「魔王」前編

「魔王」前編
画像
http://www.tbs.co.jp/maou2008/
#1
「待て!こらあ~!」ひとりの若い刑事がもうダッシュで容疑者を追いかけている。容疑者をビルの屋上まで追い詰め、さらに下の地面に落とそうと容疑者の足を抱え、柵から乗り上げさせた。宙吊りになった容疑者は自分がやりました!と泣きながら罪を認めるしかない。この荒くれ刑事の名は芹沢直人。同僚の高塚薫からも心配されながらもあきれられてるが、直人はこれでも検挙率トップなのだ。
「いくら手柄を立てたところで所詮おまえは高卒の兵隊だ。地べた這いつくばって、クズ共を追い掛け回して。あんな仕事どこががおもしろいんだ?成長のない男だな。」そう言う父親・栄作とはすこぶる仲が悪い。栄作はホテル事業で富を築いた事業家で、国会議員でもある。権力欲が強く直人も父親のことは心良く思っていない。「そんなに金儲けて墓場まで持ってくつもりなのかねえ。」直人のボヤキに兄・典良はやさしい言葉をかける。そんな典良とは仲がいい直人だが、典良は父親の望むとおり栄作の事業を継いでいるエリートのようだ。なぜ自ら辛い道を選ぶ?と直人の生き方を心配する典良だが、直人は好きなことやっているだけと笑って返した。
ある日、直人宛に警察署へ宅配が届いた。そこには赤い封筒の中にタロットカードが入っていた。?な直人だが・・。後日、栄作の顧問弁護士・熊田が事務所で刺殺される事件が起きる。その熊田宛にも赤い封筒とタロットカードが送られていた・・。差出人は雨野真実(アマノマコト)。直人に届いた宅配と同じ名前だ。そして熊田にはタロットカードの他にナイフも入っていたと。「凶器も宅配で届いたっていうのか!?」困惑する直人や薫。そして最近頻繁に熊田の携帯に電話がかかってきていたらしい。「こいつだ・・。こいつが熊田さんを呼び出して殺したんだ・・。」雨野真実。直人は知り合いが殺されたことに逆上していた。
係長・中西に連れられ、直人、薫はある場所に行く。そこには咲田しおりという女の子がいた。そのタロットカードはうちのオリジナルですが?というしおりに中西は尋ねる。今回の事件にこのタロットカードが関係している、購入者の名前がわかればと思ったのだが、しおりはそういうものはないと答えた。そのカードは「審判のカード」過去の罪への償いの意味。中西はもうひとつお願いする。しおりはサイコメトラーの能力があり、物に残った残像を読み取れるという。過去にしおりの能力で未解決の事件が解決した。中西の渡した凶器のナイフからしおりは残像を読み取る。~もみ合う二人の男。そしてナイフを突きつける熊田~・・「何言ってるんだ?熊田さんは刺された被害者だ!」直人は言葉を強める。サイコメトラーというものを信じていないのだろう。もうひとりの男は黒い服を着ていたということまでしかしおりはわからなかった・・。
操作本部では容疑者と思われる一人の男が浮上する。ハヤシクニオ。ここ最近頻繁に熊田に電話をかけていた男だ。過去にハヤシの裁判時に検事だった熊田。その刑罰が不服だったらしいハヤシは逆恨みで熊田を殺したのだろうか?自分が引っ張ってやる!と血気盛んな直人の前に、ふたりの男が捜査本部に入ってきた。ひとりはハヤシ。もうひとりは、「自首したいと言っていたので連れてきました。」と弁護士の成瀬領。いきなりの事件解決に直人ら刑事達は面食らってしまう・・。
成瀬領は天使の弁護士と呼ばれるほどメディアで有名な優秀な弁護士。庶民の味方らしいその善良な弁護士に連れられ、容疑者ハヤシは自首してきた。早速取り調べが行われる。「これを俺と熊田弁護士に送ったのはお前だな!?どういうつもりだ?カードを送りつけて熊田さんを殺したのはお前だ!」直人がハヤシに叫ぶ。だが、ハヤシは自分は殺すつもりなどなかったと。そこへ成瀬がボイスレコーダーを差し出した。そこには熊田とハヤシのもみ合いの一連が録音されていた。ハヤシは熊田に呼び出されたという。だが、熊田にはその意味がわからない。ハヤシは自分の裁判の時の熊田の対応が納得できなかった、弁護士になる前に自分の名を上げておこうと自分の罪を重くした、自分を利用したんだと。そう言うハヤシに宅配にあったナイフを突きつける熊田。その態度は動揺しているようだ。そしてふたりはもみ合いになり、はずみで熊田の体にナイフが刺さってしまう・・。ボイスレコーダーはその一連を記憶していた。それはハヤシが熊田にあやまってもらいたくて録音していたものだったのだが・・。ハヤシは家族も何もかも失って熊田を恨んでいたのはたしかだった。しかし殺すつもりなどなかった。そもそも熊田に呼び出されたと思って来たのだから・・。そしてナイフを最初に手にしたのは熊田の方だった・・。
ガサイレでハヤシ宅からたくさんの赤い封筒が発見される。差出人は雨野真実。その手紙には、ハヤシが熊田に利用されたこと。売名行為で罪を重くされたこと。それをマスコミに公表して自分の名誉を守ることなど復讐心を煽るものばかりだった。ハヤシは獄中でこの手紙を何通も受け取っていたのだ。直人らは気づく。ハヤシはこの雨野真実に操られていただけなんだと・・。
直人は全速力でしおりのもとに行く。「お願いします!!」直人は手紙から雨野真実の手がかりをつかみたかったのだ、しおりに頭を下げてまで。~パソコンを打つ男の手。黒い革手袋で赤い封筒にいれている。顔はわからない~・・「それだけ?・・」「はい。ただ・・この手紙を書いている人には心がないみたいなんです・・」「心がない?」
