「魔王」後編

「魔王」後編
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#7
また俺のせいで犠牲者が・・!!直人は池畑の死に驚愕する。そして池畑の懐から雨野真実からの赤い封筒を見つけた。やはり今回も裏で手を引いていたのは雨野真実!直人は父親、栄作の元へ向かった。「池畑が死にました。これが父さんの望んだ結果ですか?取引すると呼び出して、大隈に襲わせたんじゃないんですか!?・・父さんには捜査が及ぶかも知れません・・。」立ち去ろうとする直人を呼び止める栄作、「私を逮捕するつもりかね!?」その言葉に返事を返さず直人は出て行ってしまった・・。
「大隈って、あの大隈ですか?本当に池畑を・・?」「おまえには関係ないことだ。」典良の動揺にも突っぱねる栄作。しかし、栄作にとってもこれは予想外のこと。金で取引が成立したはず、まさか死んでしまうとは!このことで自分の身によからぬ嫌疑が降りかかってきたら!?栄作は気が気ではない・・。
捜査本部では今回の池畑の死が事故死という形で決着がつきそうな気配。これは雨野真実が仕組んだことだ!と大声を出す直人。が、証拠はタロットカードを池畑が持っていたということだけ・・。それだけではなんの根拠にもならない。再び栄作の元に向かう直人。
なぜ自分に秘密にしていたのか?典良は栄作を問い詰める。父親は自分をまったく頼らず何でもひとりで実行してしまう・・。「おまえはああいう人間を相手にするには正直すぎるんだよ。」そこへ直人が入ってきた。警察手帳を掲げている。「署までご同行願います。」11年前と同じ過ちを繰り返すつもりですか?また真実をもみ消すのか?直人の説得に、「おまえは実の父親も信じられないのか?愚かな奴だ!!」「わかりました・・もう父でも子でもありません。」「刑事として来るのなら、令状もって出直してくるんだな!」
池畑のアパートはパソコンからデータを納めたCD-R類まですべて壊されていた。誰かが先回りして証拠を壊した・・。雨野だ!直人はやはり確信する。奴が今回も関わっている。しかし、物的証拠は何もないのだ。そんな時、池畑が死んだ倉庫周辺であるものが偶然にも発見される。それは池畑が差出人の宅配便の伝票。宛先は成瀬真紀子となっていた。物はCD-R!
成瀬は姉・真紀子の見舞いに来ていた。いつものような明るい表情を見せてくれない真紀子。「具合悪いの?」成瀬は心配そうに言う。そこへ病室に直人がやって来るのだ。!!「なぜあなたが!?」成瀬は叫び立ち上がる。ある事件の重要な証拠が録音されている可能性がある、そのCD-Rを確認させてください。直人の言葉に、真紀子はラジカセのデッキに入っているそれの再生を許可する。成瀬は動揺し、いままでにない表情で目をつぶる。が、再生されたのは音楽だった・・。普通に編集された音楽CD。「全部音楽・・ですか?本当にこれだったんですよね?」「はい。」直人はしかたなくそのCDを預かり病室を出て行く・・。
自分の見えない目でも夕日がぼんやりと見える・・自分はこうやって少しつづ死に近づいている・・。真紀子は成瀬にしんみりと話しだした。楽しいことなんてなにもない。でもあなたが、領が来てくれることがなによりの喜びだった。泣きながら言う真紀子。その言葉で成瀬はすべてを察する。自分が成瀬領ではないということに気づいていると・・。「いいの。ずっと前からわかってた・・。」その言葉に成瀬の目からとどめなく涙が伝うのだ。「あなたが本当にやさしかったから・・。」「ごめん・・。」そう返すのが精一杯だった。真紀子はすべてわかってて自分を弟として接してくれ、しかも今回、自分を警察の手から守ったのだ。その真紀子を自分は隠れ蓑としてずっと利用していた・・。成瀬は証拠のCD-Rを受け取り病室を出て行く。もう二度と真紀子と会うことはない。会えないのだ・・。
病院を出ると直人がいる。「わからないんです。なぜ池畑がこれを送ったのか。」「姉が嘘ついてるとおっしゃるのですか!?二度と姉に近づかないでください!」いままでにない怒りの表情を浮かべる成瀬。直人は呆然とするしかなかった・・。
その頃、充はいやらしく典良と麻里の前に姿を現していた。麻里が典良といる所を確認したかったのかも知れない。均の不倫相手が麻里本人だとたしかめるために。均はすべて捨てても麻里といっしょにいたいと言う。だが、麻里はそこまでの勇気はなかった。「あの人のやさしさに甘えていただけだったのかもしれない・・。ごめんね・・。」均の前から去る麻里。きっとやさしい典良のことも嫌いではないのだろう・・。ともかく、充の行動のせいで均と麻里、ふたりの関係は終わりを告げたと言ってよい。
「俺はおまえを舐めてたよ。くそまじめな優等生かと思いきや不倫とはな。」帰ってきた均に言う充。「なにが望みだ?」自分を芹沢ホテルで雇ってくれよ?支配人クラスで?その言葉に無理だ!と返す均。「いいのかよ?ばれちゃっても?」あまりのおちょくりに思わず殴りつける均。だが、それは充の怒りを煽っただけだった・・。そして知らない。均も麻里も、そして充も。影で誰かに操られていることに気づいていないのだ・・。
