「JIN-仁- 完結編」まとめ前編

「JIN-仁- 完結編」まとめ前編
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■一話
南方仁は、現代から幕末の時代にタイムスリップしてしまった優秀な脳外科医である。途方もない自分の突然の境遇に、彼は眩暈を覚えている暇はなかった。次々と起こる事件に巻き込まれながらも、医者として邁進していた結果、この幕末ではなかったはずの医術を披露し、そして道具や薬品を開発することになっていった仁。彼は幕末の医術界ではちょっと名の知れた存在となっていくのだ。
そして彼は、現代で自分の婚約者・未来を死なせてしまった現実を、幕末の医学を発展させることで現代の未来の病気を治せることはできないか?と考えるのだ。<過去の医学の針を進めることで現代の医学をより進んだものとする>だが、その目的を果たせることはできなかった・・。歴史のうねりは、変革がおとずれようとしても、新たな力が働いてその変革をなかったことにする・・。それでも、何かは残し、やり遂げていく仁。そして。多くの人達の助けや出会いが仁を励まし、彼にこの幕末で生きていく決意を固めてさせていた。

仁が立ち上げた「仁友堂」は画期的な病院だったが、まだまだ外科はこの時代には認知されず、元医学館の、福田玄考の漢方治療が主流になっていた。金銭面では福田先生の世話になりっぱなしですねと苦笑いする仁に、同じく医師・佐分利裕輔も笑う。「ま、慣わしを変えるのは大変ですよ。世を変えるってことですから。」

仁友堂に縁談を断ってまで参加した橘咲は、医学に興味を持ち、仁の助手をしながら、自らも医術の勉学に励んでいた。もっとも、最初は仁に興味を持ったからこそ、進んでいる道でもあったのだろうが。。そんな咲が最近元気がない。仁は声をかけるが・・。
実は現在、橘恭太郎も、妹・咲の結納放棄が原因で、城に通うことを禁じられていたのだった。武士としては面目立たない状況・・。どうやら縁談の相手は橘家より目上の家柄で、その家が縁談を断られたために上申したのだ。そのことで母親・栄は気を病んでしまった。息子は差し控え、娘は家を勘当された形で出て行く・・。しかも、栄自身は脚気の病にかかってしまっていた・・。

脚気は実はビタミンB1の欠如が引き起こす病で、まだこの時代では流行、死病とされていた。白米などを食べ続けるとミネラルバランス崩れる。雑穀米を食べていた庶民はかかりにくかったようだが。
そんな栄の状況を知ってしまった咲は元気がなかったのだ。仁は栄に会いにいくが、咲の件では関係者でもある仁の存在も、許せる感情ではなかった。このまま死んでもいい・・という鬼気迫る怒りと悲しみに栄は満ちていたのだ・・。

食事療法しか脚気を治す手立てはない。だが、頑なに食事療法を拒否する栄にどうやって?・・咲は思い出していた。母はかりんとうが大好物だったことを。ふたりはおやつ的な食べ物を作ることで栄に食べてもらうことを模索した。そして、どーなつを作るのだ。。仁友堂ではこれをあとで大量に売り出すことに。。これは売れる!(笑)脚気の特効薬になり、しかも旨いんだから。。
このどーなつ(道名津)は大吉屋で働く男の子・喜一が持っていってくれることになった。仁や咲が絡んでいると栄に悟られないためだが。実は、栄はすぐに気付いてしまう・・。

その頃。町を歩いていた仁と咲の後ろを、傘を被ったひとりの浪人風情の男がついて来ていた。そして。「ホールドアップじゃ。先生。」仁の背中に銃を突きつけていた。
だが、ピンと来た仁は振り向いて傘を覗き込む。「龍馬さん!」満面の笑みで喜ぶ仁。「わはははは!お手上げなんじゃ先生!」坂本龍馬は幕末の異端児で偉人。仁は龍馬と親友の間柄になっていた。龍馬もうれしそうに笑い、再会を喜ぶ。どうやら龍馬は、仁に治して欲しい人物がいてそれを頼みにきたらしい。

池田屋騒動で海軍操練所の仲間も新撰組に数名斬られた・・と呻く龍馬。だが、そのことではなく、天誅で斬られた佐久間象山が実はまだ生きていて、その象山を助けて欲しいとのことだった。佐久間象山は色々な分野に精通したいわゆる天才である。幕府にとってはたしかに有益な人間だったために天誅のターゲットにされたのだろうが。まだまだこの時期、攘夷派の行動は天誅という要人暗殺で幕府の力を削ごうとする活動がさかんであったのだ。外国の圧力にうまく対処できない幕府に反感を持ち、それは倒幕運動に結びついていくのだが・・。外国の存在を排斥したい攘夷運動と倒幕が結びつくまでにはまだまだで、やり場のない浪士達のはけ口が歪んだ形で天誅に結びついてしまう時期でもあった。池田屋で名を上げた新撰組はそうした過激浪士達を取り締まる役目を負っていた。彼らもまた、時代が作った特殊な過激集団だったのだが。

