「チェイス~国税査察官~」まとめ前編

「チェイス~国税査察官~」まとめ前編
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http://www.nhk.or.jp/dodra/chase/
■一話
<金を増やす一番いい方法・・それは税金を払わないこと>
東京国税局内偵班所属・春馬草輔は今日も執拗に金の流れを追う。内偵班は8階、実施班(ガサ入れ担当)は9階と、査察官はマルサとは今は呼ばないようだ。ともかく、内偵班がつかんだ情報で確実な証拠を掴んだあと、実施班がガサ入れする。春馬はガサにも立ち入るほどの熱血ぶりで、プールに隠してある密封された札束群と金の延べ棒を発見するのだ。さすがにガサ入れにあった男は叫ぶしかない。「おまえら!他に稼いでいる奴らいるだろう!?とりやすいところばかりからとりやがって!」プールから上がり髪をかきあげて春馬は言う。「もちろん、とりにくい所からもとりますよ。」

ヴァージン諸島タックスヘイブンの島に一台のヘリが到着した。ライトキャスト社長・檜山基一。まだ若い端正な青年だ。その檜山を出迎えたのは村雲修次。一機の航空機から降りてくるその姿は中性的な美形の男だった。裏の名前で<カリブの手品師>と呼ばれる脱税のプロフェッショナル。檜山は村雲に脱税を頼むのだ。
「親父の資産は6000億なんだけど、今親父が死んだら俺が国に払う相続税はいくらになる?3000億だよ!?黙って3000億よこせっていうんだよあの国は!?あんた親父の資産6000億消せるか?もちろん非合法でかまわない・・。」村雲はすました顔で檜山に返した。「檜山社長。税金を払わないのは犯罪でしょうか?税金がかからない国で税金を払わないのは・・。」「それは犯罪とはいえないな!」檜山の目の色が変わる。

タックスヘイブンで航空機を購入(40億)しそれを航空会社にリースする。それは10年かけて原価償却するレバレッジドリースという合法的な節税方法。だが、「ひとつ注意点があります。リース先である東アジア航空には経営に難があります。いつ事故を起こしてもおかしくない状況ですので、乗客としてこの飛行機に乗らないほうがよいかと思います。」感情のない顔を向けていたが、フッと笑う村雲。それに釣られて檜山も笑う。だが、村雲はまた冷めた顔に戻っていたのだ・・。

後日。檜山は日本に戻ってから村雲を試すため、別会社の社長を紹介した。彼の会社の脱税を成功させたら本格的に自分の脱税を頼むつもりなのだろう。もちろん、村雲は成功させる算段があった。

春馬達は、はからずもその会社をマークしていたのだ。だが途中からその足どりが追えなくなる。国外で金を動かされたら調査できない、しかも場所はヴァージン諸島・・税金のない場所タックスヘイブン。そこの新会社と20億のやりとりがあった所まではつきとめられたのだが・・結局、その新会社の代表者は死亡、会社も清算積み、すべての金の行き先は不明となってしまう。「敵ながら見事じゃないですか!芸術的ですよ!20億もの金消してしまうんだから!」同僚・窪田鉄雄はくやしそうに言う。「芸術!?これは手品じゃねえんだよ!」思わず窪田にあたってしまう春馬・・。

春馬は仕事に追われ、いや、自分がのめり込んでしまうのだろう。そのことで妻にどれだけさびしい思いをさせてきたのか娘に指摘された春馬。いっしょに旅行に行こうと妻を誘うが・・解決できなかったことで資料を読み漁ることに。結局その旅行を断る春馬。妻はやさしく微笑むが、さびしそうに自分だけでいくと笑った。

TVでニュースが流れていた。航空機が墜落したのだ。その炎上する姿をTV画面で見て、残酷な笑みを浮かべる村雲。「この世界では誰かにとっての絶望の火が、誰かにとって希望の火になることもある。これは・・俺の希望の火だ。」
タックスヘイブンの新会社の代表者は、村雲の友人でガン患者だった、余命半年の・・。そして、この航空機事故により10年かけて取り戻せるはずの40億が、保険ですぐに檜山の元へと支払われる。すべては村雲の思惑どうり。事故が起きることもわかっていたのだろうか・・その航空機には春馬の妻も乗っていたのだ・・。
春馬と村雲の宿命は始まった。