直人達は現場検証のため実践的に熊田とハヤシのもみ合いを再現することに。そこに成瀬も顔を出す。「あなたが被害者役ですか?」そう言う成瀬に、現場検証は立ち入り禁止だと言う直人。通してやれと中西。直人は成瀬のことをなんとなく鼻につく奴と思っているようだ、見る目が厳しい。ハヤシの証言に従い進行していく現場検証。ナイフを手にし、突きつける直人。だが、その表情は強ばっている。もみ合いを再現していくにつれ、その直人の表情は尋常じゃない、何かに怯えてしまっている。「ボイスレコーダーと同じということが理解していただけましたか?よって弁護人は正当防衛による無罪を主張します。」成瀬の言葉にハッとする直人。「わかっていただけましたか?真実は捻じ曲げられないということです。」成瀬は直人を凝視して言い放つ。その言葉に動揺を隠せない直人・・。過去の罪への償い・・タロットカードが示すその言葉の意味を、直人は思い出してしまった・・。

#2
熊田の葬儀に成瀬も訪れた。栄作は、熊田の代わりに成瀬を顧問弁護士にしようと話を持ちかける。成瀬の優秀さに目をつけたのだろう。あいかわらず直人は成瀬のことがあまり心良く思わないようだ。そして、まだこの事件は解決していない、雨野真実(アマノマコト)を捕まえるまではと決意を固めている。捜査本部は解散してしまったが・・。
直人は学生時代からの悪仲間と楽しく飲んでいた。ひとりは取立て屋・陽介。デブで一見強面だが、内面は意外にそれほど悪者ではないようだ。しかも体が丈夫ではない。いつも取り立て屋なんて早く辞めろと直人に言われているのだが・・。もうひとりは葛西均。芹沢典良(直人の兄)の秘書。かなりのインテリ風だが、実は典良の妻・麻理と不倫している・・。もうひとりは警察沙汰が絶えない厄介者・充。いつもなんかの事件を起こしているが、今回成瀬の弁護で早々に出てこれたらしい。そこへ成瀬が現れた。充が呼んだのだ。いきなりの成瀬の登場に直人は表情を曇らせる。「中学の時の関係が今だに続いているなんてうらやましいですね。」成瀬の言葉に昔の不良仲間ですよと笑う充。いい加減大人になれよと言う直人に、「なんだよ、その上から目線はよ?昔の恩忘れちゃった?皮肉だよなあ。俺が前科者でおまえが刑事かよ。いいよなあ、持つべきものは金持ちの親父だなあ~。」直人の顔はさらに厳しくなった・・。
ある公園で小さな女の子が遊んでいる。いつの間にかその女の子が熊のぬいぐるみを持っていることに母親が気づく。誰にもらったのだろうか?実はこの母親・シンタニは陽介の取立てにあっている借金持ちである。
また直人のデスクに宅配が届いた。タロットカード・・。「俺の知っているだれかが、また犠牲になるかも知れません・・。」予告殺人の疑いがあると中西に話す直人。おまえの知り合いに恨みを買っている人間は?中西の言葉に、親父だ!?と思いつく。細心の注意を栄作と典良、均に促す直人。
その頃、しおりは図書館に勤めてる縁で成瀬と親しくなっていた。家族がいない自分。そしてやはり今家族がいない成瀬。同じ匂いを感じたのかな?成瀬に言うしおり。「僕も同じです。」そう答える成瀬を見てうれしそうなしおりがいた。
取立ての電話をかけている陽介を見つける直人。実は陽介、取立て屋やめて、夢だった居酒屋をやる準備をしていたことを直人に話す。ついでに居酒屋に充も雇ってやろうと思って。喜ぶ直人だが、陽介はひとつお願いを言ってくるのだ。最後の取立ての相手っていうのが栄作の会社の清掃員で、このままだとばっくれそうな感じなんだ、社長に給料前借りしてもらうよう頼んでみてくれねえか?直人は前借りはできないけど兄貴から直接借りると返事する。「早く陽介の店で飲みてえしな!」
その渦中のシンタニにという女性。この女性にも宅配が届いていた・・。そして社長室で偶然札束の入った財布を拾った所を栄作に見られてしまうのだ。泥棒はいらない!!と怒鳴りつけられ首になってしまうシンタニ・・。
成瀬はしおりの住んでいるコーヒーショップに顔をだしていた。喜ぶしおり。そこへ!直人がやってくる。成瀬と直人はここでも顔をあわせることになるのだ。「あの・・おふたりはお知り合いなんですか?」しおりの言葉にまた来ますと成瀬は帰っていく。直人はタロットカードの件でしおりを尋ねてきたのだ。
「月のカード」待つことを意味する、謎めいたことが起きる暗示です。「でもその謎に対してなすすべはなく、動くほどに混乱します・・。」しおりはタロットカードに手を当て残像を読み取る。~熊のむいぐるみ。大きなホテル。拳銃~・・「親父のホテルだ!?」直人は栄作が狙われていると再確認にし厳戒態勢を敷くが・・。直人に守ってもらうという状況が栄作は気にいらない・・。
公園で借金の督促状を目にし、途方にくれているシンタニ。そんな中、公園で遊ばせていた娘がいなくなった。娘を返して!と陽介に電話するシンタニ。だが、陽介はわけがわからない。店の準備に追われているのに何だ今の電話は!?そこへ陽介宛に宅配が届く。空けると赤い封筒と熊のぬいぐるみが入っていた・・。
シンタニが息を切らせて陽介の元に行くと、熊のぬいぐるみが置いてある!「娘をどこへやったの!?」シンタニの手には拳銃が握られ陽介に向けられる。驚愕!する陽介。