龍馬の頼みに影を落とす仁。栄のことが気がかりで江戸を離れるのは心苦しかった。そして、それほどの天才を助けてしまえば、本当に歴史が変わってしまうのでは?とまた、恐ろしくもなっていたのだ・・。
「・・ですが先生は医者なのでございましょう?黙ってみているだけというのは違うのではないでしょうか?」縁側に座りやさしく気丈に諭してくれる咲。こうして仁と咲は、お互いを支えあってきたのだ。「京都か・・」仁は笑った。行く決意を持てたのだ。

熱に弱いペニシリン(仁友堂が誇る最大最強の抗生物質)を乾燥(それは大変な作業)させて運び、徒歩と船旅と過酷な旅は続いた。その船の上で龍馬は象山について語った。もしかしたら象山自身の藩である松代藩によって襲われた可能性があるということを。
優秀だったが、それゆえ、傲慢だった象山は疎んじられていただろう。そして先見の目があったからこその開国論者でもあった象山は、攘夷派に斬られても疑われない。天誅しまくっている攘夷派の仕業に容易にできるわけだ。「そんでその攘夷派を国賊ちゅうて斬り回っているのが新撰組じゃ・・。まっこと今のこの国は、兄弟喧嘩ばっかりしちゅう。海のむこうにゃあとんでもない敵(外国)がこじゃんといるちゅうに・・。この国はどうなるがぜよ!」海を見つめて龍馬は唸った。
龍馬は勝海舟の考えに賛同し、外国の力を吸収して(排斥にのみ躍起になる志士達と龍馬はここが違っていた)自分達の国の力を強くする道に進んでいた。この時代でいえば海軍力である。海軍操練所を任されていた龍馬は脱藩浪士の身でありながら幕府の海軍塾に在籍しているという非常に珍しいポジションだったわけだ。彼の彼、所以である。。
仁はそんな龍馬を見つめながら思った。龍馬さんはそんな今の日本をまとめる偉業を成しえながらも、明治を見ることなく果てる・・。(俺に龍馬さんを助けることができるのだろうか?神はそれを許すのか?)

そして京に入るとそこは・・今にも戦が始まろうとしていた。長州の兵隊達がものものしく京の道々を行きかって隊列を組んでいる。時勢は尊皇攘夷運動が猛威を振るっていた頃と違い、幕府よりの公武合体政策(朝廷と幕府が婚儀で手を結ぶ政策)に移り変わっていた。このことで過激な攘夷藩であった長州は浮いた存在となり追い詰められ、今まさに決死の覚悟で戦に望むしかなくなっていたのだ・・。これからここで起こる戦・禁門の変で、幕府軍の指揮は薩摩藩がとっていたために、長州と薩摩は今後さらに犬猿の仲になる。

仁と龍馬は気付いた。兵隊の中に久坂玄瑞がいる!いきり立った長州兵に囲まれた仁達を、久坂の号令で解かれ、助かった仁達。「私はそのものに会ったことがある。幕府とは関係ない風変わりな医者じゃ。」不敵に笑う久坂。「あの時のわびじゃ。南方どの。ペニシリンはこの国を救う薬じゃ。」「・・・。」仁と龍馬は、過去に久坂の放った刺客に襲われたことがあった。今の台詞に驚きを隠せない。「どういたがじゃ?久坂?おまえらしくないぜよ?」「・・私はもともと医者だぞ?坂本・・おまえは間違えるなよ。」久坂は真面目な目をして龍馬に言い、去っていった。

匿われた佐久間象山は仁の見立てでも、生きているのが不思議なくらいだった。そして象山は現代にタイムスリップしていたことがある人間だったのだ!仁とは逆パターンである。またもとの時代に帰ってきたようだが・・。
戦が始まり、火の手が上がる隠れ部屋で、象山はそれゆえ怒鳴る。ここにあるその医術道具をまず運べ!!と。
「・・わしはおまえがうらやましい。わしにはこんなものは作れぬ。おまえには山のような知識と技があるのだろう・・。未来を見越し、この国を救うこともできる。もしおまえのやったことが意に沿わぬことであったら、神は容赦なくおまえのやったことを取り消す。神はそれほど甘くはない!ならば進め!心のままに!進め!」火の手があがる中での象山の形相は、鬼と化していた。だがその言葉は、仁にこれからの迷いを振り払う言葉になる。象山を救うことはできなかった。だが、この出会いは仁にとってなくてはならないものだったのかも知れない。

龍馬も弾丸飛び交い、刀と刀が切り結ぶ戦の中を駆け回り、ようやく久坂と会うことができた。実は久坂は、攘夷運動なるものを、はなから心酔などしていなかった。彼は自分の藩のことしか考えてないこの国をひとつにまとめるための運動に、攘夷を掲げていただけだったのだ。久坂も龍馬と同じ、この国全体を憂いていたひとりだった。久坂は龍馬にこれからの日本を託し、腹を切った・・。戦は幕府軍の圧勝で幕を閉じた・・。

戦で焼け出された避難民を助けるため、仁達は簡易治療所を作る。そこでひたすらに治療に当たる仁。
長州・東修介も、龍馬が連れてきて仁が治療に当たることに。足の銃弾を取り出し安堵したそこへ、申しあわせたように残党狩りを称して新撰組が治療所に乱入してきた!容赦なく東に刀を抜く新撰組!戦慄が診療所に走る・・。

バキン!その刀は銃弾によって突然折れた!龍馬がおどけて言い訳をしている。「弾だけに、たまたま・・。」龍馬は診療所を飛び出し、新撰組は龍馬を追いかける。龍馬はおとりになってくれたのだ。。一時診療所は、平穏を取り戻したかにみえたが・・。

