JIN -仁-#9

#9
仁は写真を見て驚愕していた。自分と未来が写っているはずの写真、だが!未来の姿が消えかかっているではないか!?(これは・・なにが原因なのか??)仁はわからない。仁友堂では、医師達の面々が新たな手術道具を作成してくれたり、咲が常に助手として傍らにいて支えてくれている。確実にこの幕末で医術の進歩の針は進んでいた。今まで医術の針を進めることが、未来の命を救うことだと思っていた。だが・・未来(現代)の未来が消えかかっているのはこのせいなのだろうか・・?事あるごとに写真を眺めている仁の後ろ姿を、咲は見つめていた。
町で仁と恭太郎、咲の3人が茶菓子屋でお茶をしていた。新しい医術道具を掴み、ものめずらしそうに仁に質問する恭太郎。だが、仁はやはり上の空だ。・・呼吸が止まってしまった人に、一時的に空気を送り込んで、呼吸を助ける道具です。と説明する仁。火事場とかで使うと言ったとたん、「そんなおもちゃでなにができるっていうんだよ。」となりでお茶していた気風のよさそうな中年が渋い顔で言ってきた。周りには若い衆が取り巻いている。傍からみれば、大工の棟梁か、はたまたヤクザか。。「おもちゃにみえるかもしれませんが、おもちゃじゃないんです。」仁は穏やかに説明しようとした。「おまえ医者か?火事場にきたことあるのか?」「・・いえ。」「ほらみろ。人助けとか言って偉そうなこと抜かしやがるが、俺は火事場で人助けしてる医者なんて見たことねえぜ。千両箱担いで、仏さん踏んづけていく医者なら腐るほど見たけどな。」「・・そういう人もいるかも知れませんが・・」「江戸を火事から救ってきたのは火消しの度胸と心意気だ!医者なんて奴らにはそんなものねえって言ってんだよ!」「・・・」仁は意外と頑固者である。。こんなこと言われて、引き下がれないし聞き流せない性質なのだ。立ち上がってその中年に言っていた。「流行病から江戸を救ったのは、医者の度胸と志だと思います!」言っちゃったから、仁は火事が起きたら必ず来い!と因縁をつけられてしまったのだ。。「逃げんなよ。」そう言って笑って去っていったのは新門辰五郎。を組の辰五郎。泣く子も黙る辰五郎親分たあ奴の事。。火消しだが喧嘩仲裁、一橋慶喜とも翻意で、上洛時には警護を任せられるなど、配下3000人を引き連れた大親分なのだ。こんな約束しなければねえ・・。。
帰ってくると、橘栄の笑い声が玄関まで漏れてきていた。気難しい栄がここまで気を許すなんて、どこの誰が来ているのか?と思えば坂本龍馬だった。この間、暗殺されないで欲しい!と強く願って心配してみたが・・どうやらそんな雰囲気は微塵も感じられない。仁に用があるようで、ふたりきりになると興奮して話かけてきた。どうやらペニシリンを売りたいらしい。「あれから考えたがじゃ!薬とその使い方を説明して、この国とゆくゆくは海の外にも売れば、仁友堂も潤うだろし、その仲立ちをすれば海軍塾も潤う。一石二鳥だとは思わんかえ!」「・・そうかもしれませんが、龍馬さん、近いです・・。」龍馬は興奮しすぎて仁の鼻面に自分の顔を寄せすぎていた。。しかし史実、坂本龍馬は海軍塾廃止以降、薩摩に身を寄せた際に資金援助を受け、亀山社中という貿易結社を作り、のちに海援隊となる日本初めての株式会社を設立することになる。幕府との海戦では実際に長州側に参加し、海戦を勝利で収めた。幕末最大の課題、薩摩と長州の同盟がうまくいった要因としても、彼らの貿易行動がその仲立ちになった功績は大きい。仲の悪かった薩摩と長州が同盟したことにより、対幕府の力がまとまったといってよいだろう。龍馬の考え方では、対抗勢力を作り、未曾有の戦争を防いで革命を成功させようとする思惑があったのかも知れないが・・史実は戊辰戦争という激しい内乱を呼ぶことになる。革命する側としては、倒したはずの勢力が大きな力も持ったまま存続するなんてことはあってはならないのだ・・。龍馬は戊辰戦争を知らずに暗殺されてしまうのが史実だが、それは龍馬にとって見たくないものを見る前に死ねたと解釈すれば、一番いい時に最後を迎えられたということになるのかもしれない・・。
「金ばかりじゃのうて、戦わずしてこの日ノ本をひとつにすることもできるがじゃ!」志士達は密談を遊郭で行うことが多いため、そう毒にかかった連中も多い。どうせそう毒で死ぬのなら斬り死と考えている志士にペニシリンの価値を教えれば無謀な考えを捨てさせ、過激な行動も抑えられるという寸法だ。史実は、たしかに攘夷・倒幕派の志士達は過激な行動に走るもの達も多く、優秀な幕府の人間がたくさん斬られた。そういうことが抑えられれば、開国派と攘夷派は歩み寄ることがたしかにできるかもしれないが・・。「そんなことしたら歴史が・・。」「あ?歴史がなんじゃ?」そこへ咲が手紙を持って入ってきた。野風からの手紙らしい。仁にひとりで来て欲しい旨が線の細い綺麗な字で綴られていた。「・・いってらっしゃいませ。」咲は笑顔で仁を送りだした。野風の気持ちを察しているのかその笑顔は、どこか儚げだ。仁は吉原の鈴屋に向かう。が、なぜか龍馬もいっしょに同行することになってしまった。。仁ひとりでって言ってたのに~(泣)