■二話
そこは合同慰霊祭だった。春馬草輔とその娘がそこに参列している。飛行機墜落で命を落とした妻、そして母親だった写真の顔は満面の笑顔だ。壇上には他の犠牲者の写真も並べられていた。春馬は花を壇上に添えて手を合わせる。振り返ると、学生服姿で参列していた高1の娘・鈴子は涙も枯れたような蒼白な顔で思わず花を落としていた。まだ母親の死が受け入れられないのだろう・・。その花をそっと拾って手渡すひとりの男。やさしそうな笑顔を見せるが、連れの女と参列を終えると歩きながらこう言っていた。「こんなところに来てなんの意味がある。」「彼らは私と同じよ。脱税に利用された遺族。」このふたりは村雲修次と川島歌織。歌織は川島圭介(余命半年だった村雲の友人)の妻だった女だ。だが、村雲とは昔恋愛関係にあり、川島が死んで再びふたりは行動を共にする。「俺が事故を起こしたわけじゃない。」「・・恨んでないわ。興奮しているの。またあの緊張感の中に戻れる。」それを聞いて村雲は不敵に笑った。

Zaiccレンタカー代表:財津がシンガポールの未公開株売買で得た利益20億円中の18億円、それを無税で日本国内に持ち込むための相談を引き続き村雲に頼んでいた。村雲は香港の地下銀行経由で国内に送金する手段を使おうとする。外国人労働者が秘密裏に作った銀行、日本の銀行は手数料がかかりすぎるのだ。地下なら身分証明書も必要ない。だが、地下銀行の営業担当・ガンタレは今18億円の金を用意するのは難しいと笑う。「手数料の吊り上げに付き合う気はない。」村雲の表情は一瞬にして冷めていた。「違う、違う。18億用意する必要ない。成田から持ち込めばいいよ。」中国人らしく、たどたどしい日本語で説明するガンタレ。しかし、それができればなんの苦労もないのだ。だが、ガンタレの策は見事だった。<外国製品持出届>あらかじめ申告して持ち出した物には帰国の際に課税されない。だから、18億分の貴金属を申告すればマークされず持ち帰れる。行きは偽者で飾り、帰りは本物を18億分身につけて帰ってくればいいわけだ。。

その頃。春馬は国税局内偵班として第一線での職務から外れていた。娘のことを想いできるだけ家にいれるようにと自分から望んだのだ。鈴子からは恨まれているようだった。当然だ、自分が妻を殺したようなものだ。いままで散々傍にいることもできず、だからとってつけたように旅行に誘った。そしてその旅行に自分は仕事だからと行かず、妻だけひとりさびしく出発し帰らぬ人となったのだ・・。
それでも、鈴子には気持ちを話す春馬。(自分を恨んでくれてかまわない、だけどもう少し、鈴子が自立するまで父親でいさせてくれ・・。)父親の必死の懇願に、娘は無言でうなずいていた。

村雲達は香港に来ていた。そこの雑多な飯屋で、ガンタレと村雲、歌織は食事をしている。飯屋の従業員をわざと足を出して転ばすガンタレ。それを見て村雲は言う。「ゴミ箱に捨てられた今の料理は、さっきの子供達が食べるんだろ?」都会な一面を見せる反面、その裏では貧しい人間達もいる、どこの国にもある事情だ。
ガンタレは貧しい農家の生まれだった。自分は家で一番頭がよかったから病気になれば薬を飲ませてくれたり、色々親が面倒みてくれた。しかし。姉が、そして妹が、そのつどいなくなっていた・・。「だから僕、頭使う。お姉ちゃんの分妹さんの分、頭使う。あなたもゴミ箱のご飯、食べたことある人だよ?」最後には村雲にそう聞いていた。「・・ガンタレ。おまえが持ってるパスポートは本物か?余計なリスクは背負いたくない。」その村雲の目は冷たく光っていた・・。