そして・・教会のそばで熊のむいぐるみを抱いた女の子が泣いていた。成瀬としおりはその子に声をかけるが、しおりは気づいていた。そのぬいぐるみがいつか見た残像と同じものだと・・。
直人が陽介の元に行くと、ものすごい異臭。そして陽介は息たえていた・・。「しっかりしろ!おまえには夢があんだろうが!!」直人はまた、自分の周りの人間の死に直面したのだ・・。

#3
成瀬としおりは泣いている女の子を家まで送り届ける。しかし、母親・シンタニの姿はなかった。「きっとお母さんもソラちゃんに会いたくて探してるんだよ。」しおりが女の子をなぐさめている傍らで、腕時計を見ている成瀬。そこへ、シンタニが帰ってくる。娘の姿を見て安堵したシンタニは娘を抱きしめるが、熊のぬいぐるみを見た途端に表情が曇る。娘はちゃんと熊のぬいぐるみを持っていた!?じゃあ、あそこにあったぬいぐるみは!?「知らない人と遊園地に行っていたようです。」そう説明した成瀬は名詞をシンタニに渡す。「弁護士さん・・」
陽介の死因。喘息の発作による軌道閉塞、外傷もなく毒物反応もなかった。よって病死だと説明する医師・・。「違う!殺しだ、陽介は殺されたんだ!!」直人は叫ぶしかない。タロットカード、雨野真実(アマノマコト)からの宅配便、すべていままでと同じだ。これは予告殺人。自分の周りの人間が狙われている・・。しおりから残像で見た熊のむいぐるみを実際に見たと連絡を受けた直人はしおりの元へ。これと同じものですか?事件現場にあった証拠品のぬいぐるみをしおりに見せる。「はい・・。そうです。」「ありがとうございました・・。」直人は立ち去るが、雨の降る中を車にも戻らずただずんでいる。しおりは直人の様子がおかしいのを感じ、傘をそっと直人に添えた。「刑事さん・・」直人は泣いていたのだ・・。「幼馴染だったんです。陽介の夢があと少しで叶うところだったのに・・。俺の判断ミスであいつは殺されたんです・・。」「刑事さんは悪くありません・・。」やさしい澄んだ表情で言ってくれたしおりの言葉に、直人は少しでも救われたただろうか・・。重要参考人に上げられたシンタニは娘を連れて逃亡する。そして、しおりにもあの宅配便が届けられた・・。
直人が駆けつけ、しおりに送られた宅配を開ける。入っていたのは「女帝のカード」自然の支配者を意味している。しおりはそのカードから残像を読み取ろうと手を添えた。~ハーモニカ。廊下を走る男子生徒。どこかの校舎~・・「ハーモニカ・・誰かの足がふんずけていました。どこの廊下だかわかりません・・逃げていました・・。」眉をしかめる直人。そのあと、しおりが務めている図書館にしおりを送り届ける。「送ります。俺のせいで誰かが傷つくのはもう耐えられないんです。あなたは俺が絶対に守ります。」しおりは別れぎわ笑顔を見せ立ち去るが、直人はハッとする。成瀬が図書館から出てきたのだ!
「成瀬さん!?」呼び止められ成瀬は会釈する。直人は成瀬に、シンタニの事を知っているか尋ねた。シンタニに陽介が殺されたことを告げ、「俺は犯人を絶対に許しません。この手で絶対に捕まえてみせます!」そう言い直人が立ち去ると、成瀬は図書館の方を振り向いた。しおりの笑顔を思い出し、切なげな表情をみせる成瀬・・。
しおりに宅配が届いたことを係長・中西に報告をする直人。「今度は彼女が狙われるかもしれません。」「もしかしたら雨野は彼女の能力を知ってるんじゃないのか?俺達に協力していることも!?」今はシンタニを一刻も早く見つけ出して、黒幕の手がかりを掴む。それがしおりを守ることに繋がる。ふたりは改めて捜査に熱をいれる。
その頃、充は中学の同級生・山野と出会う。だが、山野は充に話しかけられるとすぐに立ち去ってしまった。山野はあからさまに充に不快感を持っているようだ。充は山野の態度に嫌な顔をするも、その足で芹沢のホテルへ向かった。「なんか仕事ないすかねえ?」そんな態度を見せる充を煙たがる典良と栄作。だが、金を渡して早々に出て行ってもらうのだ。「すいません。そんなつもりじゃなかったんですけどねえ、お邪魔しました。」なにか芹沢家の弱みを握っている充。「屑はいつまでたっても屑だ!」そう捨て台詞を吐く栄作だが・・。
薫はシンタニの家宅捜索を行っていたが、めぼしい証拠は出てこない・・。しかし、滞納していた家賃半年分が一括で振り込まれていたという。その人物は成瀬領!直人が成瀬の事務所へ直行するとシンタニが成瀬といっしょにいた!連行しようとした直人に、「行きましょう。私が弁護します。」
借金取りたて屋の陽介に、お金を返さなければ娘をどうにかするぞと脅されていた。てっきり陽介に誘拐されたものだと思っていたと取調べで話し始めたシンタニ。「嘘をつくな!!」直人は叫ぶ。直人をなだめ、陽介が死んだ理由を尋ねる中西に、シンタニはカバンから銃を取り出した。だが、それは銃ではなく護身用の催涙スプレーだった・・。知らない人から宅配で送られてきたというそれを、娘をとりかえしにいくときに持っていったと話すシンタニ。「そうか。あんたは陽介の喘息を知っていてこれで殺したんだ!」殺すつもりなんてなかったと話すシンタニに怒声を浴びせる直人。陽介が子供を誘拐するはずがない!「冷静にお願いします。あなたは石本さん(陽介)のすべてを知ってるといえるのですか?誰にでも裏の顔はあるものでしょう。」成瀬が言う。娘が持っていた熊のむいぐるみと同じものが陽介のところにあった。そこでスプレーを陽介に向けて問い詰めたが、陽介が掴みかかってきたので思わず引き金を引いた・・。「おわかりいただけましたか?今回の一件は不幸な事故だったんです。よって弁護人は正当防衛を主張します。」成瀬の言葉に直人は苛立つ・・。