鈴屋に着いて案内された部屋、そこは豪華絢爛!遊郭達と芸者、豪華な料理!まさに仁をもてなすための一夜の華。野風は、この前の50両を使ってこの催しをこしらえたらしい。それは自分自身のためであったのだ。「お会いしても医術のことばかり。一度くらいは他の話も、してみとうありんした。」野風はすまして仁に言う。仁は慌ててしまうが、龍馬はすでに部屋に入って酒を飲み始めていた。。となりで居心地悪そうにしている仁を、そっと眺める野風。龍馬は三味線の音に合わせて大騒ぎしていたが、野風の薬入りの酌で眠ってしまって退場。。仁はお手洗いと称し席を外した。南方大明神のお札を握り締めながら、「・・一度だけでありんす。咲様、お許しを。」野風は心に決めた。
仁が戻ってくるとさっきの宴会はすでになく、別の部屋へと案内された。襖を開けて仁の目に飛び込んできたのは、真っ赤な寝床と鏡の前に座っている野風だった。「・・そこはお寒むうござんしょ。どんぞ・・。」その声で寝床の端に座り、「・・今日はご馳走様でした。もう遅いのでそろそろ・・。」と仁は笑顔でこの場を逃れようとする。「この嘘つきと思われておりんすか?けんど、先生も嘘つきでありんしょう?この世の人ではないのに、この世の人のふりをしておられんす・・。」「どうして・・。」「なんとなくでありんす。先生はどこかあちきと似ているような気がしていたんした。ここは・・すべてを嘘で塗り固められた城でありんすゆえ。」野風の横顔は寂しげだった。「先生はいずれ咲様とごいっしょになるおつもりで?」「いやあ。そんなこと言ったら咲さんに怒られますよ。私は咲さんの父親みたいな年だし。そもそもなんとも想われて・・。」「では。心に決めたお方でも?それは・・どのようなお方でありんすか?少しだけ・・お聞かせくださいなんし。」野風の目は力強くも潤んでいる。仁は感じていた。未来と野風・・ふたりは姿だけじゃなく心根までそっくりだということを。(強気なところ、頭がいいところ・・弱いところをみせないけど、そこまで強くなくて・・)「その方の名はなんと。今宵は、あちきをそう呼んでおくんなんし・・。」野風の手は仁の頬に触れ、その顔は仁の目の前にあった。「それなら・・不実にはなりんせん。」野風はソッと仁にくちづけをした。「仁先生・・。」もはやその声は涙で震えている。仁は思わず、野風を抱きしめていた・・。
仁の手が野風の胸元に触れる。「脈が・・速いです。」その仁の手を掴んで、「どんな嘘つきでもこれだけは嘘はつけんせん。この音があちきの真でありんす。」野風は言って目を閉じた。その頃。咲は眠れぬ夜を過ごしていたのだ。医術道具を熱心に点検している。そんな妹を心配し恭太郎が声をかける。「先生は場の雰囲気に流される方ではないと思うが。」「・・流されるのでありません。元いた所に、戻っていかれるのです・・。」
横になった野風の上に体をあわせる仁。<!!>野風の枕元に写真がいつのまにか落ちていた。その写真の未来の姿は、消えかかっていたのではなく、また本来の姿になっていたのだ!「これは・・!?」仁は野風から飛びのいてしまったので、野風はびっくりしている。。しかも火事を知らせる鐘の音がどこからか聞こえてきた。仁は涙目で土下座していた。「野風さん。すいません!帰ります!」「!あちきが!汚れた体でありんすからか!?」仁は必死になって火事場の手当てをする約束をしてしまった。と説明した。そうだ、たしかにそうなんだけど・・。野風のここまでの気持ちをそでにしちゃうか仁!(泣)「・・せんないことでありんすな。それが南方先生でありんすから。どんぞ。」襖を開ける野風。走り去る仁のあとに残された野風の表情は、どこか呆けて悲しそうだった・・。据膳食わぬは男の恥という考えもありますが・・大切だからこそ簡単に食えないという男心もありんす。という解釈で納得したいね・・。
火事場での治療は大変なものだった。だが、咲、山田純庵、佐分利裕輔ら仁友堂の面々の活躍と手際はすばらしい。新門辰五郎も仁達の心意気を認めた。本道・医学館の福田玄考も漢方で直せるものは自分で。と助太刀に来ていた。仁の治療場まで火の手が迫る。だが、仁達はその場を離れない。すべてが終わり、その建物から出ると、その建物以外周りすべてが燃えてしまって灰になっていた。辰五郎達火消しが、火の手の中のその場所だけ死守していたのだ。「火は消したぜ。そっちはどうでい?」「助けられました。」「医者の心意気ってのはたいしたもんだ!俺は根っからの火消しだが、あんたは根っからの医者だな!」真っ黒な顔で満面の笑顔を見せる辰五郎。辰五郎は昔、火を消すため建物を壊す際に、逃げ遅れた惚れた女性を死なせてしまったという。知らない顔の人間を何人助けようと惚れた女を殺してしまった・・「だから俺は死ぬまで火消しを続けなきゃならねえんだよ。」新門辰五郎。この男も自分なりの過去と向き合い、そして今を、精一杯生きている人間なのだ。
野風は起きてきた龍馬に話していた。「・・よいところまではもちこめんしたが、火事に負けんした・・。」「けんど・・どういて色仕掛けんなぞ?」「先生と咲様の間には医術がありんす。あちきも何か、絆が欲しかったでありんすよ・・さすれば心おきなくいけると思いましてな。」「いける?」「あちきは・・身請けされんす。聞こえはいいけんど、今度はお屋敷の中の籠の鳥になるだけのこと。」だから今までのように、仁にも会えなくなるのだ。しかも女郎は身請けの話を断ることはできない・・。龍馬は野風の心中を察して、叫んでいた。「泣きたい時は泣けばいいがじゃ!」「遊女の涙は嘘の華。色恋に涙なぞ流しては花魁の名がすたりんす!」龍馬はそんな野風を抱きしめていた。「こうすれば・・顔みえん。」「・・雪になりとうありんす。雪になれば・・いつなんどきでも先生の肩に、落ちていけるでありんしょう・・。」野風の肩と声は震えていたのだ・・。