群雲、歌織、ジョニーウォン(村雲の片腕)、財津、ガンタレの5人は、いよいよ東京に戻るため、18億円分の本物の貴金属を購入し香港の空港に現れた。が、ガンタレがパスポートの件で引っかかる。無理やり税関を通ろうとするガンタレは取り押さえられた。驚愕して目を見開いている歌織に、「振り返るな。」村雲は一同を早足に促す。下手を打った人間のことを、心配などしている暇はないのだ・・。

同時刻。日本では、どこかの会社にガサ入れが入っていた。春馬が内偵していた会社だった。そこの帳簿から偶然、Zaiccレンタカー社長・財津名義で貴金属の購入記録があった。すべて偽者だが、これがもし本物なら約20億円相当になる額だという・・。春馬はピンと閃いた。(財津は今日香港から帰国するはずだ!)

日本の空港についた村雲達4人。だが、村雲は空港の微妙な空気に気づいた。「待て!」村雲はこのままでは税関に引っかかると予感し、作戦を変更した。貴金属は土産として一か八か見つからないことを願い、袋に入れて税関を通ることにする。「この後に及んで賭け!?」財津はうろたえるが、村雲は自分とウォンが貴金属が入った袋を持つと財津と歌織には本物の土産袋を持たせた。
だが、実は本物を持ったのは歌織。「検査官が見ているのは顔だ。相手の緊張や動揺を見て判断する。」村雲の言葉に、「私をだましたのね?もし失敗したらガンタレみたいに私をきるつもりだったんでしょ?」「・・・」村雲は笑う。しかし、これでうまくいったと思われた。だが、財津は最初の計画を捨てられなかった。そして財津は引っかかる・・。
その時。空港に着いた春馬と窪田鉄雄が、村雲の脇をものすごい勢いで駆け足で通り過ぎていった。思わず春馬の姿に、目を見開いて見つめてしまう村雲。「あの男・・どこかで?」

財津が身に着けていた貴金属は8億円相当だった。「・・半分以下ですね。」窪田がうめく。春馬もいぶかしめるがこれで、Zaiccレンタカーにガサを入れる要素ができたのだ。しかし春馬にとってその代償は大きい。鈴子と学校の面談の約束を破ることになってしまったのだ・・。娘の信用はもう、そう簡単には取り戻せないだろう。

財津はいずれ入るであろうガサ入れに途方に暮れていた。「俺はもう終わりだ・・。」散々村雲に悪態をつく財津だが、そこへライトキャスト社長・檜山基一が現れた。自分の会社に利益がでたから倒産する会社が欲しいと笑う。何かの隠れ蓑に使いたいのだろう、財津にはそれ相当の報酬は与えると言い、条件としてガサが入っても村雲の名前は出さないように頼んだ。檜山はすでに絶大な信用を村雲によせていたのだ。

「チーフ。やはり社長単独による脱税なんでしょう。」窪田の言葉に春馬は無言。ついにZaiccレンタカーにガサが入った。証拠もでてきた。だが・・なにか腑に落ちない。「いや違う。未公開株の利益20億はシンガポールに隠された。そこまでの絵はわかる。あの社長にも描ける。しかしそのあとの絵が違う。」やりとりがあったタックスヘイブンの新会社社長・川島圭介が死んで20億の行方がわからなくなった・・初めから死ぬことがわかっていて社長に据えたのだその会社に。<そんな絵は財津には描けない>

村雲は檜山の相続税6000億をスキームする恐るべき方法を考えだしていた。それは悪魔の技なのかもしれない・・。「・・いいわよ。彼と結婚する。だけど結婚してもあなたに会いに来るわ。あなたに抱かれにくるわ・・。」歌織は妖艶に笑った・・。歌織もすでに悪魔の業を背負い始めている・・。<始めから相続税のない国に生まれればいい。その国籍ならば遺産相続に税はかからないのだ。歌織は檜山と結婚をする。その間にできた子供になら・・。>脱税の目的で命を作る・・それは悪魔の技であってなんであろう・・。