「彼女を操っていた奴がまだ捕まってない!そいつを捕まえて始めて真実がわかるんです!」署の玄関にいた成瀬に叫ぶ直人。「なら捕まえてください。それが警察の仕事じゃないんですか?私達に当たってもなにも解決しませんよ。」冷ややかに言う成瀬に、「なんだその言い草は?ふたりも殺されてるんだぞ!依頼人の利益さえ守ればいいんですか?それがあんたの正義ですか!?」「じゃああなたの正義はなんですか?正義のとらえ方は人それぞれです。」そう言い成瀬は立ち去る・・。
シンタニの娘・ソラを寝かしつけたしおりの元に、成瀬とシンタニが帰ってきた。正当防衛が認められたとしおりに話す成瀬。だがシンタニは、「法律なんてどうでもいいんです・・。先生には感謝しています。でも、私に人殺しをさせた人間が憎い・・。」成瀬はゴクッと唾を飲み込む・・。
しおりは成瀬に話し始めた。自分はサイコメトラーの能力があり捜査に協力もしていた。でもそれが警察の判断を狂わせてしまったんじゃないのか?それにソラちゃんのお母さんも。「神父さんはその能力は神様が与えてくれた宝物だって。でも、神様ではなく悪魔が与えた邪悪な力なんじゃないのかって・・。私は悪魔に利用されてるような気がして。悪魔が私の中にいるかも・・。」しおりは涙を流している。ハンカチを差し出す成瀬。「あなたが悪魔なら世界中が悪魔であふれてますよ。僕にはわかります、悪魔は別の場所にいるんです。」その頃、シンタニは娘を連れて家に帰宅していた。ドアを開け入ろうとするシンタニに抱きかかえられているソラ。その顔がどこかに向けて笑顔をつくりピースサインをする。木陰の影からピースサインをし笑顔するひとりの眼鏡をかけた男。それは、充から逃げるように立ち去ったあの山野だった・・。
バスケットボールを持った女の子が何かを見つけ驚愕する夢。冷や汗をかいて目が覚ましたしおりは直人を呼び出す。「女帝のカードが送られた理由がわかったような気がして。送り主は私に死者の代弁者になって欲しいんじゃないかって。」そして残像の場所に見覚えがあると直人の車を案内することに。助手席に乗り直人を誘導するしおり。たどりついた場所、そこはある学校だった・・。「お、俺の中学です・・」
廊下を歩く直人に、学生服をきた眼鏡の男子生徒が逃げるように直人の前をとおりすぎる。気がつくと中学時代の充、陽介、均が自分の隣に現れていた。直人の前を自分の中学時代の姿が加わった四人がゆっくりと歩き、逃げる男子生徒を追い詰める。フラフラと直人も歩きだし、たどり着いた場所は!人気のない廃屋。直人は冷や汗で震えていた・・。ナイフで刺された男子生徒。驚愕する中学生の直人、充、陽介、均。逃げる自分が踏み潰したハーモニカ。跳ねるバスケットボール。そしてしおりも思い出していた・・この場所を。しおりの顔は恐怖で引きつる・・。成瀬は墓参りをして丘を見下ろしている。その目は冷たく、感情がなかった・・。

#4
直人は廃屋ですべてを思い出す・・。いや、思い出さないようにしていただけなのだ。自分が昔、人を死なせたことを・・。そして、裁判で無罪になったことを・・。その時の弁護士は死んだ熊田だった・・。帰り際、直人の様子がおかしいことに、しおりも気づいていたが。直人は自責の念にかられて上の空だ・・。
陽介の火葬にも遅れていく直人。「遅えよ!何やってたんだよ!?親友じゃねえのかよ!?おまえが死んだら石本(陽介)すっ飛んできたぞ!?」充は直人に掴みかかって叫ぶ。「心からお悔やみ申し上げます。大切な人を失うつらさ、私にもわかります。」その場にいた成瀬が直人に言う。だが、火葬場を去る成瀬の表情は冷たく笑っていた・・。その成瀬の表情にカメラのレンズの焦点が合う!誰かが、カメラを向けていたのだ。
署に戻ってきた直人は辞表を出す。驚く薫。中西はちょっと来いと屋上に連れていき事情を聞くが、「俺は悪党なんです・・。人を追い詰める資格なんてありません・・。忘れてました、俺が悪党で情けない奴だってこと・・。」
成瀬の事務所にひとりの男が訪ねてきていた。池畑という記者だ。池畑は昔、芹沢栄作の汚職記事を書いたがあらゆる手を使って握り潰された、そして会社に圧力をかけて自分を首にさせた。「許せませんよあいつだけは!復讐したいんです・・」池畑は成瀬のような優秀な弁護士が栄作についていると動きづらい、顧問弁護士を降りて欲しいと頼むのだった。「お話はわかりました。ただ、決断は自分で下します。不思議とつながりはあるんです。ここ二回の案件も、息子さんが担当刑事ですし。」池畑の目の色が変わる。「刑事?・・芹沢の息子がですか?」池畑は飛び出していく。特ダネのためならどんな汚い手も使う記者と知っていて、成瀬は直人の今を教えたのだ。
直人は自分の過去に思いを巡らす。中学時代の卒業アルバムをみて、死んだ英雄、そしてその友人だった山野。自分達は山野をいじめていた・・。直人は均に電話し、山野のことを聞く。実は充からこの前見かけたことを聞いていた均は、山野が光泉出版に勤めていることを教える。直人は山野にどうしても会いたかったのだ。