今度は新撰組によって仁自身が連行されてしまった。西郷吉之助を治して欲しいとのこと。治療所の患者達のもとへ戻して欲しいと嘆願しても許してもらえない。西郷は優しげな人物だったが、周りの薩摩藩士はせっぱ詰まっているのか、庶民と西郷では格が違う!と叫ぶ。仁は嫌悪感を隠せない。が、ここで引き下がっては医師としての威信に関わる・・。仁は治療を申し出た。
西郷隆盛は仁だって知っている幕末の立役者だ。だが、自分がこの幕末にきていなければ西郷はこの病気になっていなかったのではないか?これは・・神が仕組んだ何かなのか・・?
仁の技に圧倒される薩摩藩士達・・。虫垂炎は死に至る病だったが、仁は治した。

しかし・・。仁のいない間に治療所の患者はたくさん亡くなり、西郷に使ったペニシリンで最後だったため、衰弱した患者は、それからも次々と死んでいった・・。仁は自分の無力さに呆然とし、歴史の強大さに慄然とする。(なんのために自分はこの時代に来たんだ・・?)

帰りの船で龍馬は仁に言った。「のう先生、死んでいった者達に報いるには、ひとつしかないと思わんかえ?もういっぺん生まれてきたいと思える国にすることじゃき・・。」
仁は龍馬に、龍馬の運命を教えようとする。彼に死んでほしくない。だから、それを教えれば龍馬さんはそれを回避できるのでは?
だが・・告げようとした瞬間に激しい頭痛が襲い、仁は倒れてしまった。歴史の強大さは、仁の善意さえ簡単になかったことにするのだ。

江戸に帰ってきた。栄は元気になっていた。喜一は毎日毎日栄の元に通って、道名津を食べてもらおうとしていたようだ。仁と咲が仕組んでいたことを見破って食べようとしなかった栄。だが、喜一の気持ちは届いたのだ。
<仁が来て江戸は変わった。母親は結局死んでしまったけど、仁は一生懸命助けてくれた。今は後ろ指さされても、咲さんもいつか立派な医者になり、世間の噂を跳ね返す日が来ます。でも、それを見届けるには、生きていなければダメなんです!>
栄は涙を流し、仁に笑顔を見せた。咲には、女の常識をくつがえす道を作りなさいとエールを送る。仁はとりあえずの安らぎを得ることができたようだ。

道名津は江戸でも大流行し、咲がアレンジしてあんを塗り、あん道名津として知れ渡る。だが・・それが仁友堂を揺るがす大事件へと発展してしまうのだ・・。


■二話
江戸では安道名津(あんどーなつ)が大流行。仁が、脚気に効くと仁友堂の面々と作ったお菓子だが、薬なのに菓子なわけで。。評判にならないわけがなかった。噂が噂を呼び、仁もたびたびお世話になっている西洋医学所の松本良順から頼まれる。良順は高名な医師であり奥医師でもあった。
「実はあるお方が脚気の疑いがございまして。安道名津を献上していただきたいのです。」「どなたにですか?」両順は秘密めいて仁に耳打ちする。「・・和宮って人ですか?」仁の普通の表情と言葉に、良順は顔をしかめた。だが、仁もすぐに気がつき、びっくりするのだ。。皇女和宮。朝廷から江戸にお嫁に来たお姫様。。将軍・徳川家茂の奥方である。

この話に仁友堂のみんなは歓声を上げた。あまりのうれしさに山田純庵などはヒーハーヒーハーしている。。福田玄考は、大奥などはしきたりや人間関係が難しいので関わるのはやめたほうがいい・・と顔を引きつらせ皆を諭すように言うのだが、それでも皆の喜びようは途方もないものだったのだ。だが、仁の表情はそれほどうれしそうではない。咲はそれに気付いていた。

机に座って考え事している仁の、となりの椅子に腰を下ろし、咲は声をかけた。「なにかご心配なことが?」「いいんですかねえ。私みたいな人間が、大奥に出入りしたり奥医師になったり。」「当代一の名医でいらっしゃいますのに?」それを聞いてフッと笑う仁。「・・身元も明かせないわけですし、ある日突然いなくなっちゃたりするかもしれないし。」仁の言葉に、咲は真剣な顔をして目線を外した。「・・左様でございますよね・・。先生はいつか必ず、いらっしゃらなくなるのでございますものね・・。」立ち上がった咲は早口になり、「私としたことがつい忘れておりました。宮様への献上の件は、先生のよろしきようになさいますのが一番かと存じます。」仁がひきとめようとすると、咲は早足に去っていってしまった・・。
仁は現代から幕末へタイムスリップしてきた存在である。佐久間象山がそうであったように、仁も突然、なにかの拍子に現代へ戻ってしまうかもしれないのだ。しかしそれでも、仁が幕末の江戸に来てもう二年が過ぎていた。

仁は考える。仁友堂には金がない。医療費も医療道具などに消えていき、医者達にだって給料を払えていない・・。ペニシリン製造もヤマサ醤油の濱口氏にお世話になりっぱなしだ。献上の話はまたとない好機であるに違いないのだが・・。ここのところの自分は、あまりに幕末の有名人に関わりすぎている。いくら覚悟を決めたとしても、このままここで、江戸で死んでいくのか?となると、話はべつになってくる。現代の世界には、まだ親だっているし友人もいる。ましてや、現代の友永未来はどうなっているのか?ここにいてはその生死さえ、わかることはないのだ・・。