バーでひとり飲んでいる典良。そこへ直人がやってきた。「直人、お父さんは池畑の事件には無関係だ。」池畑に11年前の事件のことで脅迫されていて金を要求された。そこで大隈に金を持って行かせたが池畑は現れなかった・・。「息子に疑われるのって、どういう気持ちだろうな・・。」しみじみ言う典良。それを聞き、うつむいてしまう直人。「おまえも辛かったろ?身内を疑わなきゃならなかったのは?」どこまでもやさしい兄・典良。だが、その懐には赤い封筒、均と麻里の不倫現場の写真が入っていたのだ・・。ひとりそれを見て、苦悩する典良・・。
事務所に帰る成瀬。そこにしおりと事務所の仲間が待っていた。今日は成瀬さんの誕生日!みんなが祝ってくれる。しおりはクッキーを焼いて持ってきてくれたようだ。そしてソラちゃんからと成瀬は一枚の絵を貰う。「おたんじょうびおめでとう」その絵には成瀬の似顔絵といっぱいのおめでとうが書いてあった。保育園でいじめられてると泣きついてきたソラを思い出す。それはこの事件に巻き込んだ自分のせいではなかったか?母親に人を間接的に殺させるようにしむけた自分の・・。そして、「力になれるなら言ってください・・。」いつも自分にやさしくしてくれるしおり。しおりも自分は事件に巻き込んで利用している・・。しおりを思わず抱きしめ涙を流す成瀬・・。自分のしていることは一体・・。

#8
自分に好意を持ってくれているしおりのやさしさに思わず抱き寄せてしまう成瀬。だが、「すいません・・。送ります・・。」すぐさま体を離してしまう。その成瀬の態度にせつなげなしおり・・。ふたりの距離は縮まらないのか・・。ふたりがしおりの家に着く頃には雨が降っていた。しおりは、家から傘を持ってきて成瀬に渡す。「ありがとうございます。」傘を受け取った成瀬はふと何かを思い出したように遠くを見つめるような目をしていた・・。
その頃。直人は池畑の言葉からあるヒントを見つけていた。死んだ奴が相手じゃ捕まえられない・・。池畑は真中友雄が生きているという証拠を掴んでいた!そのことを捜査仲間に伝える直人。が、捜査がこれで簡単に進展するはずもなかった。池畑がどのような形でそれをつきとめたのか?わかるはずもなくしおりの元へ行く。
「えっ!池畑さんが・・。」前に残像で読み取ってくれた人物のひとり、自分の過去の捏造記事を書いた池畑が死んだ事を伝える直人。そして慰留品のソードのエースのカードをしおりに見せ、再び残像を見てもらう。それは、直人の正当防衛が確定した裁判の日だった、ものすごい雨の日の・・。「11年前、俺が無罪になった日です・・。」雨野真実(アマノマコト)、そして雨の日。雨の日に無罪として葬られた真実・・そして雨野真実という偽名もアナグラム(言葉の並び替え)で真中友雄になった。やはり!「やっぱり犯人は自分が真中友雄だっていうメッセージを送っていたんです!」「でもその方はもう亡くなってるって・・」「生きている証拠を池畑が掴んでいたのかも知れないんです。」「私・・その人に会ってるかもしれません。その時、弟のために証言してくれてありがとうって・・。」事件の第一発見者であるしおりは11年前の事件を証言した。自分のサイコメトラーとしての能力で事件の全貌が見えてしまったのだ。それはしおりにとっても辛い思い出。もっとも、直人自身は本当は刺してなどいない事故だったのだが・・。だがたしかに、11年前に真中英雄は死んだのだ。「きっと、その男が真犯人です・・。」しおりは思いを巡らす。11年前のある雨の日に、傘を持ってなかった自分にやさしい男の人が傘を渡してくれたのだ・・証言してくれてありがとうと。その時の人がこの事件の犯人?・・しおりは顔を曇らせる。「あの人が雨野真実・・。」
その頃。成瀬は赤い封筒を握り潰していた・・。しおりの顔が、声が、頭に浮かんで離れない・・。自分のしていることは!?今まで迷いなんてなかったはずなのに・・。成瀬の復讐劇はひとりの天使によって頓挫していた。そして翌朝もいつのまにかしおりのいる図書館に足が向いてしまう成瀬。来たもののやはり引き返そうと後ろを向くが、そこにしおりが立っていた。しおりはパッと微笑む、成瀬が会いに来てくれたとわかったから。「クッキーおいしかったです。」その言葉に喜ぶしおりは勇気を出して成瀬に言う。「成瀬さん!今度の土曜日花火大会があるんです。よかったら・・いっしょに行きませんか?」それは金沢海の公園の花火か?困惑する成瀬。だが、「・・その日は空いています。」「本当ですか!」しおりは満面に微笑む。そんなふたりを意外とすぐ近くから見ている男がいた。「あの!」直人だ・・。もう少し気を使って登場しろ!と突っ込みたいのを押さえ先に進める。直人は自分宛にたった今これが届いたとしおりに見せに来たのだ。「また雨野からこれが・・。」それは赤い封筒だった!目を剥き驚愕する成瀬!!自分は送っていない・・。
山野に電話する成瀬はあせっていた。なぜ勝手に計画を進めたのか!?問い詰める。最近止まっている計画を進ませようと「気を利かせた」と山野はほくそ笑んだ。だが、電話越しでも成瀬の動揺が伝わってくる。山野の表情が急変した。「復讐を辞めるつもりですか?芹沢直人を許すんですか?あいつに踏みにじられた英雄を!あなたまで見捨てるんですか!?」動揺し、顔を上げてしまう成瀬。成瀬は再び魔王に戻らざるおえない状況に陥ったのだ。だが、もしここで復讐を止めれたとしても、もうなにもかもが遅いだろう・・。
直人に届いたカード、ワンドの5。仲間同士の争いを意味します・・としおりが言う。直人は何を思ったのだろうか?そして、たしかに仲間同士の争いはすでに起きていた。宗田充と葛西均。そして、葛西均と芹沢典良。友達同士、そして、上司と部下の関係。その関係をこじらせた要因は均と典良の妻・麻里との不倫。だが、その情報を流して裏で操っているのは成瀬なのだ。それをネタに脅しをかける充もそのことには気づいていない、すべては成瀬の復讐の筋書きにすぎないのだ・・。