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ペコ
2009年12月11日 13:00
今回は、野風が切なかったですね
中谷美紀ほんと綺麗~

いや~。
中谷美紀も、健気でピュアで真っ直ぐな綾瀬はるかも、二人とも魅力的すぎて仁は困りますね(笑)
嬉しい悲鳴。

やっぱり野風は、未来の先祖なんでしょうかね…?
ヤスキ
2009年12月11日 20:40
>ペコさんへ
こんばんんわ。そうですね、中谷美紀、すごく野風役にはまってますよね。綺麗で色っぽいです。。
綾瀬はるかの、咲もいい子ですよね。正直困りますよ~(笑)この両天秤状態は。でも、当の本人はまったく気がついてないっていうね(笑)
野風は未来の先祖なんでしょうね。仁との縁が切れてしまうと現代の未来が消えちゃうってことは、野風の病気を治してあげないとやばいのか?それとも仁と結ばれないと未来は消えちゃうのか??って感じなんですかね。
今回の野風がよすぎて、辰五郎親分なんかどうでもいいよって感じでした(笑)おまえのせいで袖にしちまったじゃねえか!って激怒ですよ。「火消したぜ」って言ったて、ほぼ燃え尽きてますからね町・・。
ペコ
2009年12月14日 13:19
確かに!!(笑)
うん?火を消した? ってか、町がない!?
ビックリもビックリですよ(笑)

この時代に生まれなくて良かった~。
って思いました

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