?仁は見知った雰囲気の女性がいるのに気がつく。女性のほうも気付いた。「野風さん!?」膝を少し曲げ、仁に挨拶するその笑みは、今でも美しかった。野風は花魁を辞めて、しばらくは読み書きを子供達に教えていたのだが、その妖艶な雰囲気で長屋の空気を乱してしまい(苦笑)追い出されてしまったらしい。さすが元・呼び出し。。昔の旦那達も、職を口利きしてくれなかったようだ。

橋の上で立ち話をするふたり。「あの、お妾さんになるなんて考えてないですよね?」ふふっと笑う野風。「ちゃんとカタギになりんす。先生にいただいた命。大事に使いんすよ。」「・・あの。よかったら仁友堂で働きませんか?そんなこと言っても、お給料はだせないんですけど。その、食べるくらいは困らないし。」野風は笑う。仁の厚意に甘えることにしたようだ。咲とも笑顔の再会をした野風は、仁友堂の面々とも挨拶し、甲斐甲斐しく働いてくれるようになったのだ。仁友堂も華が増えてよかったよかった。。

有名役者・澤村田之助が仁の元を尋ねてきていた。いつぞや金の工面の時に、仁と強烈な出会いをしたこの売れっ子役者だったが、今では気心のしれた友人になっているようだ。どうやら和宮の前で劇をすることになったらしい。
「松本先生がまだ返事ないってこぼしてたよ。何迷ってるんだい先生は?」「作り方を教えてしまえば誰でも作れるものですし。」「欲がないね、先生は。」田之助は仁に、和宮のことも話す。彼女は公武合体政策のために、相思相愛の相手から引き離され、江戸・大奥に嫁ついできた可哀想なお姫様なんだと。もう二度と国には帰れないんだと。「つかの間でも喜ばしてあげてえじゃねえか?」
公武合体とは朝廷と幕府が婚儀で同盟を結ぶ政策で、力が弱まった幕府が力を取り戻そうと図った政策である。尊皇攘夷という帝を祭って暴挙にでる攘夷派の連中を黙らせる意味合いもあるが、朝廷をひっぱりこまないと世間を押さえられなくなった幕府、それほどまでに権威が落ちていたという証拠でもあった。

仁は決めた。国に二度と帰れないという和宮、そして行く場のなかった野風に、仁は自分と同じものを感じた。安道名津を献上することにしたのだ。咲は仁の決断にうなずきながらも、その決断には自分の存在は関係ないことに切なさを感じずにはいられなかった・・。
(国とはすなわち故郷のこと、そして野風の先には、現代で恋人だった未来がいる。仁の心はいつも、ここにはない・・)咲は自分の気持ちが仁には届いてないことを痛感していた。
そして、仁はあとで知る。咲が物を売って金を工面してくれていたこと。自分の知らないところで仁友堂のために途方もない苦労をかけていたのだ・・。<こんな、いつ消えてしまうかもしれない男のために!>仁はそんな咲の気持ちに、自分の中途半端な気持ちに、咲にかける言葉をみつけれないでいた・・。

和宮は気さくで可愛らしい姫様だった。仁にも声をかける。「おいしいお薬でありました。」
だが!田之助が劇をしようとするその直前に、腹痛で和宮は倒れてしまうのだ!砒素を盛られたのだ!

奥医師ではない仁は良順に指示をするのみだが、画期的な仁の毒対処法に、良順は確実に仁の指示どうり当たった。
ゴム管チューブを胃の中にまで通し、スポイトで胃の中をポンプで吸い上げるように毒と胃液を外に出す!少しずつ少しずつ毒を出していく・・。和宮は助かった。仁の治療はまだこの時代ではない方法、それが仕組まれた売名行為と判断され、仁と咲は捕縛されてしまったのだ!良順の仁を守る言葉も聞きいれられなかった・・。誰が毒を盛ったのか?毒見はされたはずだったが・・?

あの者達は吟味される。と言われた良順、「そうでしょうな。毒見役のほか、大奥の皆様方も等しく!」良順は睨みつける。この事件の陰謀に、仁は利用されたのだと感じていたのだ。

牢屋にぶち込まれた仁は、賄賂もなく、徹底的に牢屋内で痛めつけれた。ここ牢屋では、ボスに絶対服従の別社会が存在していたのだ。仁は痛めつけられても食ってかかり、さらに痛めつけられた。それは命にかかわる容赦ないもの・・。
<医者は普通あがり牢に入れられる。それが大牢となれば、お上は仁に死んで欲しいと願っているということだ>あがり牢越しに牢屋番に聞かされる咲。いったい何が起きているのか??

