JIN-仁- 完結編。第四話
南方仁のもとに、坂本龍馬から手紙がきた。龍馬は薩摩に身をよせてから、そこの西郷隆盛と意気投合、ふたりは仲よくなっていた。西郷から、仁に手術してもらった話を聞かされたことも手紙には書いてあった。
仁が手術で西郷の腹を切ることを説明したら、その腹を切るという行為を、薩摩藩士達から反対の怒声を浴びせられた。しかしそれでも、無理やりつれて来られてきて、帰ることもできたはずなのに、それでも仁は、西郷の命を救うために、頭を下げてまで手術を願いでたのだ。龍馬はその話に感動していた。
龍馬は、薩摩にも長州にも顔をだしていて、このいがみ合ったふたつの藩を仲良くさせることを思いついていた。長州の桂小五郎らの友人を救うためには、なんとしても薩摩と仲直りさせるしか道はない。
幕府は行き過ぎた攘夷運動藩・長州を、みせしめのために必ず潰す勢いだ。それを薩摩にやらせることでお互いを潰しあわせる幕府。薩摩も力が増してきていて徳川幕府からみれば危険な存在でもあった、力を削がせる意味合いもあるのだ。だからといって、薩摩はそれに従うしかない。このままでは、優秀な人材がいて熱意もある者同士が、潰しあって力を削がれる。だがもし、熱いこのふたつの藩が、極秘裏に手を結んだら?・・・それは、世の流れが変わる!
旧態依然として弱体化していても、まだまだ巨大な徳川幕府を揺るがすきっかけになる。龍馬も幕府は倒さなければいけないと考えていたから、この企みに奔走することになるのだ。
龍馬は長州藩にいた同藩の脱藩浪士・中岡慎太郎も同じことを考えていたことも幸いし、ふたりは薩摩と長州を結ばせることに駆けずり回った。もっとも龍馬は、幕府の中の変わり者・勝海舟のような人物にであっていたから、どこかに属してなくても自由に動ける基盤みたいなものがあった幸運な人物でもある。彼の才能気風が十分に発揮できる下地は、やはり勝海舟との出会いにあるだろう。
龍馬は同時に薩摩の支援を受けて、いっしょに面倒を見てもらっていた海軍操練所の仲間と共に、長崎に亀山社中という海運業のような商売をするカンパニーを立ち上げた。。船の操船術を戦ではなく商売にも向けるところが武士の発想ではない。やはり生まれが郷士下士であっても、そこそこ裕福な商売屋だった気風もそこにでている。
仁も龍馬に手紙を返信しようと書いていた。仁はあれから和宮の一件の侘びをかねたお礼をもらったこと。徳川の紋所がついたクシと短刀(欲しい・笑)。そのせいもあってか橘恭太郎の差し控えも解かれて、橘家はもとどうりになったこと。
遠心分離機というカラクリを完成させ、それをグリグリ回して血液を分離させ、血液型を判別し、それにより<輸血>という治療法ができるまでになったこと。
ペニシリンを使いやすくするための研究は続けていること。粉末化が成功すれば爆発的に広まることになるだろうこと。
咲に振られたことは手紙に書かなかった仁(笑)
「おまんがわしの護衛になるとはのう。」龍馬は靴を履きながら笑う。長州から護衛の者をつけると、ふたりの若者がきた。ひとりは三吉慎蔵、もうひとりは、龍馬が助けて仁が治療した東修介だった。「しかたないことですから。坂本さんは志士というより商人ですよね。長州のためにと武器を流してくれていますが、実際のところかなり儲かっているという話ですし。」淡々と言う東のその口ぶりと表情は、あきらかに龍馬を軽蔑している。三吉は東の険悪な態度にタジタジだ。。「だが今、長州のために尽力してくれているのは、坂本さんと中岡さんだけです。守らねばしかたないですよね。なにより、僕はあなたに助けられてしまった。」その東の目は密かに殺気だっているようにも見える。だが、龍馬は笑って、東みたいな正直ものは好きじゃ!と抱きつくのだ。。
「じゃが薩摩も長州もそこが肝じゃき。お互いのこと好きじゃないき。けんど情の垣根を越えて手を結ばせるものがひとつだけあるぜよ。」東は龍馬を見た。「そりゃあ、利じゃ。利ちゅうがわ、この場合、倒幕じゃ!」「やはり・・商人の考えですね。」「いや、医者の考えぜよ。」医学館も医学所もない、垣根を越えた医を言っていた仁のことを思う龍馬。「・・南方先生のことですか?」「ほいじゃ、いこうかにゃ。京へ。」