「ひさしぶりだな・・。山野。」直人だとわかった山野は硬直、おびえている・・。「俺のこと覚えてるか?話があってきた・・。」「いやだ・・。」出版社を早足にでていく山野。追いかけ無理やり引き止めた直人は言う。「石本が死んだ。なんで死んだか知ってるんだろ!?」「石本が死んだ?い・・いつ?気の毒だね、石本が死んで悲しんだろ?友達が死ぬのって本当につらいからな。」「もう!!やめてくれ!悪いのは俺だ、全部俺が悪いんだ!関係ない人間巻き込まないでくれ!!俺は何すりゃいい!?」「なんのことだよ?」山野は笑っている。「でも君は本当にひどい人だった。裁きを受けるべきなのはたしかだよ。せいぜい苦しめ!」・・!!直人は呆然と立ち尽くす・・。そして直人の元から立ち去った山野も泣いていた・・。学生時代、いじめられてた復讐のためナイフを持ち出す自分。それを、あんな奴らのために君が駄目になる必要はない。とナイフを預かってくれた英雄。そして・・英雄は刺されたのだ・・。「英雄・・。ごめん。」
しおりが夜遅くまで図書館で働いている。そこへ、直人が立ち寄る。直人はしおりに会いにきたのだ・・自分の過去の懺悔のために・・。「俺は11年前、同級生を死なせたんです。あの廃屋で・・俺が英雄を。英雄は俺がいじめてた奴を守ろうとしたんです・・。」正しく生きようとすれば神様は許してくれるんでしょうか?「俺は生きていていいのか?どうすればいいのか・・。あなたには隠し事はしたくなかったから。」誰もいない図書館。本棚越しに話してくる直人にしおりはやさしく言うのだった。「生きなきゃいけないんです。死んでいい人間なんているわけないじゃないですか。全力で生きてください・・。」
直人が署に帰ると、中西は全部知ってると直人の過去を同僚達に話す。「おまえは自分の過去から逃げ出すような奴じゃない。」中西は言ってくれた。「こんな馬鹿正直で一生懸命な男、みたことありませんから。」薫も何があっても信じてくれると言う。直人はまだ、自分を思ってくれる仲間がいるのだ。そこへ宅配便が、赤い封筒が届けられる。その中には学生時代から現在までの直人の写真が入っていた・・。「やっぱり俺が狙いなんだ・・。だったらなぜ陽介を!!」直人は悔しくてならない・・。
直人は残像を見てもらおうと入っていた手紙をしおりに見せる。その手紙には神曲の地獄の門の一説が書いてあるという。地獄の始まりを示す言葉・・。「もしかしたら残像をコントロールされてるんじゃないかって?犯人が見せたい残像を見せられてる気がするんです。銃口が見えたのも捜査をかく乱させるためだったんじゃないかって・・。」「それじゃ犯人はしおりさんの能力を知ってるってことですか!?」「犯人が植えつけた残像があるなら犯人の狙いどうりに操られる可能性があります・・。」直人は犯人に会えるならたとえ地獄の果てまでも行ってみせる!としおりに言う。直人の覚悟を受け止め、しおりは手紙に手を添えた。~黒い手袋がロッカーに赤い封筒を入れている。333という数字~・・「この数字はどこかで見たような気が・・」しおりは顔をしかめている。だが、この残像では真意は何もわからない・・。
その頃。均の元に赤い封筒が送られてきた。入っていたのは、芹沢典良の妻・麻里との不倫現場だった。動揺する均。誰が一体何のために!?居候している充ともなんだかうまくいかない。充は直人のことが気に食わないのか、いらついているのだ。「あんまりあいつのこと信用すんなよ!?あいつは所詮人殺しだ。刺した所この目で見たんだよ。」「あれは事故だ・・。」充の言葉に均は言うが、「直人にそう言えって言われてるのか?昔からそうだもんなあ、おまえは直人のパシリだ。」それを聞き思わず胸倉をつかむ均。「いいのかよ?こんなことして。俺をなめんなよ!」充は均にも敵意むき出しだ・・。
しおりのいる喫茶店。ここに成瀬、シンタニ、ソラちゃんが来ていた。しおりは成瀬がいてなんだか幸せそうだが。そこへ直人が入ってくる。直人は捜査協力でここにみんなを呼んだのだ。町中で山野を呼びつけた直人。だが、山野はやはりすぐ立ち去ってしまった。しかし、それを遠くから見ているソラ。実は山野がソラを依然連れ去ったんじゃないか?という疑惑でソラにそのことを確認させたのだ。が、ソラは違うと言う・・。捜査は振り出しに戻り直人は落胆するが・・。遠くを歩く山野に向け、ソラはピースサインをしていた!・・
中西は「11年前の事件が今回の事件の背景にある」その親族のことを調べるのを上司にお願いしていた。捜査はここから進展するようにみえたが、英雄が死んだ直後に母親も心臓発作で他界し、その後行方不明の兄も死亡していたことが判明する・・。あまりのことに途方にくれる直人、薫。被害者・英雄の家族は、全員亡くなっていたのだから・・。
333の数字の意味がわかったとしおりから連絡が入り、直人は走る。それは、図書館の棚の番号札だった・・。その近くにある神曲の本に手を伸ばす直人。そこには赤い手紙がはさまっていた・・。

#5
真中英雄。学生時代、英雄はいじめられている山野を守ろうと直人達いじめグループに反抗した。だが、直人と言い争う中で英雄の腹にはナイフが刺さり英雄は死亡。だがしかし、直人は正当防衛で罪にはならなかった・・。そして、英雄の家族達も、英雄の死がきっかけで母親は心臓発作。兄の友雄は行方不明の末、死亡していたことが判明する。過去の英雄殺傷事件が今起きている事件に必ず関係があるというのに、英雄の家族は全員死んでいたのだ・・。手がかりはなくなってしまった・・。直人は自分の過去から目をそむけることをやめ、自分の因縁に決着をつけるべく犯人を絶対に捕まえる!と固い決意をみなぎらすのだが・・。