医学館の多紀元淡からこの献上の話をなかったことにせよ!と潰す命令を受けてしまっていた福田玄考。その顔は蒼白になっていた。仁友堂では仁と咲の牢屋入りに驚愕し、様子のおかしい玄考が問い詰められている。彼の口から、この陰謀に本道・医学館が絡んでいると察した仁友堂。そして良順も驚愕していた。この事件のお取調べを医学館がすることになったのだ。仁達ははめられたのだ・・。


■三話
仁は大牢の中で徹底的に痛めつけられていた。仁友堂が皇女和宮に献上した安道名津に、砒素が盛られていたという嫌疑がかけられ、仁は牢にぶち込まれた。
いきなり放り込まれ、しきたりも何も知るわけがない仁は、賄賂も持たず、しかも元来の負けん気の強さが災いし、大牢のボスに睨まれ、手下達からリンチを受けていたのだ・・。ここ罪人の放り込まれる大牢はここだけの中の別社会。牢名主というボスにうまく取り入れられなければ、待つのは死なのだ・・。

遠のく意識の中で、汚れた牢の天井と共に、現代のそびえ立つビル郡が目に映っていた。(これは・・?このまま死ねば、現代に戻れるのか?)この目に映るビル郡はタイムスリップ前にいた現代に戻れる暗示ではないか?仁はそう思った。このまま意識がなくなれば、きっと戻れる・・。だが!仁は現代に戻ることを拒絶していた。真っ先に想ったのは<咲>のことだった。いつも自分の傍で支えてくれている咲のことを仁は想ったのだ!
目を見開き、手下に噛み付ついて抵抗する仁。彼の精神力は牢屋の中でも健在だった。はからずも牢屋内でもその医術知識を披露する羽目になった仁は、大牢内でも認められ、牢屋内は平和な秩序を取り戻しはじめていた。牢名主も仁の言葉に従い、威張ることを辞めたのだ。。その間にも仁のための賄賂が見知らぬ相手から届いたこともあった。牢の外で誰かが仁のために助力してくれている。その事実に仁は喜びを感じるも、今度は役人からの取調べと称した拷問責めが始まった・・。想像を絶する拷問に、仁は苦悶に悶絶する。石抱きまでされるとは・・。

医学館のお取調べでは、やはり安道名津のひとつに砒素が盛られていたという。仁友堂の佐分利裕輔は声を荒げた。「そんなおかしな話がありまっか!?毒も盛って殺そういうのにひとつやなんて?そのことが南方先生がやってないっていう証拠やありまへんか!?」「むろん我らもそう思う。」顔をしかめて返答する西洋医学所の松本良順。「だがこのたびの一件は幕府としては表沙汰にしたくない事態(公武合体で地固めしたい幕府としては和宮に毒を盛られたことで公武合体自体を駄目にしたくない)、真の下手人を突き止めるより早く終わらせてしまいたいと考えるやもしれぬ・・。」「じゃあ南方先生は!?」「・・茶碗があればこの話を覆せるかもしれぬ。たしか宮様はあの時、茶を飲んでおられた。菓子からでてきた毒もその茶がかかって、でたものとするならひとつだけでてきたことも辻褄が合おう。だが・・このお調べにはその茶碗の話はまったく出ておらぬ。」良順は佐分利に厳しい表情をみせた。「見つからぬのか、見つからぬことにしてあるのか。いずれにしろ医学館が我らのために茶碗を探しだし、お調べをしてくれるとは到底思えぬ。もし仕組んであった者がおったとすれば尚更じゃ!」

福田玄考は医学館督事・多紀元琰に泣きながら嘆願する。どうかもう一度お取調べを!!元琰は脚気に効く安道名津を快く思わず、たしかに福田に潰すようにいった。しかも医学館がお取調べを仕切っていたとすれば・・いくらでも仁を闇に葬ることはできる。福田としては泣きながらもう一度!!と元琰に頼みこむしかないのだ。だが、自分の調べが不十分か?不愉快じゃ!と追い返される福田・・。

咲はあがり牢でずっと祈り続けていた。仁の無実が晴れますように・・。仁の罪が晴れるまではと寝具も使わない。だが、ついに仁に沙汰が出てしまったようだ。仁は移送されることになった・・。

坂本龍馬や勝海舟、橘恭太郎はある秘策を思いついていた。勝が言うには将軍家・一橋慶喜の口利きで、仁を助けるというのだ。慶喜が薩摩の西郷隆盛を助けるように医者を探したところ、仁に矢面が当たり、見事仁は西郷を救った。だが、薩摩から慶喜に仁の功績が伝わっているかはわからない。
薩摩から慶喜に嘆願するように頼む方法より、龍馬はもっといい方法を思いつく。火消しの親分・新門辰五郎。。彼は慶喜とも翻意で、しかも仁の心意気と腕を買っている。彼に頼むのが一番早い。
龍馬と恭太郎は籠で罪人移送されている仁に追いついた。慶喜からの嘆願書も持参していた。これで助けられる!だが・・慶喜公からの嘆願書など移送中の役人に見せても、偽者じゃ!と取り入って貰えない。籠の中から仁は、龍馬と恭太郎の奮戦を涙ながらに見つめながらも、どうすることもできない自分の運命に覚悟を決めるしかなかった。

移送先で仁の沙汰が下された。なんと!仁は無罪放免だった。。咲もすでに釈放されていた。実は、あれから元琰がさらなるお取調べを和宮に嘆願し、調査してくれたのだ。そこで隠されていた砒素茶碗を見つけた。奥女中のひとりも自殺し、事件の真相はわからずじまいだが、仁の無罪は確定したのだ。
砒素を盛ったのは仁に恨みをもつ三隅俊斎という医者なのだが。いつぞや野風の岩をいっしょに診察した際に、岩を見逃したことを殿から指摘されお叱りを受けた。そのことを逆恨みして浪人を放ったこともある。もちろん咲の活躍と仁の信念の前に、その浪人達は引き下がることになったが・・。またしかけてきたとはね・・。もうやめろよ三隅(苦笑)

