で痛々しいほどの咲ちゃんの恋を成就させてあげたくなってしまいました~~~~。 .. Weblog: コソダチP's 光速L(気分は冥王星)SQ racked: 2009-12-15 13:12
  • 銀魂&仁

    Excerpt: はが囮なり天道達を退治する展開も Weblog: 別館ヒガシ日記 racked: 2009-12-15 21:39
  • JIN-仁- (内野聖陽さん)

    Excerpt: ◆内野聖陽さん(のつもり) 内野聖陽さんは、TBS系列で毎週日曜よる9時から放送されている日曜劇場『JIN-仁-』に坂本龍馬 役で出演しています。一昨日は第10話が放送されました。●あらすじと感想 Weblog: yanajunのイラスト・まんが道 racked: 2009-12-16 00:13
  • 『JIN -仁-』第十話「坂本龍馬、暗殺…」memo

    Excerpt: さぁ、いよいよラスト。 全くわからん。。。。 今回も5分なんていわず30分くらい延ばしてもよかったじゃないの? Weblog: つれづれなる・・・日記? racked: 2009-12-18 22:26
  • 《JIN-仁ー》★10

    Excerpt: 仁は、咲と神田川のいつもの丘の上にいた。そこで咲は、縁談の事を言いたかったが、突然の仁の頭痛で、それどころではなかった。 仁は、あの時の包帯男は自分かと思った。でも自分で自分を手術したことになるし、あ.. Weblog: まぁ、お茶でも racked: 2009-12-20 02:21