その頃。仁は川越まで咲と護衛を伴って旅をしていた。実は多紀元琰に、患者のこぶを診て欲しいと頼まれたのだ。その患者は川越藩主の妻・恵姫で、実は徳川にとても縁のある血筋なのだ。。最近そういうのが増えてきたね先生。。
その旅で、なんだかんだ仁と旅するのがうれしそうな咲。仁もまんざらではないようだ。。大井宿ではお初という可愛らしい女の子が茶を出してきた。「お客さん。お茶飲んでくんろ。」仁がそのお茶も持ったお初の手に触れると、一瞬電気が走る!「あちかったけ?」不思議そうに仁を見たお初。ニコニコ笑っている。。
そのあと。なんの手違いか咲と同じ部屋に案内されてしまった仁。夫婦だと勘違いされたのだ。だが、咲がそのままでいいと言うので、仁は鼻の下を伸ばしながらも言った。「咲さんが嫌じゃなければ。」
せっかくふたりきりになれたのに、お初がちょくちょく顔をだしてきた。「ねえねえ。咲様は折り紙は得意け?」「えらいお先生はなんも折れんべか?」邪魔すんなよ。。でもかわいいから許す(笑)仁は紙飛行機を作ってお初に見せた。「わ~飛んだぁ。。」宿の通りの賑わいに、紙飛行機が舞う。仁とお初が遊んでいるのを見て、咲は遠くを見つめるように澄んだ笑顔を見せていたのだ。
そして夜。屏風を部屋の中央に置いて仕切り、仁と咲は横になっていた。あの紙飛行機が未来の折り方だと知って咲は言う。「・・この屏風の向こうは百数十年後なのでございますね。」「・・・そうなりますね。」そんな屏風なんてとっちまいな!だが・・ふたりは奥ゆかしいので、このまま眠りにつきました。。
次の日。恵姫は治療を拒んでいた。褒美なら出そう・・ともう帰らせようとする。しかも、側室に子供が生まれた一報が丁度入ってしまった。こぶのせいで旦那は側室を作り、そちらの子供が先に生まれてしまった・・。悲しい目をしながらも気丈に振る舞う恵姫の姿を見て咲は、女子同士で話がしたいと恵姫と話をする。そして・・恵姫は仁の治療を受けることに同意したのだ。
こぶは悪性ではなく手術でとれる。だが、姫は貧血のため場合によっては輸血の必要があった。その血の説明を女だてらに見事にわかりやすく姫に説明する咲。血を混ぜた時の固まり方でA,B,O,ABと種類の型がわかるのですと。見事な勉強ぶりと説明に笑顔で感心する仁。そして、あっけにとらえる姫。「そなたらのすることはなにやら魔術のようじゃ。」
姫は家老や殿、お婆様の血を集めることで家内の結束をかためることに成功し、こぶも仁の見事な腕前で摘出された。輸血する事態にも陥ったが、集めておいた血で輸血も成功。咲の助手ぶりもすばらしいものだった。すべてうまくいったのだ。
仁の医術は川越藩にも認められて、ペニシリンの製造所も作らせてよう殿に頼んでおくと恵姫は言ってくれた。「咲殿。意地を張るとろくなことがない。の?」笑う姫。咲は意味深に頭を下げた。
咲は、姫を説得するときに和宮のお礼のクシを見せた。仁は町医者ながら上様と和宮様からお礼を賜るほどの名医であると。そしてもうひとつ。。自分には好きな人がいたが意地を張ってダメにしてしまったこと。だから、意地を張るとろくなことがない。恵姫には意地をはらずにちゃんとこぶをとって、また藩主様と向き合って欲しいと。
だが。咲自身はまたしても意地を張ってしまうのだ。「私の幸せを勝手におきめにならないでくださいませ!」咲にいい人が現れたら、自分に気にせず結婚してください。と仁なりの思いやりをみせた話だったのだが・・キレちゃった(苦笑)
「・・あの時、結婚は別の人としたいと、咲さん言ったじゃないですか?」「先生にだけはおっしゃって欲しくないのでございます!」「・・・。その、じゃあ、なんで私は断られたんですか?」「・・・。」「私がいつか、いなくなるからですか?」「・・私とて・・。」しかし、話はここで中断した。お初が折り紙を追いかけていて崖を転がってしまったのだ。運ばれてきたお初の腹には、枝がぐっさりと突き刺さっていた・・。
お初を緊急手術して治している最中、仁の手が消えてきてしまう!いや、体が消え始めたのだ。(この子は俺のなんなんだ!?)ついに、仁は自分にまつわる祖先と出合ってしまったのだろうか!?
