無理な恋愛#10

「無理な恋愛」#10
立木の熱意およばず、新人アーティスト・ズカンのCD売り上げは伸びなかった。早々に売り込みを撤退し始めるオールインワンレコード。「ただ・・ズカンは本当にいいバンドだし、スタートダッシュには失敗したのかもしれないけど、絶対将来性あるし、絶対に来るから!もうちょっとの間・・。」立木の熱弁をすかさず他の役員が制す。「いや、もう勘弁してください。もう立木さんの神通力は通用しないんですよ。」「損失でかいですよこれ!」「とにかく現場は離れてください・・。もう通用しないことが証明されたわけだし。」立木は散々に打ちのめされる。それでも、文平と祥子に現場を離れることを笑顔で伝え、ふたりにエールを送るのだ・・。
その頃、かえでも龍彦も「自分をがんばる」ため、それぞれのことをやっていた。龍彦はシナリオを書き、かえではオーディションを受けまくっている。前向きに。「どっちが前なのかわからないけど、後ろじゃないことはたしかかな。」かえでは落ちようがあきらかに場違いだろうが、攻めていた。龍彦もなんだか楽しそうなのだ。脚本を直してもらっている監督も、うれしそうな顔をしている。そして龍彦は労働して中古パソコンまで手に入れた。
ケンちゃんのロックバー。「えっ!?やめちゃうの仕事?」ケンちゃんが立木に尋ねる。「うん。そうしようかと思ってね。まあ俺はさ、家族とかいないから言えるんだけどね。必要とされてないのにいるのは辛いなあって思って。プライド高いのかなあ~俺は。」「それは悪いことじゃないよ。」「だよね~。でも、な~んの準備もして来なかったんだよ、俺。仕事やめたあとの事さ。怖いもんだよ、何にもなくなっちゃうってのはさ。」「恋はどうなるんですか?」ヨーコが横から尋ねる。「なんにもなくなっちゃった60才には厳しいでしょ。」立木の苦笑いにケンちゃんもなんと言っていいかわからない。そこへ、偶然にもかえでが店に入ってきた。
オーディションを受けまくっているんです。というかえでに笑顔で励ます立木。「立木さんのおかげです。立木さんに負けたくないなって思ったんです。だって立木さんは自分の力で成功して、今も滅茶苦茶がんばってて。なんか私はどうなんだって思って、女優。駄目なら駄目でいいけど、何の悔いも残さないくらいがんばったのかって。立木さんに負けないくらいやってみよう、そう思ったんです。」「・・それは光栄です。」龍彦も立木さんのおかげでがんばっている、あんな顔をみたのは始めてだな~。とかえで。「みんなよかった、よかったぁ~。かえでさん!がんばって!」立木は自分が会社を辞めようとしている事は話さずにかえでを励まし続けた。
立木は自分の旗揚げしたマンションに立ち寄っていた。その時、朝子が偶然立木の前に現れる。朝子は立木の娘。あの時のオーディション以来だが・・。「此間はきついこと言っちゃったね。ごめんね・・。」「いえ、甘かったしその通りだと思いました。ただ・・。」朝子はあれから将来のことを考えるようになってしまったと。「なんか怖いんです。いままでずっと学生っていう身分でそれがいきなり放りだされるみたいで。何かにならなきゃいけないっていうのがなんか怖い。なんでもいいんだろうけど、なんにもなれない気がして・・。」「同じだな・・。僕も今、怖くてしかたがない。」そこで立木は朝子に笑顔をみせ、「こう考えてみたら?何かになろうとか、何かにならなきゃいけないなんて思わなくていいんだよ。」朝子はじっと立木を見つめている。立木は本当のお父さん。でも今のお父さんが自分の大切なお父さん。立木のことなんて最初は、全然関係ない人だってずっと思っていたかも知れない朝子。でもオーディションで出会って、そのあとも立木のことをずっと気にしてて。もしかしたら、この偶然は朝子が願っていたことだったのかも知れない。立木もうれしかっただろう、自分の娘とふたりきりで色々話ができたのだから。「どんな職業につこうと君は君だ。職業に選ばれるんじゃない、君が選ぶんだ。君のためにね。」「私のために?」
そして・・立木は会社を辞めた。祥子はその事を察していたし、文平も泣きじゃくり、ついて行きます!と立木を呼び止める。それでも立木はずっと笑顔で、「ごめんな。上の世代としてはもっとかっこよく終わりたかったっていうか、お前達に夢与えるような仕事の終え方みせたかったんだけど。なんかかっこ悪くてごめんな!」ふたりに抱擁し、「ありがとな、本当に!じゃあな!」立木の後ろ姿を涙目で見送るふたり・・。いつも立木が座っていた椅子には、別の人間が座っている・・。
立木は光代、圭介、朝子と食事をする機会を得る。別れた元妻とその家族、そして自分の娘。こうして仲良く食事をする日々がやってくるなんて。立木にとってこんなうれしいことはなかっただろう。でもそれは、立木がその時その時誠意をもって人と接してきたからこその事なのだ。だが、光代にはわかっていた・・。立木の様子が少しおかしい事に・・。
立木は龍彦には会っていこうと思っていたのだ。いい奴だし、それとなくかえでさんを幸せにしろよって言っておこうと。でもみんな(かえで・龍彦・律子・監督)が集まっている所に顔を出すことになる。そして、かえでの映画の仕事が決まった。電話がかかってきたのだ。喜ぶ一同。「でもさ、自分のためにがんばる!がんばれる事があるって、素敵なことなんだよ。みんな、がんばれ!」そう言ってから、立木はかえでにデートを申し込んだ。一同シーンとなるが、かえではOKする。
ふたりは楽しいひと時を過ごすことになった。遊園地デート。「あのさあ、かえでさん?どういう関係に見えるんだろうか?僕達って。」「恋人じゃないですかね?遊園地だし。」「だよね~!」立木にとって、うれしい思い出ができたことだろう。
すべてやり尽くした。・・立木はマンションを引き払い、みんなの前から姿を消した・・。みんなに笑顔で「がんばれ!」とエールを送って回って。「一回ゼロになってみる。」立木正午はそう決めて、マンションを去った・・。

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