しおりが勤める図書館で、自分宛の手紙を手にする直人。その赤い手紙には「LIVE=EVIL」と書かれていた。「生きることは・・悪いこと・・。」いっしょに入っていたタロットカードは「ソードのエース」避けられない変化が起こることを暗示している。しおりも不安そうだ・・。
その頃。成瀬は海岸沿いにある病院に来ていた。海からの風が当たるベランダに、車椅子の女性がいる。その女性に近づいて花束を渡す成瀬。「来てくれたんだ・・」満面の笑みで喜びをみせるその女性は目が不自由なようだ。「姉さん・・。」成瀬はそう呼ぶ。いつぞやしおりに自分には家族がいないと言っていたはずの成瀬だが!?・・。そしてひとり車に戻った成瀬を、遠くからカメラを向けシャッターをきる男。池畑、彼は芹沢栄作に恨みがある。その栄作の顧問弁護士を結局引き受けた成瀬の弱みを掴んでやろうとしているのか?・・。栄作や典良から言わせれば、昔直人をかばう記事を書かせたが、それをネタに金の無心にくるので突っぱねたら栄作の不正を騒ぎ立て始めた。それで名誉毀損で訴えたら、会社を首にされたと騒ぎ出した・・。というひどい男だそう。だが、その粘着質は尋常ではない。身辺を探られることに栄作も渋い顔で嫌がり、なんらかの手を打つことにしたようだ。成瀬も自分の身辺を嗅ぎ回る池畑に不快感を隠せない・・。
しおりは、ソードのエースのタロットカードに手を添える。見えた残像は、~山野がロッカーから赤い封筒を出している所。無数の鉄骨が倒れてくる場面。~・・直人は山野を徹底マークすることにしたようだ。今手がかりに繋がるのは自分が過去いじめていた本人である山野がなんらかの事実をにぎっている可能性が高い。山野を尾行し、ロッカーの赤い封筒を山野が取り出した時点で直人は無理やりその封筒を開ける。が!!入っていたのはただの原稿だった・・。「なにすんだよ!!今度こんなことしたら、けっ警察に通報するからな!」刑事の直人に言う台詞でもないのだが。「山野ぉ!!」直人はキレて山野を壁に叩きつける。「これは偶然か!?俺をおちょくって楽しんでんのか?関係ない人間巻き込まないでおまえの手で俺のこと殺してみろ!!」「ぼ、僕は君みたいな人殺しじゃない!」直人は思わず胸倉を掴んだ手を離してしまった・・。
だがやはり山野は誰かの指示で動いていたのだ。今日の直人の行動を思いだしほくそ笑む山野。「これからですよ。まだ地獄の門をくぐっただけです・・。」山野の座るベンチの背中合わせに座っていた男が言う。その男は、成瀬だった!
芹沢のホテルに顔出す充。充は均に飯でもどうかと思って来ていたらしい。だがそこで、ひとりの女を見つけた。「おっ?やっぱりそうだ。葛西(均)の彼女だよね?」充は親しげに話しかけた。均のマンションに居候しているので、たまたま部屋に来ていたこの女を充は知っていたのだ。だが、女は芹沢典良(直人の兄)の妻・麻里だった!麻里を出迎えにきた典良と均を見かけ、充はふたりに声をかける。そして、「おお、葛西。彼女来てるぞ。このあとどう?飯でも。」顔面が引きつる均。そして、「仕事中なんだよ!!帰ってくれ!!」均は怒鳴りつけてしまった・・。麻里はこの場の危険を察してトイレに駆け込んでいたので、典良には関係をばれなかったが・・。充は均と仲直りしたくて訪ねてきてたかも知れないのに、均のこの仕打ちはあまりにも切ない。「えらそうに・・。」充はつぶやくしかない。
直人は雨野真実(アマノマコト)、なぜ偽名なのにフリガナがふってあるのか?と疑問に思っていた・・。手がかりがなにもない今、証拠品から洗っていくしかない。薫に手伝って欲しいと頼み、薫もなんだかうれしそう。そして「LIVE=EVIL」を逆にすると同じになると気がついたのをきっかけに、アマノマコトを英字にして並べかえてみることに。そして、「MANAKATOMOO」真中友雄!!英雄の兄の名前に偶然にもたどり着く。捜査は、すでに死亡しているが「友雄」を改めて洗い直すことになった。
しおりが成瀬を呼び出し、成瀬が行ってみるとソラがボロボロになってお兄ちゃん!と抱きついてきた。母親が人殺し。とソラは保育園でいじめられていたのだ・・。あまりのことに成瀬の表情は困惑している・・。ソラは泣きつかれて寝てしまった。しおりに成瀬は聞く。「こわくないんですか?殺人事件に関わっているということが?」「こわいです・・。でもその人を止めたいんです。その人もきっとつらいから。」しおりは犯人はきっと誰かに救って欲しいんじゃないか?と言う。「だから、犯人からのメッセージを読み解いてあげないと・・。」
神曲の残像を読み解こうとしたしおりは倒れてしまった。成瀬はしおりを病院に連れて行き、そっと寝ているしおりの寝顔を眺めている。思わずその頬に手をやろうとしてしまう成瀬。だが、その手を途中で止めた・・。「もう、止められないんだ・・。」
直人達は友雄の死因について聞き込みをしていた。身寄りがなかった友雄はホームレスのような生活をしていた。そして台風のある日、鉄骨の下敷きになって死んだと。学生証から身元が判明したという・・。