その頃。龍馬は桂小五郎の肩を掴んでいた。「このまま国に帰るちゅうはどういうことじゃ!?桂さん!」「ここにきて十日。薩摩は盟約に関してはいっこうにきりだしてこぬ。」「長州からはきりだしたかえ?」「長州は賊軍の汚名をきせられ窮地に追い込まれてる。薩摩から手を差し伸べてくれるのなら、すべてを捨ててすがろう。だが!僕から薩摩に助けてくれとすがることはできない!」「そんなこと言ってる場合じゃないろ!?長州、長州ち・・わしは土佐じゃ!!」龍馬は走る。今度は薩摩のみんながいるところへ。「長州が憐れだと思わんがかえ!?」西郷は目をつぶり、あぐらをかいて腕組みをしている。「おいたちは失礼がないようもてなしちょう。いつまでたっても長州がきりだしてこんだけの話じゃ。」黙ってる西郷の代わりに、切れ者である大久保一蔵(利通)が龍馬に返した。「あいつらはおまんらにめっためったにやられた身じゃ。言い出せるわけがないろ!?」「じゃっどん、こちらから頭を下げて盟約を結ぶ義理はなにひとつなか。長州からすがってくっとが、筋ってもんじゃ!」大久保も一歩も譲らない。龍馬は今だ目を閉じている西郷を睨んだ。「腹をみせんがかえ!西郷!」龍馬は泣きながら言ったのだ。その傷は、南方仁が土下座して手術した傷跡ではないのか!?「お願いだからおまんを助けさせてくれち、(南方仁が、手術をしてあげるほうが)土下座をしたがじゃろ!?そのおぬしが、どういて長州の気持ちを汲んでやれんがじゃ!」西郷の目が・・開いた。
・・そして。薩長同盟の盟約はここに結ばれたのだ。確実に世の中の流れは変わる。だが、龍馬はこのあと、寺田屋で、幕府の捕りかた達に襲撃を受けるのだ・・。
仁が手術で西郷の腹を切ることを説明したら、その腹を切るという行為を、薩摩藩士達から反対の怒声を浴びせられた。しかしそれでも、無理やりつれて来られてきて、帰ることもできたはずなのに、それでも仁は、西郷の命を救うために、頭を下げてまで手術を願いでたのだ。龍馬はその話に感動していた。
龍馬は、薩摩にも長州にも顔をだしていて、このいがみ合ったふたつの藩を仲良くさせることを思いついていた。長州の桂小五郎らの友人を救うためには、なんとしても薩摩と仲直りさせるしか道はない。
幕府は行き過ぎた攘夷運動藩・長州を、みせしめのために必ず潰す勢いだ。それを薩摩にやらせることでお互いを潰しあわせる幕府。薩摩も力が増してきていて徳川幕府からみれば危険な存在でもあった、力を削がせる意味合いもあるのだ。だからといって、薩摩はそれに従うしかない。このままでは、優秀な人材がいて熱意もある者同士が、潰しあって力を削がれる。だがもし、熱いこのふたつの藩が、極秘裏に手を結んだら?・・・それは、世の流れが変わる!