後日。仁はありがとうございました。と元琰に頭を下げにいった。そして、ペニシリンの製造法を渡す。驚く元琰。「他にお礼もできませんし。それに本道の先生にもペニシリンを使えるようになって欲しいんです。この国の医療のためにも。」「この国の医?」元琰の目は熱くなっていた。帰っていく仁の背中を見送りながら思う。(しかしあの男に嫉妬しない医者はいないであろう・・。流れを同じくする者にとってはいっそ目障りであろうな)

仁は自分のために尽力してくれたみんなと飲んでいた。感謝の飲み会である。だが、そこに野風の姿はなかった。山田純庵が言う。牢への賄賂を作ってくれたのは野風さんではないか?と。龍馬が仁に飛びついた。「探すがじゃ!先生。野風が金を作る方法はひとつしかないろ!?」
だが。野風は西洋風のドレスを纏い、白馬にまたがって仁友堂を訪れたのだ。彼女は前から見初められていたロシア人のルロンさんと結婚することにしたそうだ。ずっと野風のことを想い、探してくれていたルロン。なにやらわからないけど、その愛情と情熱に何かを感じたであろう野風は、いっしょになることを決めたという。
牢への賄賂はルロンさんからの結婚支度金だったのだ。ルロンはちゃんと賄賂の出所を教えてあげるのも思いやりと仁達の前に現れた。だいぶおじさんだが、目のやさしい異人だった。たどたどしい日本語を話している。。
野風は言った。「南方先生。あちきはこれより女子の幸せはすべて手にいれるつもりでおりんす。ゆえにこれより先の心配はご無用でありんす。先生も、わが身のお幸せだけをお考えください。」「はい。」仁も笑顔を見せた。
帰り際に野風は咲に言う。「先生と幸せになると約束してくださんし。」咲の手を握り、「おさらばへ。」会釈して馬に乗った野風。野風に惚れていた龍馬はルロンに銃を突きつけていたが(笑)ふたりはゆっくりと馬に揺られて路地を曲がり消えていった。
咲は思う・・野風は自分なりの間合いで身を引いたのだと。

そして。仁と咲は神田川と街が見下ろせる、いつもの草原に座っていた。仁は咲に、なにやら話があるようだ。
「殺されそうになったとき未来に・・。その時、私は戻りたくないって思ったんです。未来に会えなくなるより、咲さんに会えなくなるほうが辛いって思ってしまったんです。・・戻りたくないって思っても、いつか戻されてしまうかもしれない人間が・・こんなこと言っていいのかわかりませんけど。・・咲さん、私といっしょになってもらえませんか?」仁は真っ直ぐに咲を見つめて言った。いきなりプロポーズ大作戦(笑)

咲は眉間に皺をよせ、怒った様な顔をしている。沈黙が長い・・。「・・美しい夕日ですね。こんなに美しくてよいのでしょうか・・。」なんの話(苦笑)「・・お断り申し上げます。」咲は言った。「私の幸せは先生といっしょになることではございませぬ。私の幸せは、のちの世に仁友堂を残すことにございます・・。」咲はいつか帰るかもしれない仁の未来には自分はいない。だから私達がつかの間懸命に生きた証を残したい。「・・戻らないかもしれませんよ?」「いいえ。きっとお戻りになります。」そして。いつかいなくなるかもしれない人といっしょになる勇気はない・・。咲は色々と結婚できない理由を仁にのべて、ご飯の支度があると先に帰ってしまった。ばっさり振られた仁。。(泣)
だが・・咲は帰り道、号泣していたのだ。(私だけが・・幸せにはなれませぬ・・)

後日。仁は龍馬と陽だまりの道を歩いていた。仁はペニシリンをもっと扱いやすくしたい。と龍馬に言う。そうしたら新しい医術がこの国に生まれるかもしれない。「初めてきいたぜよ。先生が自分の考えを聞かれもせんうちに話すのを初めて聞いたち。」龍馬はうれしそうに笑った。「ほいたら先生。また。」龍馬は眩しそうに日を見上げながら去っていった。龍馬は海軍操練所がお取潰しにあってからは薩摩に身をよせることになったようだ。浪人でも攘夷派でも学びたいものは学ばせる海軍操練所は、幕府から見れば危険分子の巣窟に見えたのだろう。そこがなくなっても龍馬はめげず、新たな目的のために動こうとしている。仁も新たな明日に、何かをしようと思っていたのだ。


■四話
南方仁のもとに、坂本龍馬から手紙がきた。龍馬は薩摩に身をよせてから、そこの西郷隆盛と意気投合、ふたりは仲よくなっていた。西郷から、仁に手術してもらった話を聞かされたことも手紙には書いてあった。
仁が手術で西郷の腹を切ることを説明したら、その腹を切るという行為を、薩摩藩士達から反対の怒声を浴びせられた。しかしそれでも、無理やりつれて来られてきて、帰ることもできたはずなのに、それでも仁は、西郷の命を救うために、頭を下げてまで手術を願いでたのだ。龍馬はその話に感動していた。