そして春馬はつきとめていた。妻が死んだ飛行機事故は・・起きるべくして起きた可能性があるということを。涙を枯らす春馬・・。人殺しより恐ろしいもの、それは人殺しに復讐するもの・・。春馬と村雲、ふたりの出会いは確実に近づいてる。


■三話
春馬草輔は病院へ駆けつけていた。知らない間に夜、家を外出していた娘・鈴子が事故に巻き込まれたからだ。事故といっても鈴子を避けようとした車の方が破損し、運転していた男が軽い脳震盪を起こしたくらいで、鈴子自身は無傷だったという。どうやら相手の運転手も保険ですべて処理してくれるらしい。とりあえず胸を撫で下ろす春馬だったが、鈴子は終始険しい顔つきで春馬の心配顔など受け付けない。父親のことを心底軽蔑しているのだ・・。
相手の男が廊下に姿を現した。春馬は男に頭を下げるが、鈴子は会うのは初めてじゃないと言った。「慰霊祭の時にお会いしました。」鈴子はあの時、花を拾ってくれた男の顔を憶えていたのだろう。ハッとする春馬。「じゃあ・・あなたも?」「ええ。遺族です、あの事故で弟を亡くしました。」この出会いは偶然なのか?それとも仕組まれた罠か・・。こういう形でふたりの男は顔を合わせる。春馬は相手の男・村雲修次が自分の妻を間接的に死に追いやった男だと気づかず、村雲は春馬が国税査察の人間だと知って内心ほくそ笑んでいた。だが、自分のスキームを徹底的に追い続けているほど執念深い男だとはまだ気づいていない・・。

春馬は現役大臣の脱税を追っていた。大臣が相手とあって国税局の内偵にも慎重さが走る。あまり触れたくないというのが組織としての本音、空気なのだ。だが、もちろん春馬にはそんなことは関係ない<査察が叩く悪に聖域を作ってはならない、巨悪に屈したらその使命を失う>自分の尊敬していた先輩・井坂の言葉を信念にしている春馬には、相手が大臣だろうが容赦する必要などないのだ。
だが、今回の件でひとつ重大な厄介事が発生している。それは・・その現役大臣の税務コンサルタントが、退官した後の井坂その人だったのだ。自分達の先輩で凄腕査察官だった人間が自分達の敵として立ち塞がっているということになる・・。

井坂は実はその現役大臣の脱税をずっと追いかけていた。だが、ようやく追い詰める所まで行き着いたところで圧力がかかり、上からストップをかけられる。そして今は退官し、追い詰めていたはずの大臣の税務コンサルタントをしているのだ。この矛盾は春馬には理解できなかった。
絵画取引を隠れ蓑にして、企業から金をもらっている・・そう井坂は睨んでずっと追っていた内偵だった。そして今、その大臣所有の土地である山奥から偶然3億もの大金が土の中から発見される。これは脱税の隠しなのだろう。たまに聞く大金の入ったバックなどは、脱税するための証拠隠滅による余波なのかも知れない。。ともかく、それがきっかけで再び大臣への内偵が始まった。春馬は井坂に会うことにする。

井坂に促された執務室に入るなり、春馬はその目を巧みに走らせていた。状況と空間を探る。あちこちに飾られた額、置物、そして机にはペンなどに混じってコンパス。井坂はかつての後輩が来てくれたことに笑みを浮かべるが、紺野大臣にやましいことなどないと呻き、もちろん発見された三億円も関係ないと笑った・・。