旧態依然として弱体化していても、まだまだ巨大な徳川幕府を揺るがすきっかけになる。龍馬も幕府は倒さなければいけないと考えていたから、この企みに奔走することになるのだ。
龍馬は長州藩にいた同藩の脱藩浪士・中岡慎太郎も同じことを考えていたことも幸いし、ふたりは薩摩と長州を結ばせることに駆けずり回った。もっとも龍馬は、幕府の中の変わり者・勝海舟のような人物にであっていたから、どこかに属してなくても自由に動ける基盤みたいなものがあった幸運な人物でもある。彼の才能気風が十分に発揮できる下地は、やはり勝海舟との出会いにあるだろう。
龍馬は同時に薩摩の支援を受けて、いっしょに面倒を見てもらっていた海軍操練所の仲間と共に、長崎に亀山社中という海運業のような商売をするカンパニーを立ち上げた。。船の操船術を戦ではなく商売にも向けるところが武士の発想ではない。やはり生まれが郷士下士であっても、そこそこ裕福な商売屋だった気風もそこにでている。
仁も龍馬に手紙を返信しようと書いていた。仁はあれから和宮の一件の侘びをかねたお礼をもらったこと。徳川の紋所がついたクシと短刀(欲しい・笑)。そのせいもあってか橘恭太郎の差し控えも解かれて、橘家はもとどうりになったこと。
遠心分離機というカラクリを完成させ、それをグリグリ回して血液を分離させ、血液型を判別し、それにより<輸血>という治療法ができるまでになったこと。
ペニシリンを使いやすくするための研究は続けていること。粉末化が成功すれば爆発的に広まることになるだろうこと。
咲に振られたことは手紙に書かなかった仁(笑)
「おまんがわしの護衛になるとはのう。」龍馬は靴を履きながら笑う。長州から護衛の者をつけると、ふたりの若者がきた。ひとりは三吉慎蔵、もうひとりは、龍馬が助けて仁が治療した東修介だった。「しかたないことですから。坂本さんは志士というより商人ですよね。長州のためにと武器を流してくれていますが、実際のところかなり儲かっているという話ですし。」淡々と言う東のその口ぶりと表情は、あきらかに龍馬を軽蔑している。三吉は東の険悪な態度にタジタジだ。。「だが今、長州のために尽力してくれているのは、坂本さんと中岡さんだけです。守らねばしかたないですよね。なにより、僕はあなたに助けられてしまった。」その東の目は密かに殺気だっているようにも見える。だが、龍馬は笑って、東みたいな正直ものは好きじゃ!と抱きつくのだ。。
「じゃが薩摩も長州もそこが肝じゃき。お互いのこと好きじゃないき。けんど情の垣根を越えて手を結ばせるものがひとつだけあるぜよ。」東は龍馬を見た。「そりゃあ、利じゃ。利ちゅうがわ、この場合、倒幕じゃ!」「やはり・・商人の考えですね。」「いや、医者の考えぜよ。」医学館も医学所もない、垣根を越えた医を言っていた仁のことを思う龍馬。「・・南方先生のことですか?」「ほいじゃ、いこうかにゃ。京へ。」
その頃。仁は川越まで咲と護衛を伴って旅をしていた。実は多紀元琰に、患者のこぶを診て欲しいと頼まれたのだ。その患者は川越藩主の妻・恵姫で、実は徳川にとても縁のある血筋なのだ。。最近そういうのが増えてきたね先生。。
その旅で、なんだかんだ仁と旅するのがうれしそうな咲。仁もまんざらではないようだ。。大井宿ではお初という可愛らしい女の子が茶を出してきた。「お客さん。お茶飲んでくんろ。」仁がそのお茶も持ったお初の手に触れると、一瞬電気が走る!「あちかったけ?」不思議そうに仁を見たお初。ニコニコ笑っている。。
そのあと。なんの手違いか咲と同じ部屋に案内されてしまった仁。夫婦だと勘違いされたのだ。だが、咲がそのままでいいと言うので、仁は鼻の下を伸ばしながらも言った。「咲さんが嫌じゃなければ。」
せっかくふたりきりになれたのに、お初がちょくちょく顔をだしてきた。「ねえねえ。咲様は折り紙は得意け?」「えらいお先生はなんも折れんべか?」邪魔すんなよ。。でもかわいいから許す(笑)仁は紙飛行機を作ってお初に見せた。「わ~飛んだぁ。。」宿の通りの賑わいに、紙飛行機が舞う。仁とお初が遊んでいるのを見て、咲は遠くを見つめるように澄んだ笑顔を見せていたのだ。
そして夜。屏風を部屋の中央に置いて仕切り、仁と咲は横になっていた。あの紙飛行機が未来の折り方だと知って咲は言う。「・・この屏風の向こうは百数十年後なのでございますね。」「・・・そうなりますね。」そんな屏風なんてとっちまいな!だが・・ふたりは奥ゆかしいので、このまま眠りにつきました。。