龍馬は、薩摩にも長州にも顔をだしていて、このいがみ合ったふたつの藩を仲良くさせることを思いついていた。長州の桂小五郎らの友人を救うためには、なんとしても薩摩と仲直りさせるしか道はない。
幕府は行き過ぎた攘夷運動藩・長州を、みせしめのために必ず潰す勢いだ。それを薩摩にやらせることでお互いを潰しあわせる幕府。薩摩も力が増してきていて徳川幕府からみれば危険な存在でもあった、力を削がせる意味合いもあるのだ。だからといって、薩摩はそれに従うしかない。このままでは、優秀な人材がいて熱意もある者同士が、潰しあって力を削がれる。だがもし、熱いこのふたつの藩が、極秘裏に手を結んだら?・・・それは、世の流れが変わる!
旧態依然として弱体化していても、まだまだ巨大な徳川幕府を揺るがすきっかけになる。龍馬も幕府は倒さなければいけないと考えていたから、この企みに奔走することになるのだ。

龍馬は長州藩にいた同藩の脱藩浪士・中岡慎太郎も同じことを考えていたことも幸いし、ふたりは薩摩と長州を結ばせることに駆けずり回った。もっとも龍馬は、幕府の中の変わり者・勝海舟のような人物にであっていたから、どこかに属してなくても自由に動ける基盤みたいなものがあった幸運な人物でもある。彼の才能気風が十分に発揮できる下地は、やはり勝海舟との出会いにあるだろう。
龍馬は同時に薩摩の支援を受けて、いっしょに面倒を見てもらっていた海軍操練所の仲間と共に、長崎に亀山社中という海運業のような商売をするカンパニーを立ち上げた。。船の操船術を戦ではなく商売にも向けるところが武士の発想ではない。やはり生まれが郷士下士であっても、そこそこ裕福な商売屋だった気風もそこにでている。

仁も龍馬に手紙を返信しようと書いていた。仁はあれから和宮の一件の侘びをかねたお礼をもらったこと。徳川の紋所がついたクシと短刀(欲しい・笑)。そのせいもあってか橘恭太郎の差し控えも解かれて、橘家はもとどうりになったこと。
遠心分離機というカラクリを完成させ、それをグリグリ回して血液を分離させ、血液型を判別し、それにより<輸血>という治療法ができるまでになったこと。
ペニシリンを使いやすくするための研究は続けていること。粉末化が成功すれば爆発的に広まることになるだろうこと。
咲に振られたことは手紙に書かなかった仁(笑)

「おまんがわしの護衛になるとはのう。」龍馬は靴を履きながら笑う。長州から護衛の者をつけると、ふたりの若者がきた。ひとりは三吉慎蔵、もうひとりは、龍馬が助けて仁が治療した東修介だった。「しかたないことですから。坂本さんは志士というより商人ですよね。長州のためにと武器を流してくれていますが、実際のところかなり儲かっているという話ですし。」淡々と言う東のその口ぶりと表情は、あきらかに龍馬を軽蔑している。三吉は東の険悪な態度にタジタジだ。。「だが今、長州のために尽力してくれているのは、坂本さんと中岡さんだけです。守らねばしかたないですよね。なにより、僕はあなたに助けられてしまった。」その東の目は密かに殺気だっているようにも見える。だが、龍馬は笑って、東みたいな正直ものは好きじゃ!と抱きつくのだ。。
「じゃが薩摩も長州もそこが肝じゃき。お互いのこと好きじゃないき。けんど情の垣根を越えて手を結ばせるものがひとつだけあるぜよ。」東は龍馬を見た。「そりゃあ、利じゃ。利ちゅうがわ、この場合、倒幕じゃ!」「やはり・・商人の考えですね。」「いや、医者の考えぜよ。」医学館も医学所もない、垣根を越えた医を言っていた仁のことを思う龍馬。「・・南方先生のことですか?」「ほいじゃ、いこうかにゃ。京へ。」

その頃。仁は川越まで咲と護衛を伴って旅をしていた。実は多紀元琰に、患者のこぶを診て欲しいと頼まれたのだ。その患者は川越藩主の妻・恵姫で、実は徳川にとても縁のある血筋なのだ。。最近そういうのが増えてきたね先生。。

その旅で、なんだかんだ仁と旅するのがうれしそうな咲。仁もまんざらではないようだ。。大井宿ではお初という可愛らしい女の子が茶を出してきた。「お客さん。お茶飲んでくんろ。」仁がそのお茶も持ったお初の手に触れると、一瞬電気が走る!「あちかったけ?」不思議そうに仁を見たお初。ニコニコ笑っている。。
そのあと。なんの手違いか咲と同じ部屋に案内されてしまった仁。夫婦だと勘違いされたのだ。だが、咲がそのままでいいと言うので、仁は鼻の下を伸ばしながらも言った。「咲さんが嫌じゃなければ。」

せっかくふたりきりになれたのに、お初がちょくちょく顔をだしてきた。「ねえねえ。咲様は折り紙は得意け?」「えらいお先生はなんも折れんべか?」邪魔すんなよ。。でもかわいいから許す(笑)仁は紙飛行機を作ってお初に見せた。「わ~飛んだぁ。。」宿の通りの賑わいに、紙飛行機が舞う。仁とお初が遊んでいるのを見て、咲は遠くを見つめるように澄んだ笑顔を見せていたのだ。