大内運送がNYオークションで購入した絵画は5億。その絵は転売され本来一億にも満たない価値しかないことが判明された。その絵画を売った画商・海江田貴俊のもうけ3億~4億がもし紺野大臣の裏金工作に利用されているとしたら・・。
同僚・窪田鉄雄の調べで、海江田は申告してないことが判明。しかも居住先が日本だけに留まらず海外にも転々としていて、「そもそもどこに居住地があるのかまったく・・」「海江田貴俊はPT、パーマネント・トラベラーだ。」春馬は呻く。<永遠の旅行者。ひとつの国に留まらずに納税の義務が発生する前に次々と国を移動し続けるスキーム>

村雲はライトキャスト社長・檜山基一と今や仕事関係としてではなく、友人として接していた。家に招かれて食事もするほどに。そう、村雲は川島歌織と檜山を結婚させて結ばせた。檜山は出会った時から歌織には惹かれていたらしい。だから3000億の脱税スキームを思案してくれる頼りになる存在で、しかも縁結びをしてくれた村雲は檜山にとってもう友人以上親友なのかもしれない。だが、村雲と歌織には秘密があった。ふたりは3000億の脱税を見事果たすためにこの結婚を仕組んだこと・・そしてふたりの関係は今も続いていること・・。
歌織も川島圭介と結婚していた時は心底川島を愛し、川島が癌で死ぬ寸前までいっしょにより添っていた。だが、村雲が現れて再び昔の本性が目覚めてしまったのだろう。今はもう引き返せない道に踏み込もうとしていたのだ・・。

「僕の資産はお国に差し上げます。ドブに捨てたと思って税金払いますわ・・。」檜山正道(檜山基一の父親)はぼそぼそと言った。団欒中である。彼は巨大マーケットと富を築いた巨人だが、その姿だけはただの老人であった。「払わずにすむ方法があるとしてもですか?いくつかの租税回避スキームを組み合わせることで・・。」村雲の言葉に檜山と歌織も無言で正道の様子を伺う。正道はしばらく口を空けて村雲を見ていたが、ひとつの質問をした。「村雲はん。あんさんお金好きでっか?じゃあこう聞きましょか?お金は綺麗なものでっか?汚いものでっか?」「・・触ると手が汚れるものだと思います。」「そりゃ・・。」笑う正道。「お金入って汚れはる人もおるし、手を汚してお金入る人もいやはる・・。」「息子さんの手は汚しません。私が汚します。」「ほう。おもろいこと言いますな。それは・・蛇の道や。人にあらずの蛇の通る道や。なぜに好んでその道を通りなはる?」「はじめからこの道しかありませんでした。」「ほほう・・。怖い人やな・・。」歌織はそのやり取りをする村雲をじっと見つめている。歌織は気づいていのだろうか?村雲の正道を見る表情は、時折だが意味深に光っていたことに。

春馬と窪田は海江田の自宅近辺を監視していた、もはや刑事である。。パートにでかける妻、学校帰りの小学生の息子。海江田本人の姿はまったく気配すらない。海江田の尻尾さえつかめれば、井坂のあみだしたスキームをくずせるかもしれないのだ。だが・・やはりPTとして海外を転々としてしまっているのか?春馬は娘がいる自分と比較し、1~6歳までのかわいい時期の息子の顔も見ずに海外を転々とし続けることなんて、親心としてできるわけがないと腑に落ちなかった。

腑に落ちないことはまだたくさんあった。Zaiccレンタカー社長・財津もスキームを考え出した人間の名前は最後まで明かさなかった。その財津の後ろにいる人間が飛行機事故を導きだした男なのでは?と考えていた春馬。財津は檜山からリースに使った飛行機の写真をもらっていたのだ。その写真の尾翼の模様が事故現場映像の尾翼と同じだった・・。春馬は確信していた。だが・・その人物までたどり着けないジレンマに落ちている。そして、査察部長次長・品田は、今回の内偵・紺野大臣絡みに対しては弱腰・・紺野自らを内偵調査することには反対しているのだ。もちろん、しくじればクビが飛ぶからだろう・・。
苛立ちの中。遺族同士ということで村雲と意気投合して飲んでいた春馬。まさか目の前の男が偽名で、弟が死んだというのも嘘で、春馬が査察官だということで有益な情報を得られるかもしれないと近づいていることさえ疑っていない・・。だが、春馬は村雲に好感を持っていたのだ。(左手が義手だったあの男もきっと色々苦労してきたんだろう・・)

統括官・新谷に呼び出された春馬。新谷は、熱血しすぎる春馬のよき理解者だ。いらついている春馬に真実を教える。隠れて紺野の調査資料を読み漁っているのは品田本人なんだと。
「おまえ・・びんさん(井坂)の息子がどこに就職したか知ってるか?・・大内運送だよ。甘っちょろいこと言ってると、あの人には勝てませんよ。査察の叩く悪に聖域はない。それが大臣だろうが査察のOBだろうがな。」品田は資料の山からするどい目を光らせ、春馬にハッパをかけた。

同僚のデスクにあったコンパス。それは何に使うのか?と春馬が聞くと、釣りで海図を見る時に使うリバイダーだと答えた。!?春馬は閃いていた。井坂は船舶の免許を持っていた、そして紺野所有のクルーザーは立派なものだった!窪田は春馬に事の仮説を聞き、そのクルーザーが止まっている港で叫んでいた。。「密入国かよ!?」海外にいた海江田を、知らない間に日本に連れてくることもできたわけだ。

海江田宅の玄関に故障中という紙を張っておく。母親はパートに出て家には誰もいないはずだ。息子は帰ってくるとビラを見て思わず呼び鈴を押す。しばらくすると玄関のドアが開いた!海江田本人はやはり日本にいたのだ!海江田の画廊はすでに経営難で、PTという偽装をおこなうため、家から一歩も出ないことを条件に報酬を得ていたのだろう。

これにより井坂の事務所にガサが入る。呆けた顔をするしかない井坂。まさか自分が負けるとは思っていなかったのかもしれない。「・・あなたは私達査察官の誇りだった。あなたのしたことはあなたの40年間を否定することだ。俺は知りたいんです!」春馬の言葉に薄く笑う井坂。「・・おまえ知らされてないのか?」井坂がTVをつけると映像は、紺野大臣が逮捕されたことを報道していた。「おまえら・・検察に抜かれたんだよ。」呆然とする春馬。「この案件は・・昔俺が命を賭けて追ってた案件だ・・。それを結局おまえらは逃した。・・それが答えだ。俺がこうなった答えだよ・・。」深い溜息をついて井坂は椅子にもたれる。「こんなもんだ・・。脱税するくらいが丁度、人間なんだよ・・。」自嘲気味の笑いは、しばらく春馬も打ちのめしていた・・。
品田は掴んだ証拠を検察に、いやおうなしに渡さなければならなったのか、もしものことを考えて自ら検察に情報を渡したのか・・?それともそのどちらもなのか?新谷も、査察は検察の下請けなのか?と品田に詰め寄る。「甘いものが食べたいねえ・・。」品田の顔はいつも以上に疲労困憊だった・・。

ぶつけようもない、やるせいない気持ちで、思わず村雲に電話してしまう春馬。「・・最近、人の心みたいなものが壊れていってるような気がするんだ。」(何かが違っている何かが・・。)「春馬さん。この世界はもうあなたの知っている世界じゃないんだ。人の悪意は報われなかった善意や正義感の裏側に、おんなじように根を張るんだ。・・春馬さん、あなた、奥さんを失って娘さんを見失って・・本当はあなた、こんな世界、滅びてしまえばいいと思っているのではありませんか?もう我慢するのはやめましょう。あなたにはこの世界を憎む権利がある。」「!?・・」電話が終わったあと、ひどく動揺をかくしきれない春馬。(自分はそんなつもりで・・世界を憎んでいる!?自分はそんなつもりで!)
そしてまだ春馬は知らなかった、娘・鈴子が独自で村雲に接触していることに・・。

自分が妊娠したことを知り顔を洗う。思わず鏡に映る自分の姿を覗き込んでしまう歌織。(私脱税のために子供を産もうとしている・・修次。この道の先にはなにがあるの・・?)

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