充は芹沢ホテルの支配人のポストを要求している。それを均になんとかしろと。だが、充はそれが本当に欲しいわけではなかった・・。11年前、あの事件で自分も直人は正当防衛だと証言させられた。目の前で人が死んだというのに・・。それが心に深い傷を残し、充はずっと苦しみながら生きてきた。実は誰よりも繊細な心を持っていた充は過去にずっと縛られていたのだ。どんな悪さをしても、何度芹沢家から金をせびっても決して拭えきれない傷。「俺まで人殺しになった気分だったよ!これが最後のチャンスなんだよ!もしだめなら全部ぶちまけて・・あの一家と、おまえと心中だ・・。」充は均に掴みかかって感情を爆発させる。そして、均は典良にも負の感情を向けられてしまうのだ。自分の妻と不倫していたことを素直に言ってくれたのなら、もしかしたら典良は許したかもしれない・・。だが、均は言えなかった。あのやさしい典良でさえ、今はその心をドス黒いものでいっぱいにしてしまっている・・。かわいがり信頼していた均も今は信じることができず、充のことも大隈に頼んで消すつもりのようだ。成瀬の復讐はすべての人間を巻き込んでいく・・。もう取り返しがつかないところまできてしまっているのだ。成瀬は・・。
花火大会。しおりは浴衣を着て成瀬を待っていた。が、成瀬は現れない。携帯も繋がらず不安なしおりだが、ついに花火は始まってしまった・・。ひとりぼっちで花火を見ているしおりは泣きそう・・。
一方直人は、ホームレス生活をしていた友雄ともうひとりのことをよく知っている人間を突き止め、そのおじさんから証言を得ようとする。その人は前に池畑に重大な証言をもたらした人物だ。直人達もついにそこまで突き止めたのだが。・・そのおじさんは証言してくれない。実は、そのおじさんにも赤い封筒が届いていたのだ!自分の援助交際している写真が入っていた、口は災いの元というメッセージと共に・・。
口を開かない人間を当てにするのはやめて直人は考えを巡らす。ホームレスという生活をしていた少年ふたりなら補導歴があるかもしれない!と閃き薫と共に過去の記録を調べ始めた。
花火大会は終わってしまった・・。しおりはうつむき帰りだすが、「しおりさん!!」振り返ると成瀬が立っていた。急な仕事が入ってしまってという成瀬にしおりは来てくれたことに本当にうれしそうな顔をする。そんなしおりを見て成瀬が言った。「まだ・・お時間大丈夫ですか?」ふたりは花火を買ってきたようだ。鮮やかな閃光をたたえる手持ち花火を楽しそうにやる成瀬を横目で見るしおり。この時間がずっと続けばいいのに・・。しおりは幸せいっぱいだった。成瀬はしおりを家まで送る。「今日はすっごく楽しかったです。」「僕もです。こんなに楽しかったのは・・最後にいい思い出ができました。」「えっ?」しおりの表情がいっぺんに曇る。「会うのこれが最後です・・。そう決めてきたんです・・。傘ありがとうございました。」成瀬は行ってしまった。でもしおりは呼び止めることもできなかった・・。
薫が過去の記録からついに見つける。真中友雄は鉄骨事故前日に警察に補導されていた。そしていっしょにいたもうひとりの少年は・・「成瀬領」!
しおりも今成瀬が持っていた傘に触れて残像を見てしまう。あの雨の日に傘をくれたやさしい人!「成瀬さんが・・真中友雄?!」

#9
宗田充は怪しい一団に拉致されリンチされていた・・。その一団とは大隈達、裏家業を請け負う輩だ。充はその今までの行動が原因で誰からかの恨みを買い制裁を受けるはめになったのだ・・。そして、大隈達の影から現れたのは葛西均!驚愕する充は叫ぶ!「きたねえぞ!!」「汚いのはおまえだろ。」さらにボコられる充は助けてくれ!と叫び散らすが、ついに鉄パイプが振り下ろされる。と!その寸前で均が止めに入った。自分と充は中学からの親友だ、ケリは自分でつけると大隈達に言いふたりきりになる。「おまえの処理を命じたのは典良さんだ、おまえは死ぬしかないんだよ。」その言葉に恐怖で絶叫する充。俺達は友達じゃねえのかよ!?と叫ぶボロボロになった友を冷ややかに見下ろす均。親友同士が傷付け合う・・これも成瀬の策略だとふたりは知るはずもなかった・・。
その頃。成瀬領が死んだはずの真中友雄本人だと突き止めた直人は成瀬を探し求めあちこちを駆け回っていた。真中友雄がこの一連の事件の真犯人、それは成瀬本人を示す!だが、なかなか成瀬と会うことができない・・。
均は充を殴りつけ、おまえは死んだんだ、もう二度と俺達の前に姿を現すな!と叫ぶ。均は典良より先回りして充を逃がそうとしたのだろう。死んだことにすれば、二度と姿を現さなければ、あとはすべて時間が解決してくれる・・。そう思ったのかもしれない。だが、均が去った倉庫には典良が姿を現していた。冷めた表情の典良を見て、充は均の事を言いその場を逃げ切ろうとする。均はあなたを裏切って麻里(典良の妻)とできていた、自分は事実を知ってほしかっただけだと。典良は充に煙草を差し出した。そして火をつけてやる。安心した充は煙草を吸うが!それは青酸カリだった・・。絶命した充の傍にペンを捨ててその場を去る典良・・。そして、充の死体の他、誰もいない静まり返ったその場所に、成瀬も姿を現していた・・!
均は倉庫を出たあと麻里と会っていた。赤い封筒が麻里の所にも届いていて不安になって均を呼び出したのだろう。だが均はもうそんな写真が来ることはない、カタはついたと安心させる。そして本当に大切だったと麻里に告白するのだ。麻里は言う。芹沢の家に押しつぶされそうだった自分も均のおかげで救われていたと。でもふたりはもう別れなきゃいけない、そう決断したのだ。これからのふたりのために・・。
充の遺体が発見された。成瀬が充の携帯から無言電話をかけて場所を特定させたからだ。そして、現場にあったペンを見て冷たく笑う、すべては計画どうり進行している。成瀬はその場を立ち去った。駆けつけた直人は充の遺体を抱きしめ泣き叫ぶ。また親友を助けられなかった!!
直人は携帯の番号を薫に調べてもらい成瀬を呼び出す。そして現れた成瀬をおもいきり殴りつけた!「正直に言え、あんたの正体は連続殺人犯の真犯人!違うか!?」「私は真犯人、雨野真実です。そう言えば満足ですか?」「ふざけんな!」直人は成瀬に掴みかかる。「みんなあんたが殺したんだ!」「人殺しは私ではなくあなたです。真中英雄の、そして彼の家族の人生までもあなたが一瞬にして奪ったんです。大切な人を無残に失った悲しみ、今のあなたにならわかるはずです。」「・・だからって、だからって人を殺していいはずないだろ!?どれだけ他人を巻き込めば気が済むんだ?あんたの目的は俺だろ!?」「私が真犯人だとおっしゃるなら確実な証拠を持ってきてください。」成瀬はあくまでも冷静だった。「あなたの無念さはよくわかります。だから・・早く私を捕まえてください。」成瀬は冷笑を浮かべその場を去る・・。
警察内では直人の捜査の仕方、死んだ人間が犯人だという言動が問題になっていた。法曹界のホープをわけのわからない理由で誤認逮捕でもしたらどう責任をとるつもりだと。だが、中西は部下を信じるのに証拠が要りますか?と直人のことをかばってくている。たしかに直人は犯人にたどり着いた。だが、確実な証拠は手に入れられてない。そして、直人がいずれ自分の正体を見破ることさえ成瀬の計画の内とさえ感じるのだが・・。
しおりは成瀬のことを思っていた・・。「なんで気づいてあげられなかったんだろう・・。」泣くしかないしおり・・。あの時傘を渡して走り去ったやさしい男の子の背中は、成瀬さんだったんだ・・。
充の死因は青酸カリ。暴行が直接の原因ではなかった・・。そしてペンが現場に落ちていた。それは均が愛用していたもの。直人は切なげに均を取調べ室に連れていく。親友を疑わなければならないのか?・・
均はマンションの部屋で充と言い争っていたことが近所の住人から証言としてでていた。そして、均のペンが現場で見つかった・・。十分すぎるほど潔白からはほど遠い・・。均の無実を証明するためにはアリバイが必要なのだが。均はその時間はひとりでドライブしていたと言う。「そうか・・」直人は力のない声で言う。そこへ、成瀬が取調室に入ってきた!均の弁護をすることになったと。芹沢の顧問弁護士としては当然のことなのだが、直人は成瀬をにらみつけるしかない。あんたが均をはめたんじゃないのか!?
「先生、俺は殺してないんです・・。」「助かる方法はひとつ、真実をすべて話すことです。真実を偽るものが救われることはありません。」成瀬の目線はいつのまにか均から直人に移っている。目を泳がせる直人。中西が入ってきて言う。均の車が現場近くを通行していた事実が判明したと。このままでは起訴される!だが、均はアリバイをはぐらかすだけだ・・。
芹沢のオフィスまでもが家宅捜索の対象になる。均の机から青酸カリが出てきてしまい均は起訴されることになってしまった・・。栄作と直人の溝はますます深まり、典良もホッと胸を撫で下ろす、自分には嫌疑がかかっていない・・。
直人は成瀬の肩を掴み頭を下げた!そして土下座・・。葛西を助けてあげたいんです!どうすればあいつを救ってやれるのか・・。プライドもへったくりもない直人に、「いいんですか?真実があなたの胸を貫くことになっても。人は大切な誰かをかばう時真実を隠すものです。それを一番わかっているのはあなたのはずでは?楽しみですね、あなたが真実を知ったときどんな選択をするのか。」
成瀬の事務所で待っていたのはしおりだった。「ごめんなさい・・。私がもっと早く気づいていたら。もうやめてください!」「なんのことですか・・。」「あなたは本当はやさしい人です!」「・・もう止められないんだ・・。」成瀬は部屋に入ってしまった。だが、その表情は悲しみに満ちている・・。
しおりは直人の元に行き協力すると言う。犯人を止めたい!成瀬さんを止めたい、その一心で。充にも届いていたワンドの5のカードをしおりに見せる直人。しおりは残像を読み取る。そこに見えたものは・・均と麻里が抱き合っている写真だった。均は麻里を守るためにアリバイを言わなかったんだ!充の死んだ時間、均は麻里といっしょだった・・。だが、兄貴を裏切っていたんだ・・。「あの人を巻き込まないでくれ!俺が殺ったんだ・・」それでも均は直人にそう泣きながら叫ぶ。だが、これで均の無実はいずれ証明されるはずだ・・。じゃあ、充を殺したのは一体・・?その先に待っている真実を直人はまだ知らない・・。

#10
充を殺害したのは均ではなかった・・。だが、均は兄貴の妻と恋仲にあったという事実が直人の心を複雑にする。均のアリバイを証明するには麻里の証言が必要となるのだが、それは同時に兄貴を傷つけることになる・・。そして充殺しの真犯人は一体・・。これもなにもかも、成瀬の思いどうりなのか!?署の廊下でひとり悩む直人・・。
そこへ、しおりがやってきた。心配そうに直人に近づく。そして、「あの・・刑事さんは犯人が誰なのか知ってるんですか?・・わかってるんですね・・。刑事さんはその人のことを憎んでますか?」「・・わからないんです。その人を殺人犯にしたのは俺だから・・。ひとりの人間の人生をこんなに狂わすことになるなんて、あの時考えもしなかった・・。あの人と死んでいった人達のことを考えるたびに、自分の過去を全部捨ててしまえたらどんなにいいかって・・。」「残酷ですよね・・。そんなにまで傷つくなんて、生きていけないなんて・・。でも私は、その過去があるから今の真っ直ぐな刑事さんがいるんだと思います。刑事さんはもう十分苦しみました・・。」しおりは直人をなぐさめ、そしてもう誰も傷つかないために自分も協力するとあらためて誓う。だがそのしおりも、成瀬がこの一連の事件の真犯人だったという事実に打ちのめされているのだ・・。
直人は麻里を呼び出し、均といっしょにいたことを証言するように頼む。が、麻里は、できません・・と去ってしまった。そして均もかたくなに自分が充を殺害したと言い張る。均の容疑は晴れるどころか本人がそれを認めてしまっているのだ・・。「俺のせいであの人が不幸になる方が辛い。・・あの人を守れなかったら、俺は生きている意味がない。」そう言う均を切なげに見つめている直人。不倫という仲であった均と麻里。だが、そこには真実の愛があったのかも知れない、少なくとも均の気持ちは真っ直ぐで純粋だ。だが、このままでは本当に均が無実の罪をかぶることになる・・。直人は複雑な想いで取調室を出るが、隣の部屋から中西と麻里が現れた。中西の計らいで麻里は均の今の会話を聞いていたのだ。麻里の目は均のアリバイを証言することを誓っていた。
典良の前に麻里といっしょに顔を出す直人。直人は麻里に均のアリバイを証言してもらったと説明。その言葉に典良は激怒する!おもむろに直人を殴りつけた。「ふざけんな・・。俺はどうでもいいのか?俺のことは考えなかったのか!?」「すいません・・。」「俺は信じてた・・最後には俺を選んでくれるって・・。」それを聞き、麻里は典良が自分と均の仲を知っていたのかと驚愕する。もういっしょにいられない・・と言う麻里に別れない!と叫ぶ典良・・。均を守るということが同時に典良を傷つけるだろうということを、今更ながら実感する直人と麻里・・。
栄作は今すぐ麻里と別れないと言った典良の判断は正しいと笑う。あくまでも世間体、仕事目線の栄作に今回は典良もキレた!「僕の気持ちはどうでもいいんですか?お父さんはいつも最善の解決をしてくれました。僕は麻里とやり直したいんです!あなたはいつも正しかった、あなたはいつも絶対だった、でもあなたはいつも父親ではなかった・・。」
「これで満足ですか?すべてあなたの思うとおりに進んでいます!これで満足ですか!?」署ですれ違った成瀬に直人はいい放つ。だが、「おかしいんです・・あなたを心底憎もうとすると英雄とあなたのお母さんの顔が浮かんでくる・・。」直人は11年前の事件のあと、友雄に謝りに行ったことを告白する。だが、家はすでに引き払われていたのだ。「すいませんでした!」今、成瀬(友雄)に深ぶかと頭を下げることができた直人。刑事になって悪い奴を捕まえていれば自分は許されるのではないか・・でもそれは間違っていた、あなたをこんな目に合わせたのも全部自分の責任です・・。直人は泣いていた。その直人を見て動揺する成瀬。「やめてください!今更何を言われても、結末は変わりません。答えはもうすぐそこまで来ています・・。」成瀬は去っていく。そこへ赤い封筒を持った薫が走ってきて成瀬とすれ違った。手紙を受け取った直人は成瀬を見つめる・・。そして振り返った成瀬も直人を見るのだ・・。ふたりの表情はそれぞれの立場での哀しみに満ちている。もう、ふたりの関係は11年前の決着を着けることだけでしか成立しないのだ。もし、直人が11年前に友雄に謝る機会ができていれば・・それを考える時間さえふたりにはもう許されない・・。
赤い封筒に入っていたのは充の殺害現場からでてくる典良の姿だった!絶望する直人。そしてその写真は典良の元にも届けられていた。愕然とする典良・・。自分は完璧にやったはずだ、犯行に使った煙草と現場に残した均のペン、均の机に仕込んだ青酸カリ、そして出張していたという完璧なアリバイ作り。だが、この写真は現場そのものに自分が写ってしまっているではないか!?・・典良は気づいていない。誰が?麻里と均の不倫現場の写真を自分に送ってきたのか?という疑問に。自分が初めから誰かに誘導されているという現実に・・。
山野は笑っていた。あの時自分を追い回した奴らを、今は自分が追い回している。これでようやく英雄に償える・・。そう成瀬に言う山野はいつのまにか泣き出していた。11年前にあの事件は正当防衛ではないと証言できなかったことをずっと悔いていた山野。自分を助けて味方してくれたのは英雄だけだったのに・・。「あなたは十分償いました。これが最後の仕事です・・。」成瀬は赤い封筒を残して山野の元を去る。