そして夜。屏風を部屋の中央に置いて仕切り、仁と咲は横になっていた。あの紙飛行機が未来の折り方だと知って咲は言う。「・・この屏風の向こうは百数十年後なのでございますね。」「・・・そうなりますね。」そんな屏風なんてとっちまいな!だが・・ふたりは奥ゆかしいので、このまま眠りにつきました。。

次の日。恵姫は治療を拒んでいた。褒美なら出そう・・ともう帰らせようとする。しかも、側室に子供が生まれた一報が丁度入ってしまった。こぶのせいで旦那は側室を作り、そちらの子供が先に生まれてしまった・・。悲しい目をしながらも気丈に振る舞う恵姫の姿を見て咲は、女子同士で話がしたいと恵姫と話をする。そして・・恵姫は仁の治療を受けることに同意したのだ。

こぶは悪性ではなく手術でとれる。だが、姫は貧血のため場合によっては輸血の必要があった。その血の説明を女だてらに見事にわかりやすく姫に説明する咲。血を混ぜた時の固まり方でA,B,O,ABと種類の型がわかるのですと。見事な勉強ぶりと説明に笑顔で感心する仁。そして、あっけにとらえる姫。「そなたらのすることはなにやら魔術のようじゃ。」

姫は家老や殿、お婆様の血を集めることで家内の結束をかためることに成功し、こぶも仁の見事な腕前で摘出された。輸血する事態にも陥ったが、集めておいた血で輸血も成功。咲の助手ぶりもすばらしいものだった。すべてうまくいったのだ。
仁の医術は川越藩にも認められて、ペニシリンの製造所も作らせてよう殿に頼んでおくと恵姫は言ってくれた。「咲殿。意地を張るとろくなことがない。の?」笑う姫。咲は意味深に頭を下げた。

咲は、姫を説得するときに和宮のお礼のクシを見せた。仁は町医者ながら上様と和宮様からお礼を賜るほどの名医であると。そしてもうひとつ。。自分には好きな人がいたが意地を張ってダメにしてしまったこと。だから、意地を張るとろくなことがない。恵姫には意地をはらずにちゃんとこぶをとって、また藩主様と向き合って欲しいと。
だが。咲自身はまたしても意地を張ってしまうのだ。「私の幸せを勝手におきめにならないでくださいませ!」咲にいい人が現れたら、自分に気にせず結婚してください。と仁なりの思いやりをみせた話だったのだが・・キレちゃった(苦笑)
「・・あの時、結婚は別の人としたいと、咲さん言ったじゃないですか?」「先生にだけはおっしゃって欲しくないのでございます!」「・・・。その、じゃあ、なんで私は断られたんですか?」「・・・。」「私がいつか、いなくなるからですか?」「・・私とて・・。」しかし、話はここで中断した。お初が折り紙を追いかけていて崖を転がってしまったのだ。運ばれてきたお初の腹には、枝がぐっさりと突き刺さっていた・・。
お初を緊急手術して治している最中、仁の手が消えてきてしまう!いや、体が消え始めたのだ。(この子は俺のなんなんだ!?)ついに、仁は自分にまつわる祖先と出合ってしまったのだろうか!?

その頃。龍馬は桂小五郎の肩を掴んでいた。「このまま国に帰るちゅうはどういうことじゃ!?桂さん!」「ここにきて十日。薩摩は盟約に関してはいっこうにきりだしてこぬ。」「長州からはきりだしたかえ?」「長州は賊軍の汚名をきせられ窮地に追い込まれてる。薩摩から手を差し伸べてくれるのなら、すべてを捨ててすがろう。だが!僕から薩摩に助けてくれとすがることはできない!」「そんなこと言ってる場合じゃないろ!?長州、長州ち・・わしは土佐じゃ!!」龍馬は走る。今度は薩摩のみんながいるところへ。「長州が憐れだと思わんがかえ!?」西郷は目をつぶり、あぐらをかいて腕組みをしている。「おいたちは失礼がないようもてなしちょう。いつまでたっても長州がきりだしてこんだけの話じゃ。」黙ってる西郷の代わりに、切れ者である大久保一蔵(利通)が龍馬に返した。「あいつらはおまんらにめっためったにやられた身じゃ。言い出せるわけがないろ!?」「じゃっどん、こちらから頭を下げて盟約を結ぶ義理はなにひとつなか。長州からすがってくっとが、筋ってもんじゃ!」大久保も一歩も譲らない。龍馬は今だ目を閉じている西郷を睨んだ。「腹をみせんがかえ!西郷!」龍馬は泣きながら言ったのだ。その傷は、南方仁が土下座して手術した傷跡ではないのか!?「お願いだからおまんを助けさせてくれち、(南方仁が、手術をしてあげるほうが)土下座をしたがじゃろ!?そのおぬしが、どういて長州の気持ちを汲んでやれんがじゃ!」西郷の目が・・開いた。
・・そして。薩長同盟の盟約はここに結ばれたのだ。確実に世の中の流れは変わる。だが、龍馬はこのあと、寺田屋で、幕府の捕りかた達に襲撃を受けるのだ・・。

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