直人がしおりに電話すると、成瀬がでた。「えっ?どうしてあなたが?」「今寝ているので代わりに取りました・」「どういう・・ことです?」「そのままの意味です。またかけてください。」直人は目が泳いでしまう・・。しおりが目を覚ました。成瀬がいてくれたことに、うれしそうなしおり。そして、成瀬もしおりのことを・・。だが、成瀬の心はしおりに向かうことを許さない。いや、向かうことは許されないのだろう・・。
直人はしおりと会う。先日電話した時のことを聞こうとするが、聞けない直人。「なんのお電話だったんですか?」直人は、今回の事件に死んだ英雄の兄・友雄が関係している?ということ、だがその友雄はすでに死んでいることをしおりに伝える。しおりもある事実を直人に話し始めた。神曲の本から読み取った残像から、本棚の隙間から見えたのは自分の姿だったと。実は11年前の事件の第一発見者は自分だったと話すしおり。その時初めて自分のサイコメトラーとしての能力に気づいたのだ・・。直人は自分がそんな昔からしおりを巻き込んでいることに改めてショックを受ける。しおりにあの時の真実を言おうとする直人だが、それを言わずに帰ってしまう直人。あの時、英雄からナイフを取り上げ、たしかに自分は刺す真似事はした。だが、本当は刺してなどいない、あくまでも刺す振りをしただけだった。倒れこんでくる英雄に偶然にもナイフが刺さって英雄は死んでしまったが・・。あの時、裁判でも自分は本当のことを言おうとした。しかし、父親・栄作がそれを許さなかった。あれは正当防衛だったということにしないと栄作自身の顔に泥がつく。栄作は自分の保身のために息子の言葉を信じなかった。いや、真実などどうでもよかったのだ。金の力で息子の気持ちまでも捻じ曲げたのだ・・。
「刑事を辞めろ!」そう言う栄作に今度は直人も引き下がらない。あの時、少年院に行っても、殴られてもよかった、ただ信じて欲しかった!!と栄作に言う直人。今の直人は、事件からも犯人からも、そして父親からも逃げるつもりはない!
「俺のせいでそいつ(犯人)を悪党にしちまったんじゃないかって・・。」直人は一人飲んでいたところへ成瀬がやってきたので、そんなことを成瀬に言う。「あきらめないでください。早く犯人にたどり着いてください。」成瀬も不敵な笑みで直人に言うのだ。そんな成瀬が事務所に帰宅後、驚愕する表情を浮かべることに・・!!。
自分宛の赤い封筒・・、そこにはタロットカードが入っていた!!目を見開き、衝撃を受ける成瀬・・。そこへ池畑がやって来る。不敵な嫌らしい笑みを浮かべて・・。ホームレスのような生活をしていた少年はひとりではなかった。ふたりのうち事故死したのは真中友雄ではなく、成瀬領の方だったのでは!?

#6
夜の屋上でふたりの男が対峙していた。ひとりは成瀬、もうひとりは池畑だ。「おもしろくないですか?成瀬先生。ククク・・。いや真中友雄さん?」池畑は成瀬に言ってみせる。「人違いじゃないですか?」成瀬は冷ややかな目で返すが、池畑は自分の仕入れた情報で次々と憶測を話し始めた。成瀬領が死んだ時、あなたは天がくれたチャンスだと思った、領の身内は目の見えない姉だけ。領に成りすまし、自らの復讐をやり遂げるための絶好の隠れ蓑になると。弟を殺された復讐劇を実行していくために!
「すごい想像力ですね。」成瀬は余裕をみせるが、池畑の不気味な笑みは耐えない。仕入れた証言は全部録音してあると言い、ばらされたくなければ5000万払えと脅しをかけてくる。だが、仮に自分が真中友雄本人だとしても、それが復讐をしているという証拠にはならないと成瀬。そして懐から一枚のタロットカードを出して池畑に見せた。「このカードあなたですね。」「先生の真似をしてみたんですよ。ご感想は?」「皮肉ですね。塔のカードをあなたが選ぶなんて。これは悲劇、災難、転落を意味します・・。」成瀬の言葉にさすがの池畑も表情を歪める。成瀬は立ち去ったが、池畑は想像以上に真実を突き止めてしまっていた。あなどれない存在である・・。
一方、ソードのカードが届いたが今だ新たな動きがない事に苛立ちを見せる直人。警察の方は次々と届くカード、そしてしおりの残像によってむしろ捜査は真実に近づいているようでまったく近づかない・・。振り回されてしまっている。「早く突き止めないとまた被害者が・・。」薫も焦りが見える。そこへ成瀬が署に現れた。
「これが昨日届いたんです。送り主は不明です。」成瀬領宛の赤い封筒に入っていたのは一枚の写真。芹沢栄作とひとりの男が車内で密談している場面だった。「親父・・!」栄作といっしょに写っている男は大隈。実業家は表向きで実は裏社会の大物だ。「これが表沙汰になれば大スキャンダルになる・・。」中西も言う。自分は芹沢栄作の顧問弁護士だからこれが届いたんじゃないか?と成瀬。次の犯人のターゲットは栄作なのか?直人達は頭を悩ます・・。冷ややかな笑いを一瞬浮かべる成瀬。
しおりは再び神曲の本の残像を読み取り、そこに11年前の事件で直人が無罪という記事を見た。直人はしおりに説明する。それは父親・栄作が自分をかばうために書かせた捏造だと・・。そして成瀬宛に届いたものがあるとしおりに写真をみせた。栄作と大隈の写真・・。「なんで成瀬さんに!?」しおりは動揺する。そして、その写真の残像も読み取るのだ。~ソードのエースのカード。そして池畑宛の赤い封筒。~・・直人は池畑が狙われている!と立ち上がる。「刑事さん!成瀬さんは!?成瀬さんは大丈夫なんでしょうか!?」「狙われているのは11年前の事件に関わった人間だけです。心配しないでください犯人は必ず俺が捕まえてみせます。」しおりの不安そうな顔に直人は言ってみせ、飛び出していった。