直人は均のペンをしおりに見せ残像を読み取ってもらう。しおりが見たものは、充に煙草を差し出す男、死んだ傍から立ち去る男。それは典良だった・・。「ありがとうございました・・。俺の兄貴です・・。」しおりは言葉も出ない・・。直人の立場と哀しさもそうだが、それはすべて成瀬の仕組んでいるという事実・・。自分の想っている人がこんな残酷なことを・・。しかし、まったく関係ないのだが、しおりは直人のことを最終回まで刑事さんと呼び続けるのだろうか?名前も覚えてくれないのか?はたまた、みよ字でさえ呼んでくれないとは直人もかわいそうだなあ。。
栄作は顧問弁護士である成瀬を呼び出した。遺言状を用意していて、成瀬に息子達のことを頼むと言い出す。息子達は自分のようにはできないだろうからと・・。成瀬はおまかせくださいと笑い、栄作に話し始めた。ずっと芹沢家のことだけを考えて生きてきたと。今まで元気で落ちぶれることもなく、他人を犠牲にして・・。成瀬の不敵な笑みに栄作は気づいた、11年前の事件の真中英雄の兄・友雄本人!
「ハハハハッ、見事だ!」栄作は友雄の生き方を瞬時に読み取り賞賛を述べる。そしてあの時の無念さも理解するのだ。「だがね・・人間というのは錯覚を起こす生き物だ・・。」立場や状況によって曲がった線を真っ直ぐに感じたり真っ直ぐな線も曲がって見える時がある、自分はあの時の事件を正当防衛に仕立て上げることが真っ直ぐな道だと信じたと言う栄作。「息子のために父親ができる最善の選択だった。それが親というものだ。」「わたしの母親もあなたと同じように息子達を愛していました・・。でもあなたは愛する息子を奪われた母をさらに傷つけ、踏みにじった!自分がどれだけ他人を苦しめたのか考えたことがありますか?私は絶対にあなたを許さない!」それを聞き、栄作は悲しい顔してうつむく。そして顔を上げた時には微笑が漂っていた。「自分のことはどうなんだ?君もまた自分の目的のために他人を不幸にしている。君も曲がった線を真っ直ぐだと信じているだけだよ。」直人は英雄君を刺してはいない、あれは不慮の事故だったんだよ。直人は自分に必死にそう訴えたのだから・・。「息子の言葉を信じない父親がどこにいる?だが、あの状況からみてあれが事故などとは世間に通用するわけがない。だから息子のためには正当防衛にするほかなかったんだ。でもね、真中友雄君?あれは事故だったんだよ・・。」・・!「・・そんなことは問題ではない!現に英雄は死んだんです!」動揺する成瀬に、すまなかった・・と頭を下げる栄作。成瀬は部屋を飛び出していった・・。
典良はパリに急ぎ行こうと準備をしている。自分の嫌疑がかかるのは時間の問題だ・・。麻里も連れて行こうとするが、麻里は行けないと言い出す。俺のためにはこんなこともできないのか・・自分より葛西均を選ぶのか?麻里は出て行ってしまった・・。典良は本当に麻里を愛していたのだ。だがそれは麻里にはちゃんと伝わっていなかったのだろう・・。父親・栄作に頼りにされるよう努力し仕事に打ち込み、ひたすらに走ってきた典良。だが、頼りにしていた葛西均と麻里の不倫。これは典良の心をズタズタに砕くのには十分すぎた。いつしか均をはめるように仕組んでしまっていた典良・・。だが、典良の気持ちになって考えてみれば理解できないことではない。こんなにやさしい心の持ち主も変わってしまうこともある。典良は、あちこちにちらばった材料を使って芹沢家を破滅に追い込む成瀬の料理にかかった被害者のひとりにすぎないのだ・・。
典良の元に直人がやってきた。「署までご同行願います・・。」「なんで俺が!?俺はいつだっておまえをかばってきた!なのにおまえは・・」「人が過去を忘れても、過去は決して人を忘れない!頼む兄貴、罪を償ってくれ・・。」薫達に連行される典良はなんともいえない表情を直人に向けた・・。直人は自分の肉親を逮捕する悲劇に直面したのである・・。
教会に足が向いてしまった成瀬。ひとり祈っていたしおりがいた。「成瀬さん・・。本当は迷っているんじゃないんですか?勇気をだして出てきてください・・。どんなに苦しくてもやりきれなくても、暗いトンネルからでてきてください・・。」しおりは泣いている。「もう・・戻ることはできない・・。これが僕の本当の姿です。」「そんなはずない!」去ろうとする成瀬の腕を必死に掴むしおり。「自分を捨てないでください!あなたはみんなに愛されるべき人なんです!お願いします・・自分を苦しめないでください!」「僕には・・愛なんて必要ない!」成瀬は出て行ってしまった・・だが、その顔は涙でいっぱいになっている・・。しおりの気持ちに答えるには自分はもう汚れすぎてしまっているのだから・・。
署の会議室にひとりいる直人。その背中はどこまでも悲しい・・。中西が赤い封筒を持ってきて直人に渡す。「戦おう、いっしょに。俺はおまえを死ぬ気で支える。」中西が言ってくれた。手に取った直人は封筒を開ける。入っていたのは2枚のカード。~運命の輪~・・今までは一枚を俺、もう一枚をターゲットに送っていた・・。今度のターゲットは俺自身!直人は決着を予感する。

最終回
直人の元に二枚のタロットカードが送られてきた。それは、いままでと違い直人自身がターゲットだということを意味する。「成瀬は最後に俺を殺すつもりです・・。」いままで直人自身を苦しめるため、あえて周りの人間をターゲットにしてきた成瀬領、いや真中友雄。ついにその標的を芹沢直人自身に向けたのだ!
薫が直人と中西の元へ走ってくる。芹沢典良が弟である直人と話したいという・・。直人は自分が容疑者として逮捕した兄に会う。取調室の扉を開ける直人の表情は暗い。机を挟みふたりは向かいあった。「俺は駄目な兄貴だな、昔から意気地がなくて・・」お父さんは本当はおまえに事業を継いでもらいたかったんだよ・・。「お父さんのこと、頼むな。」典良は煙草を買ってきてくれないか?と直人に頼む。部屋を出て行こうとする直人に、「直人!」落ち込んだ表情で振り返る弟に、「・・すまない・・。」典良の声は震えていた。直人は無言で部屋をでる・・。直人が灰皿と煙草を持って戻ってきた時には、典良は死んでいた。あの青酸カリ入りの煙草で自殺を図ったのだ。事件の真相を少しでもうやむやにし、芹沢家に迷惑をかけないようにするには自ら死を選ぶしか道はなかったのだろうか?「兄貴?兄貴~!」
駆けつけた栄作は典良の亡骸の手を握り泣き崩れる。「典良・・おまえどうしてこんな・・。」直人は父親に典良の残したメモを渡した。─お父さんご迷惑をおかけして申し訳ありません─「馬鹿者!」そう言いさらに泣き暮れる栄作。栄作は孤高という生き方をしてきたためだろうか、その言動や行動に誤解が生じやすい。だが、その裏には息子達を思う真の愛があった・・。自分の築いてきたものを守るために他人を犠牲にしてきたこともまた事実だが・・。「直人・・私を許してくれ・・。誰かの幸せの影には必ず誰かの不幸がある、それがこの世の道理だと。息子達の幸せを守る道だと信じていたんだ・・。この年になって情けない・・。私の間違いが典良を死に追いやってしまったんだ・・。」「兄貴を頼みます・・。」直人は栄作の泣き崩れようを見ていられず慰安室をでようとする。「どんなことがあっても・・お前達ふたりは私の息子だからな・・。」「はい・・。」その返事に泣きながらもうれしそうにうなずく栄作。その姿を見て直人も泣き崩れてしまうのだった。自分の兄の死で、父親との誤解が解けたのは皮肉というほかない・・。
署内で成瀬とすれ違う中西。すかさず成瀬を呼び止める。「先ほど、芹沢典良さんが自殺されました。これもあなたの狙いなんですか?」!!冷静を装いながらも動揺する成瀬。「真中友雄は17才という若さでこれ以上ないような悲しい経験をし、その上世の中の影を知った。それが彼を恐ろしい怪物にしてしまったのかも知れない・・。」だが、直人も11年前から罪を背負って生きている。「もう芹沢を許してやってください。」頭を下げる中西・・。そして成瀬は泣き崩れて壁に手をついている直人を目撃する・・。その成瀬の心は迷いと後悔で散々に乱されていた・・。
道を歩いている成瀬にしおりが待ちかまえていた。「心配なんです。あなたに何か起こりそうで・・。」世の中には何気ない景色の中にも安らぎや幸せを感じることがたくさんある。必死にそれを訴えるしおり。「成瀬さんの進む道にはこんな幸せな景色がありますか!?」無言でしおりの手をどける成瀬は、そのまま歩いていってしまう・・。しおりに何か言葉をかけてしまったら、もう・・。
葛西均は保釈が認められた。保釈金は成瀬が出したという。「少しの間だけでも愛する人を大事にしてあげてください。」均は署からでると電話をかける、麻里にアリバイを証言してくれたことの礼を言うために。麻里はもう自分は芹沢家から出たと言い部屋で待っていてもいい?と言ってくれた。それは均にとって自分を選んでくれたという意味にもとれただろう、均はうれしそうに微笑む。だが、その均の姿を恐ろしく卑屈な表情でみつめている人間がいた・・。
「どうして葛西を釈放したんですか!?」成瀬に叫ぶ山野。「もう彼は十分苦しみました・・。」「まだ十分じゃない!!あいつも僕をいじめてたひとりなんですよ?」その表情は憎しみに凝り固まっている。英雄の無念のために成瀬の協力者となって直人を苦しめてきた山野。だが・・今の姿は自分の恨みを晴らすために行動する鬼と化していた。「もういい!!もうあなたには頼らない。僕がこの手で仕留めます!」山野は懐からナイフを出した。「何をするつもりですか!?そんなことをしたら、英雄があなたを止めた意味がなくなる!馬鹿なことはやめてください・・。」成瀬はそっとそのナイフを山野から預かろうとするが、驚いた山野は成瀬を刺してしまう!「もう・・やめるんだ・・。」「うるさい!!」山野は走っていってしまった・・。成瀬の腹は出血で真っ赤に染まっていた・・。
町を歩く均に誰かがドン!と背中にぶつかった。ナイフで刺される均。後ろを振り返ると山野が不気味に笑っていた・・。均は薄れいく意識の中で転がった何かに手を伸ばす・・。それは麻里のためにさっき買った結婚指輪だった・・。直人の幼馴染の親友はこれでみんな逝ってしまったことになる・・。
電話に出ない栄作が気になり直人は駆けつける。!!部屋に着くと栄作が倒れていた。典良の死が原因で最近心臓の具合が悪かった栄作はとどめをさされたのだ。それは皮肉にも11年前、英雄の死が原因で死んでしまった友雄の母親と同じような形・・。その部屋には栄作・典良・直人が楽しそうにいっしょに写っている写真があった。泣き叫んだあと、直人の目の色が変わる。その表情は冷たく何かを見据えていた・・。
しおりの留守中に成瀬からの手紙があずけられていた。しおりは成瀬からの手紙を読む。ハッ!としてしおりは成瀬に電話をするが、成瀬が携帯をでたその相手は直人だった。「わかりました・・。」刺された傷に苦痛の表情を浮かべながらもそう返事し歩きだす。直人はすべての決着をつけるために成瀬を呼び出したのだ。
~僕はあの日からずっとひとりきりで生きてきました。信頼とか絆とか、そんなものは一切捨ててきたつもりだった。愛情とか人を想う気持ちさえも。でも、そうではなかった。~しおりの存在だけは成瀬にとって違うものだったのだ、ずっと・・。しおりと共に生きていけたらどんなにいいか・・。~だがもう後戻りはできません。あとひとり、どうしても死ななくてはいけない人間がいるんです。しおりさん申し訳ありません、そしていままでありがとう~しおりは成瀬の手紙を握り走る。成瀬と直人の決着を止めるために。成瀬を守るために・・。
体を引きずり歩く成瀬の背中に街灯テレビが写っている。そこにはナイフで人を殺傷した男が警官に射殺されたニュースが映し出されていた・・。山野もその復讐の報いを受けたのだ。その頃、薫達も直人の姿を必死で探していた。署の銃が持ち出されていたのだ。このままでは直人は成瀬と会い、もしかしたら成瀬を殺害してしまうかもしれない!?だが、時すでに遅し。直人は成瀬と対面してしまう、あの11年前の事件現場の廃屋で・・。
銃を成瀬に突きつける直人。「最後の標的は・・俺か?あんたの復讐は未完成のまま終わる。俺のせいでたくさんの人が死んだ。親父や兄貴まで・・。」引き金に力を込める直人。だが、引き金を引けない・・。それを冷ややかな冷笑で見つめる成瀬。「なにを迷っているんです?憎くないんですか?あなたはたったひとりの父親とやさしいお兄さんを奪われた。そしてかけがいのない親友まで殺されたんだ!殺しても飽き足らないほど憎いはずだ!違うか!?法律では僕は裁けない、復讐のチャンスは今しかないんだ・・。早く殺せ!!」だが、直人は銃を持つ腕を降ろしてしまった・・。成瀬の表情が驚愕し、ひきつる。「あんたの目的はこれだったのか?俺に自分を殺させることだったのか・・罪を逃れた俺に今度こそ人を殺した裁きを受けさせるために・・。自分の命を犠牲にしてまで・・」・・「あなたはまだわからないんですか?僕の人生に失うものなんて当になかったんだ、英雄と母が死んでから・・。これで全部終わる、ようやく僕が僕に帰る時が来るんだ・・。」成瀬は涙を流しながら直人の前に進む。「さあ、撃ってください。」その致命傷の傷を悟られないように前に出る。直人自身の手で自分が死ななくては意味がないのだ。「これは、真実から逃げたあなたの義務なんです。」直人の銃を持った腕を掴み自分の腹に銃口を押し当てる。「僕を打て!!それがあなたの役目だ!僕を殺せ!!」カツンッ!だが、銃は地面に落ちた・・。直人は泣きながらうつむいてしまう。「できない・・。俺にはあなたを殺せない・・。」成瀬は銃を自分で拾った。「このまま生きていたら、僕は自分を許せない。」その成瀬から銃を奪おうと銃を掴む直人。ふたりのもみ合いで銃が発射され宙を貫く。そして、再び銃口が火を噴いた時、その銃弾は直人の腹を打ち抜いていた・・。
英雄は11年前、直人ともみ合い不慮の事故でナイフが突き刺さって死亡した。今、成瀬は11年前と同じ形、不慮の事故で直人を撃ってしまったのだ・・。「こ、これでよかったんだ・・最初からこうしていれば・・。生きてください・・精一杯自分のために生きて・・ください・・友雄さん。許してください・・俺のことも、あなた自身も・・。」直人は息をひきとった・・。「ちくしょう・・目を開けてくれ!!死ぬなあ!!死ぬな芹沢!死なないでくれ!」成瀬は号泣していた。そして自分の命もあとわずかな成瀬は直人との今までを思い出すのだ。憎んでも飽き足らなかった芹沢直人・・。でも、誠意ある人間だった、いつもいつも。自分に謝ってくれたんだな、自分が犯人だと知ったあともあなたは・・。「許してくれ・・。僕のことも・・。あなたのことも・・。」
しおりがあの廃屋にたどり着いた時には、成瀬と直人がよっかかりあって絶命していた・・。泣く崩れるしおり。直人の手にはあの英雄の大切にしていたハーモニカが握られている。成瀬が握らせたのだろう・・。それは成瀬が直人を許したことを意味していた・・。疲れた友達が仲良く並んで転寝しているように見えるその光景に、しおりはただ、泣き続けるしかなかった。

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