次の日。恵姫は治療を拒んでいた。褒美なら出そう・・ともう帰らせようとする。しかも、側室に子供が生まれた一報が丁度入ってしまった。こぶのせいで旦那は側室を作り、そちらの子供が先に生まれてしまった・・。悲しい目をしながらも気丈に振る舞う恵姫の姿を見て咲は、女子同士で話がしたいと恵姫と話をする。そして・・恵姫は仁の治療を受けることに同意したのだ。
こぶは悪性ではなく手術でとれる。だが、姫は貧血のため場合によっては輸血の必要があった。その血の説明を女だてらに見事にわかりやすく姫に説明する咲。血を混ぜた時の固まり方でA,B,O,ABと種類の型がわかるのですと。見事な勉強ぶりと説明に笑顔で感心する仁。そして、あっけにとらえる姫。「そなたらのすることはなにやら魔術のようじゃ。」
姫は家老や殿、お婆様の血を集めることで家内の結束をかためることに成功し、こぶも仁の見事な腕前で摘出された。輸血する事態にも陥ったが、集めておいた血で輸血も成功。咲の助手ぶりもすばらしいものだった。すべてうまくいったのだ。
仁の医術は川越藩にも認められて、ペニシリンの製造所も作らせてよう殿に頼んでおくと恵姫は言ってくれた。「咲殿。意地を張るとろくなことがない。の?」笑う姫。咲は意味深に頭を下げた。
咲は、姫を説得するときに和宮のお礼のクシを見せた。仁は町医者ながら上様と和宮様からお礼を賜るほどの名医であると。そしてもうひとつ。。自分には好きな人がいたが意地を張ってダメにしてしまったこと。だから、意地を張るとろくなことがない。恵姫には意地をはらずにちゃんとこぶをとって、また藩主様と向き合って欲しいと。
だが。咲自身はまたしても意地を張ってしまうのだ。「私の幸せを勝手におきめにならないでくださいませ!」咲にいい人が現れたら、自分に気にせず結婚してください。と仁なりの思いやりをみせた話だったのだが・・キレちゃった(苦笑)
「・・あの時、結婚は別の人としたいと、咲さん言ったじゃないですか?」「先生にだけはおっしゃって欲しくないのでございます!」「・・・。その、じゃあ、なんで私は断られたんですか?」「・・・。」「私がいつか、いなくなるからですか?」「・・私とて・・。」しかし、話はここで中断した。お初が折り紙を追いかけていて崖を転がってしまったのだ。運ばれてきたお初の腹には、枝がぐっさりと突き刺さっていた・・。
お初を緊急手術して治している最中、仁の手が消えてきてしまう!いや、体が消え始めたのだ。(この子は俺のなんなんだ!?)ついに、仁は自分にまつわる祖先と出合ってしまったのだろうか!?
その頃。龍馬は桂小五郎の肩を掴んでいた。「このまま国に帰るちゅうはどういうことじゃ!?桂さん!」「ここにきて十日。薩摩は盟約に関してはいっこうにきりだしてこぬ。」「長州からはきりだしたかえ?」「長州は賊軍の汚名をきせられ窮地に追い込まれてる。薩摩から手を差し伸べてくれるのなら、すべてを捨ててすがろう。だが!僕から薩摩に助けてくれとすがることはできない!」「そんなこと言ってる場合じゃないろ!?長州、長州ち・・わしは土佐じゃ!!」龍馬は走る。今度は薩摩のみんながいるところへ。「長州が憐れだと思わんがかえ!?」西郷は目をつぶり、あぐらをかいて腕組みをしている。「おいたちは失礼がないようもてなしちょう。いつまでたっても長州がきりだしてこんだけの話じゃ。」黙ってる西郷の代わりに、切れ者である大久保一蔵(利通)が龍馬に返した。「あいつらはおまんらにめっためったにやられた身じゃ。言い出せるわけがないろ!?」「じゃっどん、こちらから頭を下げて盟約を結ぶ義理はなにひとつなか。長州からすがってくっとが、筋ってもんじゃ!」大久保も一歩も譲らない。龍馬は今だ目を閉じている西郷を睨んだ。「腹をみせんがかえ!西郷!」龍馬は泣きながら言ったのだ。その傷は、南方仁が土下座して手術した傷跡ではないのか!?「お願いだからおまんを助けさせてくれち、(南方仁が、手術をしてあげるほうが)土下座をしたがじゃろ!?そのおぬしが、どういて長州の気持ちを汲んでやれんがじゃ!」西郷の目が・・開いた。
・・そして。薩長同盟の盟約はここに結ばれたのだ。確実に世の中の流れは変わる。だが、龍馬はこのあと、寺田屋で、幕府の捕りかた達に襲撃を受けるのだ・・。
この記事へのコメント