「あんたに守ってもらおうなんて思わないね、あんたみたいな人殺しに。正義面した悪党の方がよっぽど怖いよ。」池畑は直人に言う。硬直する直人だが、無理やり自分の連絡先を池畑に渡す直人。この事件を解決するということは自分の過去とも戦わなければならないのだ。だからこそ自分が解決しなければならない!直人の決意も固い。
直人は均に大隈のことを聞く。均は池畑があの事件のことで脅しをかけてきたと説明。直人はそのまま栄作に会う。「大隈になにをさせようとしているんですか?池畑を殺させようとしているんじゃないんですか!?」今までの殺人はすべて第三者を誘導して殺させている、「父さんは操られているんです!」「知ったことか!私の守るべきものの大きさをおまえはわかっていっているのか!?元はといえばおまえがあんな事件を起こすからだ!私の人生はおまえの尻拭いのためにあるんじゃない!!」栄作の怒りの言葉に、すいませんでした・・と静かに部屋をでていく直人。栄作の心情ももっともだ。自分が過去に犯した過ちが今こうして自分に襲いかかってきている・・。成瀬がホテルのロビーで直人を待っていた。「ちょっとよろしいですか?」
ふたりは外を歩きながら話す。「お父様がだいぶ憔悴していたようですが大丈夫でしたか?」父親を守ってやってください・・直人は言う。「おまかせください。」成瀬は返した。そして直人は、この一連の事件になぜいつもあなたが関わってくるのか?と成瀬に質問。赤い封筒まで成瀬に届いた・・。「芹沢さんはなぜだと思いますか?」成瀬の言葉に、「この事件に偶然はありません。きっとあなたにもなにか意味があって・・」「私も同じ考えです。復讐。」!!「どうしてそれを成瀬さんが・・?」池畑という記者が自分に色々情報を吹き込んでくる、栄作の顧問弁護士を辞めるようにと。「調べてください。どうして私がこの事件に巻き込まれているのかを。」
署に戻り中西に報告する直人。栄作はやはり大隈と繋がっていた・・。もしものときは自分が父親を逮捕すると中西に言う直人だが。そうなる前に親父を止める!と再び署を飛び出す。だが、池畑の所在もあれからつかめない。しかしその池畑は、成瀬の姉・真紀子に会いに来ていた。それは成瀬に対する脅しである。あの件のことを考えてくれたか?という電話に成瀬は返す。「もう答えは決まっています・・。」
その頃、自分宛の赤い封筒を手に取る充。その中には均と麻里の写真、そして典良と麻里の写真が。充は気づく、典良の秘書である均だが、その妻と不倫していたのだ!充の表情が嫌らしく歪む。そしてその封筒を充が無事に手にしたのを見届けた山野も不気味な笑みを浮かべていたのだ・・。
成瀬との約束場所である埠頭に足を運んだ池畑。だが、そこに成瀬がいるわけではなく、赤い封筒の中にタロットカードのソードのエース、11年前の自分の書いた捏造記事・・。成瀬は取引に応じなかったのだ。「全部ばらしてやる・・」池畑は成瀬の答えにすべての事実を明かすことを決意したが、そこで大隈の部下達に囲まれてしまった!埠頭の倉庫に逃げ込み栄作に電話する。一億で手を打つ、そうしたら11年前の事件のことは口外しないと約束する池畑。栄作も今回はそれで手を打つことを決め、大隈に電話、「今後いっさい池畑には手出しするな。」大隈はわかりました・・と電話を切るが、「予定どうりに動け。74番だ・・。」その大隈の前には大金の詰まったかばんが置かれていたのだ・・。
成瀬が事務所に戻ってくるとしおりがいる。成瀬を見てにっこり笑うしおり。「犯人から写真が届いたと聞いて心配できちゃいました。」「何事もありません・・ご心配なく。すいません、忙しいので・・。」そっけなく部屋に戻ってしまった成瀬を見て、寂しそうな表情で帰っていくしおり。でも、それでもずっと成瀬のいる建物を見つめていた・・。成瀬もやっぱり出て行こうとドアノブに手をかけるが。その手を離す・・。「僕に人を愛する資格なんて・・。」
直人の携帯が鳴った。池畑からだ。「おまえの親父に会うんだよ、ぶっちゃけて言えば裏取引だ。」栄作が裏切ったときの保険として直人に守ってもらおうと電話をした池畑。「死んだ奴が相手じゃ捕まえられねえわなあ、教えてやるよ真犯人。」その言葉に急いで現場に向かう直人だが、池畑は隠れていた倉庫から出た途端、再び大隈の部下達に囲まれた。「ボスは変わったんだよ!」その言葉にすべてを察した池畑。殺される・・!走り逃げる池畑を追い詰める部下達。そして74番倉庫に逃げ込んだ池畑は階段を上がり二階へ、そして地盤が崩れまっさかさまに転落した!
頭から大量の血を流し意識朦朧とする中で、近づいてくる足跡が直人だと気づいた池畑はボイスレコーダーをうすれゆく意識の中で渡す。だが、目の前にいたのは成瀬!!冷たい目で自分を見据えている・・。すべてを悟り絶望しながら息絶える池畑。事件の真実を歪めた一員である自分を、初めからターゲットのひとりとして考えていたのだと・・。そして成瀬は冷たい笑みを浮かべてその場を去った。大隈を影で買収していたのも成瀬本人。直人が現場についた時には、すべてが終わってしまっていたのだ・・。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック